Episode03 危機的状況

 ゼロと出会ったのは軍事学校時代だ、その頃ガーディアンと呼ばれていた俺の元に突然やって来て「狙撃の心構えを教えて」と言って来た。当然、狙撃手に心構えなんてものは無い。あるのは敵という標的だけだ。

 最初こそは変人扱い的な対応をして、軽くあしらっていたがいつからか狙撃手としてではなくスポッターという才能を開花させたゼロに好感を持つようになった。

 こいつとなら、最高のチームになりそうだと。

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「こちらチェリー、了解した」

 無線の相手はチェリーだった、ホモ紛いだけど仲間思いの良い奴だ。

「敵は今の所、視認していないがCQBに警戒せよ。OVER」

 インカムを切るとすぐにスコープを覗いた。すると、マークが5つも出ていた。

「コンタクト、ファイブエネミー」

「何処から来た?」

「分からない、ただ。連絡を取っている間に増えた」

「ゼロ、お前はインカムですぐに皆に伝えろ」

 ゼロに指示を出すと同時に、AWM―SWPを背負ってすぐにHK416Dを装備した。

「俺は単騎突撃してくる、大丈夫だ。掃討したら、必ず戻る」

 ゼロの意見も聞かずに丘を下って、全力疾走して敵の1人を撃ち殺すと同時にスリングに銃を任せて柵をよじ登って超えた。

「パルクールを趣味で教わっていて助かった」

 コンクリの塀や堀などを飛び越えていき、空港の建物にある貨物運搬車の屋根に飛び乗った。

「……ゼロ、残りの敵は?」

「もう、無茶しやがって!大体、お前は――」

 お怒りだ、合流したら叱責を貰いそうだ。

「説教はコレが終わったら聞くから今は、敵の場所を教えてくれ」

「――合流したら、覚えていろよ。全く、本当に世話が焼けるわ」

 敵の場所を聞いたジャップはすぐにインカムを切ると再び、全力疾走で建物へと走った。

 敵の場所は屋上に2人と2階に1人、3階に1人か。相当無茶しないと、ダメだな。

「……チェリー、敵がいる!すぐに向かうから持ち応えろ‼」

「ジャップ、交戦している。助けてくれ!」

「分かっている、負傷者は?」

「伍長だ。奇襲をくらった!」

「意識は?」

「まだあるが、持ち応えられるかどうか……」

 心の中で自分を悔やんだが、もう遅い。クソッ、最悪だ。

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