第10話(アナザーシープへ)

ーーリュウは夢を見た。荒野のサバンナに1人ポツンと居た。大地には枯れた木々が。空は明るいのに星が煌めいていた。


「これは夢か。空を飛べるかな?」


リュウの体がフワッと浮く。


「おお! 初めて夢をコントロール出来た。スゲー」


リュウは空を飛び、更に上空へ行く。


「ウッヒョー! おもしれえ!」


リュウは上空から地上を見ると、小高い岩山の上に人影が見えた。


「ヤコかな。行ってみよう」


リュウは近づくにつれ、様子の異変に気付いた。ガタイの良い男が、ヤコを縛り付けて拘束していた。


「ヤコ!」

「リュウ!」

「夢と判ってりゃこっちのもんだ。首チョンパアターック!」


リュウはガタイの良い男の顔面に向かって高速で飛び、バキッ! チョーパンを喰らわせた。


「いってー! 鼻がもげたー!」

「雑魚が。ヤコ、大丈夫か?」

「リュウ…………」


ヤコは涙ぐむ。


「泣くな泣くな。俺の夢の中なんだし、気楽に行こうぜ」


リュウはヤコを拘束しているロープにほどけと念じると、パッと消えた。


「ありがとう。私の夢の中にリュウが出てきてくれて何だか嬉しいな」

「どっちの夢の中だろうと関係ない。このオッサンから逃げるぞ」

「うん」


リュウは空中に浮き、ヤコに手を差し伸べる。


「私、飛べない」


リュウはヤコをお姫様抱っこして上空へ逃げる。


「下を見るなよ」

「う、うん。怖い」


ガタイの良いオッサンはアサルトライフルを構えて、リュウ目掛け乱射してくる。ダダダダーー!


「死ね! 魔法使いめ!」


リュウはアサルトライフルから発射された弾丸に止まれと念じる。すると、全ての弾丸が止まり、ポロポロと地面に落ちていく。


「あめーんだよ。ここは俺の夢の中だ。俺は無敵だぜ」

「スゴいよ、リュウ。物を消せるってことは何か出すことも出来るんじゃない?」

「なるほど。GTR召喚」


大地にR32スカイラインGTRが現れた。黒いボディーに赤いストライプがデカデカと十字に入ってる。


ピンポーン! ピンポンピンポンピンポン! ピポピポピポピポピポピポピポピポ! ピンポーン!


リュウは目を覚ました。

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