Episode12 抜錨

 アイオワ級戦艦は第二次世界大戦時に建造されたアメリカ海軍の最新鋭戦艦だしかし、当初6隻が計画されていたが終戦や予算などの事情が相まって4隻しか建造されなかった。4隻の名前はアイオワ、ニュージャージー、ミズーリ、ウィスコンシンだが残りの2隻の名前はイリノイとケンタッキーだ。

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「錨上げろ、機関微速!」

「機関微速、ヨーソロー。ブリッジより機関室へ、ボイラー8基点火せよ」

 機関室では機関長が機関士たちに激励を響かせていた。

「急げ、急げ‼機関点火だ、何やっている!ボイラーに火を入れろ!」

 ボイラーに火が入ると同時にスチームエンジンが回り始めた。それを目視で確認した機関長は、艦内電話で報告した。

「機関室よりブリッジへ、ボイラー全基点火完了。いつでも出港よし」

 艦内通路をジャップとゼロが歩いていたが話はもちろん、主砲弾薬の数だ。新艦であっても砲弾が無いと話にならない。

「――砲弾の数は?」

「無いよりマシなぐらい」

「装薬は?」

「たっぷりとあるよ、でもさ。砲弾が……」

「なるべく消費するか、逐一報告してくれ」

「了解」

 ブリッジに入ると航海長を始めとした副艦長が敬礼したので頷いて返した。

「全艦、出港用意。抜錨せよ!」

「抜錨‼」

 艦首にある錨が徐々に海面に上がってくるのと同時に、スクリューが回転し始めた。

「主砲、装填始め」

「全砲塔、装填!」

 1番砲塔内では出て来た装薬を抱え込みながら、砲身内へと装填して蓋を閉めた。

「1番砲塔、準備完了!」

「2番砲塔?」

「2番も準備良し」

 最後の3番砲塔では砲弾が砲身内に入ると同時に装薬も装填された。

「装薬急げ!」

「――3番砲塔?」

「準備良し」

「よし!」

 海上の波が艦首に当たると同時に飛沫になって風に散っていく、今日の天気は快晴。まさに砲艦外交のためにあるような天気だ。

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