第4話 上ヲ向イテ

先ほどまさかの宣告を受け、俺は結構というか大分落ち込んでいた。


「まあそう気に悩むなよ。これから這い上がっていけばいいだけの話だろ?」


「そう簡単に言うなよ」


最低ランクってあれだぞ、モンスター狩るのはちょっと危ないからあんまり金にならない薬草集めといてねってやつ。


そんなので生活できるわけねえだろ。


「まあでもいいや。いきなりモンスターとか怖いし」


生活できたって死んだら意味無いしな、うん。


とりあえず何かしないとなと思い、俺は受注できる仕事が書かれた掲示板の下に向かう。


掲示板には仕事が書かれた紙が大量に貼られていて中には一生生活できるほどの報酬が出るものもあった。


こんなにあるなら俺だって食いはぐれなくて済むじゃんって、思ったんですよ。


「少ねえなあおい」


こんなに沢山仕事があるにも関わらず、最低ランクである俺が受注できる仕事はたったの一枚。


しかも仕事の単価が安い。


これはモンスターに殺されるより先に餓死するやもしれんな。


ハハハハハハハハハハハハ!!!!!!


「笑い事じゃねよ!」


「うお、どうした二コラ。お前情緒めちゃくちゃだぞ」


なんだこの単価、薬草十枚で銅貨一枚だと。


いや、落ち着け、冷静に考えろ。


モンスターで一番弱いとされているスライム、それを一体倒せば銅貨五枚と掲示板には書かれている。


つまり薬草を五十枚採取すればスライム一体を倒したことになる。


見えたぜ、突破口がよお。


「ふふふふふふ、早速クエストに行こうじゃないか」


「あいつ大丈夫かな」


クレマンが何か失礼なことを言った気がしたが今の俺には関係ない。


そんなことを考えるなら一枚でも多くの薬草を採取することに気を向けるべきだ。


プロフェッショナル、仕事の流儀がここにある。


もうどうにもならないし、上を向いて歩こう、上ヲ向イテ。


そうと決まれば早速行動。


今からでも外に出て薬草を採取しなければ。

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無能貴族に転生したらいきなり追放されたんだが~後悔してももう遅い、無能貴族が冒険者で成り上がり~ 久佐郎 @syoyu_sakaguchi

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