番外 台本/三人用【問い質し編】

こちらは番外 台本の【不機嫌シリーズ/ただし編】となります。


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▶始めに

・台本の自作発言、作品の転載、登場キャラクターの性転換、台本の内容が壊れるような行為は禁止です。

・使用されるときは、不特定多数の目に入るところ(コメント欄やキャプションなど )に『台本タイトル』『作者名』の明記めいきをお願いします。


・そのほかの細かい お願い事は【台本利用上のお願い】のページ(▶https://kakuyomu.jp/works/16816700427787953461/episodes/16816700427788115278)を読んでください。


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【上演時間】

約30分


【比率】

男声 1人:女声 0人:不問 2人の3人用 台本です。


【登場キャラ紹介】

♂︎ 風神かぜかみ まなぶ

▶二十代半ば

▷国防軍に十九歳の頃から務めている。どっかの離島にある兵力育成 学校の卒業生。

▶とても実戦慣れしている。

▶常に不機嫌な顔つき。割り切った性格で、物言いが淡々としているせいで冷たいと言われる。表情筋も怒りとか呆れとかには動くが、ほとんど無の状態。

▶仕事の鬼で、容赦のなさが『鬼神きしん』と呼ばれる要因。

人には言えないし、言わないが〔恋人〕になったお見合い相手に夢中。



不問 安積あづみ 椿紗つばさ

▶二十代前半

▷幹部育成と国防を学ぶ大学校を卒業した所謂いわゆるエリートの出世株で新米の士官しかん

▶感情が豊かで、すぐに声を張ってしまう癖がある。しかし、周囲の空気などをしっかり察して、謝ることのできる良い子。

▶直属の先輩 士官であるまなぶに憧れているので、現場での指揮を早く務めてみたいと思っている。



不問 ナレーション

▶やっぱ、相も変わらず出番がある。そもそも、タキツキ作品にはなくてはならない役どころ。過去作に比べれば、まだマシな文量(当作品比)


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〜劇タイトル/ロングバージョン〜


▷不機嫌なお見合い相手は、怒りが爆発すると刀を振り回したくなるそうです。


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▶台本 本編◀



──2077年の初冬(霜月 半ば)。


N:ここは、都内のどこかに駐在している国防陸軍のアケボノ基地。

今の時間帯は、お昼時。

そんな時間帯のせいか、食堂が大変 賑わっている。しかし、通常なら六人 掛けの長テーブルを一人で使っている士官しかんがいた。

この士官は、なかなかに不機嫌な顔つきで、そのせいで誰も近寄ろうとしない。ゆえに、とても不自然な状況となっているわけだが──。



諭:心の声

《うん、今日も美味いな。吸い物の塩気もちょうどいい。今日の筑前煮ちくぜんには、白米によく合う……》



N:ちゃんと美味しいと思っているようだ。しかし、表情がまったく動いていない。

不機嫌な顔つきの士官しかん──風神かぜかみ まなぶが、おかずを口に入れてから白米を口にしようとした時だ。雑な動作で昼食がのったトレーを置いて、諭のはすかいに座る隊員がいた。



諭:(飲み込む)……もうちょっと、静かに置けないのか。安積あづみ



N:名指しされた隊員は、それこそ機嫌が悪いと言わんばかりの視線でまなぶを見やった。

──安積あづみ 椿紗つばさ 少尉しょうい。階級こそまなぶと同じだが、今年の春に任官されたばかりの新米の士官しかんだ。



安積:…… ……



諭:なんだ、何か言いたげだな



安積:療養 休暇から戻ってこられたのですね



諭:ああ、お陰様でな



安積:聞きましたよ。担当の衛生員えいせいいんを泣かせたそうで



諭:さすがに、カラダがにぶっていたのだ。二週間も病院にカンヅメだったしな



安積:だからって、病院の中庭で素振りするバカがいますか?



諭:そこまで噂が流れているとはな。……貴官きかんに、バカと言われるとは驚きだ。



安積:《本当に驚いてるのか?》

……バカですよ。何のための入院なのか理解されていない



諭:本当は、もっと早く原隊げんたいに復帰できるはずだった。



安積:二週間でもじゅうぶん早い復帰かと思いますが?

たしか、十二針はったんですよね



諭:ああ、まあな。けっこう、深い傷だとは言われたな



安積:腰にナイフ刺さったままで対象の制圧とは、正に鬼神きしんですね。

……骨や臓器に異常はなかったので?



