Episode04 奇襲と撤退準備

 ゼロは軍事学校時代に良く言っていた、人の命は儚い物だと。

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 まったくもって今の状況がそうだ、だから俺は1秒でも早く急がないといけないのに対人地雷が邪魔をしてくる。

「C4を展開する」

 建物内に入ると、背後を追いかけてきていたゼロが、背後からC4爆薬を対人地雷に仕掛けて爆破してくれた。

「ゼロ、どうして来た?」

「仲間でしょ?助けないと」

「……死ぬなよ?」

「死なないよ、ジャップ好きな人が居るから」

 G36Cを構えながら先を行くゼロの背を見ながら非常階段を上って行くと、階を登るごとに敵兵と交戦した。ある敵は体じゅうに爆薬を張り付けて突撃して来たり、とある者は降参の状態の敵側の味方を背後から撃ち殺したりして来た。

 惨い物だ、しかしこれがゲリラ兵のやる戦術だ。

 漸く4階のチェリーが居る小部屋まで来ることが出来た、しかし伍長は虫の息になっていた。

「遅かったか」

「いや、急所は外れているからまだ大丈夫なはずだ」

 安心すると同時にゼロがいきなり俺の首を掴み、無言の平手打ちをしてきた。

「無茶しやがって!ジャップのバカ‼」

「……すまん」

「大体、命を粗末にし過ぎだ!この前の作戦も、その前も!ジャップ、お前は死にたいのか⁉」

「……正しい事をしたのだが、何故か――」

「なぜかいつも、危険な事になるって?もうそのセリフは聞き飽きたよ‼」

 ゼロが本気で怒る時は、俺の無茶な行動の時だけだ。

「聞いているのか⁈」

「なぁゼロ、人は死ぬために生きているのかな?」

「怒られている最中に――‼」

「俺が敵なら、もうそばに来ていそうな感じがするけれど」

 それを傍で聞いていたジーク小隊の隊員がコッソリと外を見ると、突然叫んだ。

「て、敵襲‼」

 ジャップは素早くゼロの足元をくぐり抜けると同時に、HK416Dにマガジンを差し込み射撃体勢になった。

「あ、話はまだ――ああ!もう‼」

 ゼロは敵襲によって出た怒りとジャップに対する怒りを、全て敵にぶつける事に決めた。

「場面を考えろやあぁ‼」

 チェリーはM4とQBZを両手に持ちながら応戦していたが、ゼロはダブルマガジンの片方を差し込み射撃していた。俺はHK416Dで応戦したが、敵に歯が立たない。

「クソッ!もう、減っても良いころだろ‼」

「このままだと、消耗戦だよ!――リローディング‼」

 ジャップは素早くインカムを繋げると、本部に連絡をし始めた。

「……こちらジャップ、至急ヘリを寄こしてくれ!現在位置はイスタンブール空港だ!」

「こちら本部、了解した。負傷者の確認だ、何人居る?」

「1名、ジーク伍長だ。奇襲された模様。生きている、死んでいない」

「――CP。ヘリ到着まで早くても3分だ」

「了解‼」

 インカムを切るとその事を、チェリーとゼロに話した。

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