Episode06 西之島元航空基地

 優しい人は時として優柔不断になる確率がある。

 正しくそれが言えるのは、ジーク元伍長だ。彼は自殺する寸前、家族に対して軍での事を事細かに伝えていたらしい。

 伍長の遺族にあった時に聞かされた。

 それから7年後、海兵隊を退職した俺は数々の戦闘を経験して思った。

 俺は、これからは――自由に生きる。

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 日本に戻るとすぐにコードネームを捨てて、元の名前の傘木かさぎ一士はじめに戻した。もちろん、元の名前を知っているのは誰も居ない。チェリーもゼロも。

 東京から3時間ほど離れた実家がある田舎に帰って猟師になった後、イノシシやシカを狩って売って寝るという生活をし始めた。軍の生活では無かった生活をするというのは、新鮮だ。

 ちなみに猟銃は海兵隊で使うか悩んでいたM24にサプレッサーを付けて電子制御システムを搭載したM24―SWPだ。静音過ぎて敵も分からない内に、お陀仏する。

 え?こんな改造を軍がしたのかって?ハハハ、笑わせないでよ。俺のカスタムだ、つまり違法改造だよ。こんなチート紛いの銃は、軍のガンスミスでもしてくれなかったよ。

 ある日、いつものように猟をしているとHMMWV《高機動車》が家の前に止まっていた。多分、在日米軍基地か自衛隊のどちらかだろう。気づかないふりをして前を通り過ぎると、懐かしい声がした。

「ジャップ!」

「その声はゼロ?いや、ありえない。彼女はまだ軍に居るはずだ」

 しかし、声のした方向を振り返るとゼロが居た。

「お前、何でここに居る?」

 どうやら3年前にチェリーとゼロは日本に帰国したらしい、そして二人で雇われの傭兵紛いな仕事をしていたらしい。

「それでさ、ジャップ。もう一度、私達と世界で暴れないか?」

「そのコードネームは捨てた」

 すると、一士と名前で呼ばれた。

「そう、じゃあ。一士で良いのか?」

「――何処で調べた?」

「ん?個人で」

 軽々しく答えたゼロに少し呆れたが、丁度退屈をしていた時だ。戻るのもアリだな……。

「分かったよ、戻るにしても基地が要るだろ。どこにする気だ?」

 基地の名を聞いてビックリした、俺の家にテレビが無いからだ。

「西之島元航空基地。今は、私達の基地だよ」

「…………は?」

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