諭:ああ、上手い具合に臓器には達していなかった。その分、神経や筋肉の治癒に時間を要した……という感じだな。

あと、ワーカーホリックすぎるとお小言を受けた



安積:なるほど。


〈〉


安積:心の声

《担当してた衛生員えいせいいんが、かなり強気な性格ってのは察せるな。そりゃあ、風神かぜかみさんとぶつかりあうわけだ。

にしても、聞いただけでも痛い話だ。なのに、風神さん本人は重症だなんて思ってない。仕事の鬼だからなのか、自身のカラダを気遣わない無頓着むとんちゃくさ。下手したら生きてるほうが奇跡だっつーのに。》


〈〉



安積:……それで?どう言った経緯けいいで担当の衛生員を泣かせたんですか



諭:聞きたがりめ。

……ちなみに私の名誉のために言っておくが、注意された時には、素振りもやめたからな。

なのに、ヒステリックに泣き出したのは あの衛生員だ。

私の落ち度だというのに、あんな対応されれば怒鳴りたくもなる



安積:そういう割り切ったような物言いは、ご自身の部下だけにしてくださいよ。他部隊よその隊員をテキに回すと面倒ですよ?



諭:何を言うか、私は入隊以前から目の敵にされている。



安積:なっ、そういう──



諭:だがな、安積あづみ

私の言い分としては、すでに傷は塞がっていたし、その日に控えていた抜糸ばっしさえ済ませれば問題ない状況だったのだ



安積:(ため息)そういう問題じゃないでしょ



N:結局、ため息が漏れた。

小言を止めて昼飯を口に運んでいく安積あづみ。その食事する姿をおかわり自由の麦茶を飲みながら見ているまなぶ

しばらく、周囲だけが賑やかな状況が続く。昼飯をたいらげた後、安積の箸がトレーに置かれる。それを合図に。



安積:……風神かぜかみさん。本当に、良いのですか



諭:良いとはなんだ。ちゃんと用件は正しく伝えろ



安積:《分かってて、いてくんだよな》

……転属のことですよ。部隊ヤツらは、驚いています



諭:別におかしな事じゃない。

これからやってくる春先の時期は転属や人員の入れ替えで、どの部隊も大忙しだからな



安積:なんで、そんな冷静なんですか!いくら上の決定だからって!

アケボノに配属されてから、まだ二年だ!早すぎます!



諭:安積、落ち着け。目立っている



N:ガチャンッ……、テーブルを叩いたはずみで器が音を立てる。

周囲の視線が集まり、肩で息をしていた安積あづみも我に返って座り直した。



安積:すみません……、ですが、今回の転属には広まってる噂が関係してるんじゃないかって思っています。噂だって定かじゃないのに……



諭:まあ、そうだな



安積:なぜ、否定をされないのですか。いつものように、違うことは違うとおっしゃられたらいい


〈〉


諭:心の声

《……噂か。ただのウワサならば、否定できた。声を張ってでもネタを流したであろうやからをとっちめて、ただすことはできる。だが、今回ばかりは事実も含まれているぶん、否定しきれないのが現状なんだがな。》


〈〉


N:まなぶは麦茶を飲んで、流した眼差しで安積あづみを見やった。



諭:……否定したところで、私の転属が取り消しになるわけではないからな



安積:それもそうですが……



諭:それで、そんなことを言いにわざわざ相席したのか?



安積:あ、いえ。他にもお聞きしたいことはあります



諭:なんだ?



安積:その、風神かぜかみさんの今回の療養は謹慎きんしんも兼ねていたというのは本当ですか



諭:それは事実だな



安積:あんたほどの人が、なんで謹慎なんかに?



諭:……あの日の作戦で、民間人が巻き込まれたからだ。

現場の封鎖が甘かったのでは?という指摘から小隊長しょうたいちょうだった私に処罰が下ったわけだ



安積:それは!いくら念入りに準備したところで、土壇場はいくらでも起こるものでしょうッ



N:またテーブルを乱暴に叩いた安積あづみ。ますます周囲のものが二人の座る席を怪訝けげんに、遠巻きに見てくる。



諭:安積あづみ、座れ



安積:すみません……



諭:だが、民間人が巻き込まれたのは事実だ。 まだネットに拡散されたり、報道されなかったのが不幸中の幸い。

対象は、外傷はないから保護というあつかいに落ち着いたが、メンタルケアが必要になった



安積:それ、中隊長……いえ、大尉たいい殿どのがキレてた案件ですか?



