Episode15 イリノイ見学会
城内で宰相ナーゲリアの尋問が始まった、もちろん傍聴席にはジャップの部隊が座ってみていた。
「ナーゲリア宰相、貴様は陛下に確認せずにそこにおられる客人に対して攻撃命令を出したのかね?」
「はい……、帝国の奇襲だと判断したわけで――」
「ならば、何故。すぐに攻撃を辞めて撤退命令を出さなかった?使者を出したとはいえ、向こうから来てくれた客人に無礼を働いたのか言いなさい!」
「そ、それは……」
「まぁまぁ、レベルト公。客人、あー……何故ここに参られたのか伺ってもよろしいですかな?」
丁重に答えを返すと「なるほど、挨拶されたので参られたのか」と言われた。実際には砲艦外交の仕返しなのだが……。
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それから3時間後、事情聴取と言う名の公開裁判は結局ナーゲリア宰相の不適切な対応という事で終わった。こっちからすれば迷惑な話だが。
謝罪という形で国王様から深く詫びを受けて5日間の滞在が許されたのだが、交換条件として砲艦外交に使用したイリノイの艦内見学という事に決まった。
翌日、艦内戻ると軽く食事をとってこれからの5日間を各所に伝えた後で、王国側の曳航帆船の誘導でメレダ港に入港した後、錨を降ろした。各室長以外の乗組員を下船させた後、王国側の視察団を乗せ始めた。
主砲塔の17インチ52口径主砲塔を見た視察団は、口を大きく開けて旋盤や砲塔を触り興奮していた。ちなみに17インチを日本のセンチメートルに換算すると43・18センチメートルとなる――約43センチメートル52口径主砲塔という意味だ。
もちろん、史実にある大和型戦艦の自慢の主砲よりも長くて高威力である。
「これの射程は、どのくらいあるのですかな⁉」
「たった一度の斉射で約30マイル、つまり48・2803キロメートル――48キロメートル先まで発射することができますね」
それを異世界の単位で換算した視察団の顔色が真っ青になり始めた、その顔色を見た砲撃手は悟った。
「あらま」
一方、食堂室で艦内カレーを食していた別の視察団はカレーの美味しさに頬が垂れ下がっていた。
「たくさんありますよ~」
「お替わり!」
調理者が声を掛けると同時に、視察団たちが空になった皿を差し出した。
ブリッジでは初めて見る精密機器に目を輝かせている視察団と質問の嵐に襲われる士官の姿があった。ジャップはもちろん、戦闘方法についての説明をしていた。
「――これにより、夜間での戦闘方法は全て目視では無く電探による射撃になります。当艦は他の艦艇と協力して戦場を展開できるシステムも搭載しております」
現代武器の説明に入ると、視察団たちは質問してくるようになった。
「このアナログという物を触らせてもらいないか?」
「光学観測射撃が応急用じゃと⁈」
「速力は、帆が無いのにどうやって進むのじゃ!」
それぞれの質問に丁寧に説明しても、理解するのは難しいだろう。
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