Episode08 入隊試験

 海兵隊を辞める前に一度だけ、分隊長になった事がある。その時は部下がミスをしても手を上げる事はしなかった。ミスの原因をみんなで考えて、行動を始める。それが俺の指揮した第三特殊任務分隊のやり方だった。

 そのおかげもあってか、雇われ傭兵になった時でも昔の部下に出動先で会うと旧友のように飲みに行ったりもしている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 女性兵士達は緊張した面持ちで整列していた、一人一人の顔を見て「緊張しないでくれ、熱いだろう?座ってくれていいよ」と言うと、一瞬だけ驚いた声や顔をしていたが地面に座り始めた。

「さてと、諸君。俺がジャップだ、まぁ……コードネームはもう捨てているが。傘木一士とは、俺の事だ。それと、君達には俺の管轄に入ることになるというそこの隊員から言われたわけだが。俺は全員を取らないとは言っていない――全員を取ると言っているのだよ」

 普通、軍とは少数精鋭が基本だがジャップのやり方は常識外れだ。全員を迎え入れてから判別をして行く、観測手ならゼロの元へ分隊支援系ならチェリーの指揮下へと案内する。それが彼――ジャップのやり方だ。

「3日後、体力テストという名目でサバイバルゲームを行う。その時に1発でも俺に弾が当たれば合格と見なす、しかし制限時間が来て引き分けだと不合格だ。制限時間は2日だけだ、以上」

 つまり、制限時間以内なら何回でも挑戦できるという意味だ。どんな方法でも良いから挑戦しろという意味合いも含まれている。こうして地獄とも呼べる入隊試験の火蓋が切って落とされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る