Episode02 スナイパーズ・チーム

 輸送機から降下するという訓練が、軍事学校時代から苦手いや嫌いだ。

 スカイダイビングなら喜んでするのだが、戦争のためとなれば風景を楽しめない。楽しめるのは降下先の地面と死への門だけだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ブラックホークの中で観測手と対面したが、見覚えがある。向こうも気が付いたらしい。

「もしかして、ジャップ?」

「ああ、そうだ」

「私だよ!もう忘れたのか?」

 誰だっけ?女性の兵士なんて、この部隊の中では僅か5パーセントほどしかいないぞ?

「はぁ?思い出せないの?仕方が無いなぁ、ゼロだよ」

 そのコードネームを聞いてやっと思い出した、彼女はゼロ。並外れた観測手と突撃兵の能力がある化け物女だ。

「今、失礼な事考えていたのか?」

 おまけに地獄耳と感が良い。

「いや、考えていないよ。それよりも、何故この機に乗って居る?」

「それがさ、何処かのバカな狙撃手を護衛しろという任務でさ」

「……俺の事か?」

「正解!」

 ムカついたので彼女の耳を引っ張ると、意外に柔らかい。

「いひゃい、いひゃい」

「すまん、ムカついた」

 手を離すと同時に、パイロットが叫んだ。

「目標の上空だ、降下しろ」

「了解、ジャップ。降下」

「まったく……冗談の通じない男だ。CP《コピー》、ゼロ。降下する」

 ブラックホークからラペリング降下ヘリが着陸しないで隊員をロープで降下させる方法で二人が降下すると同時にブラックホークが帰って行った。

「ここが、イスタンブール空港か?」

「そうみたいだけど、敵がいるわよ?」

「最悪だ」

「そうね」

 二人は小高い丘に登ると、任務を始めた。AWM―SWPを伏せて構えたジャップの横にスポッターを覗くゼロは、一般人から見ればスナイパーだ。

 ゼロがマークした目標がAWM―SWPに付属しているスコープに反映されるので、わざわざ確認を取らなくて済むという物だ。

「タリホー《目標視認》」

「確認した、風速は?」

「背後から追い風」

「――CP」

 静かに呼吸を整えてスコープを覗き照準を定めた後、躊躇することなくトリガーを引いた。

 サプレッサーの音が耳に聞こえた後、ターゲットの頭から鮮血の花が咲いた。

「命中、次。その隣の男性、マークした」

「……CP。捕らえた」

「FIRE」

 ゼロの合図とともに、ジャップはトリガーを引く。そして、空になった薬莢を排莢して弾丸を再装填する操作を着弾するまでの間に終える。

「うぃ、ナイスキル」

「……こちらジャップ。道は開かれた、繰り返す道は開かれた」

 インカムの電源を入れて、味方の小隊に連絡を入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る