諭:そうだ。保護した対象の関係者から苦情が入ってな。大尉と少佐には悪い事をした



安積:なんで、メンタルケアが必要だったのでしょうか



諭:想像してみろ。

何ら変わらん日常をすごしていたら、突然、非日常に巻き込まれたんだ。

武装したやからに身動きを封じられ逃げられない。なのに、目の前で人が血を流して倒れる。余程、歪んだ精神の持ち主でない限り、悪夢だろう



安積:……なんで、守ってる側が悪者扱いされなきゃいけないんだッ



諭:安積あづみ貴官きかんは大学校で何を学んできた



安積:えっ……、えっと、自分は国防とはなにかということを主体として修学しゅうがくを……



諭:では、その修学のなかで国防軍人としての在り方は習わなかったのか?



安積:そ、それは……



諭:我々は、前時代の組織のときから日陰者だ。

現在の国防軍と改めてからは、尚のこと。むしろ、凶暴性が増したと誹謗ひぼうされ、後ろ指さされる。それらを耐え忍ぶ。耐え忍んだ分だけ、国防という武器を手にし、盾を構えて、守りたいものを守れるよう強くなる。


<>



諭:貴官が幹部候補生の頃に、そう、教えたはずだが?



安積:……そうで、ありましたね。

お恥ずかしい。民間人にいかったところで国の存亡そんぼうを脅かすやからが減ることはありませんからね



諭:ああ、そうだ。

日に日に多様な組織が発生し、求心と統合を繰り返している。規模が大きくなるにつれ、我々の武力で抑えるのは厳しくなるはずだ



安積:ええ、正に熾烈しれつな闘いが待っていますね



諭:だから、私がこの基地を離れてもしっかりな



安積:はいっ



諭:よし、いい返事だ



安積:ありがとうございます。あの、それと



諭:それと?まだあるのか



安積:あ、はい。あの、自分は流れている噂のなかで信じられないことがあります。



諭:なんだ、言ってみろ



安積:その、特に耳を疑ったのは、『風神かぜかみ少尉しょういが現場を離れたのはケンカしてた恋人を見かけて、なりふり構わず追いかけたんだと!』……というやつです



諭:ぐっ、ごほっ……!!



安積:うわっ、きたなっ!なんですか急にッ



N:当たらずとも遠からず。というより事実である。

飲み込み損ねた麦茶がテーブルにしたたり、口元を拭いつつ、台拭きで後処理をする諭。



諭:すまん……、なんとも言えん気分になってな。その噂、いったい誰が流したんだ?



安積:いえ、発信源は分からないです。

ですが、あの作戦に参加してた風神さんの部隊の人か。同伴されてた衛生隊員の人じゃないですか?知りませんけど



諭:……心当たりがありすぎて、誰が犯人か分からん



安積:風神さん、ちゃんと信用されてます?



諭:いや、私の部下でなくても。あの上官殿だ。面白がって私が現場から離れて処罰を受けた、というのを話題に出し、それが噂として広まることなんてのはよくあるだろ



安積:たしかに。

こんな隔離された基地の中で、楽しいことなんて人の失態をからかう事くらい。……自分たちの上官殿はそういうのを面白がる人でしたね



諭:どっちが腹黒いのやら



安積:まったくですね



諭:《さっきよりマシな顔だな。もう、話しは済んだか。》……ごちそうさん



安積:あ、自分も参ります



N:会話が一段落ついたところで、トレーを持って立ち上がる諭と安積。

やはり、噂が尾ヒレ背ビレついて出回っているようだ。いろんな人が集まっている食堂というのもあるのか何とも言えぬ眼差しが寄越されては、逸らされた。──そんなこんな、部隊室のある建物へと歩きながら話す二人。




安積:めちゃくちゃ見てきましたね。噂の渦中にいるってこんな気分なんだなー……



諭:そうだな。まあ、あんなの序の口だ。

まだ噂を強請ゆするネタとして絡んでこない分、マシだな



安積:え、風神さんを強請ゆする人ってどんだけ命知らずなんです??



諭:貴官も、本人が隣を歩いているのに随分と遠慮がない物言いだな



安積:いや、まあ。お互いに立場がありますし、この場で鉄拳てっけんはなくとも。訓練の手合わせで仕返しされるかなーって思うくらいなので



諭:ほぅ?それを望んでいるというわけか



安積:え、あっ、いやいや!望んでないです!全然!



諭:遠慮するな。

たしか、明後日の訓練に柔術があったな。その時間に絞め技、関節技アリの乱取り形式の組手でも構わんぞ



安積:ひぇっ、ご勘弁ッ



N:無表情に淡々と言いのける諭。本気で実行しそうで、両手をブンブンと振って遠慮します。すみません、と安積は続けたのだった。



(間)



N:しばらく歩いて、目的の建物の外に設置してある自動販売機から諭は、激安(なんと五十円で買える)缶コーヒーを買う。その隣に立っている安積。



安積:あの、風神さん



諭:なんだ?



安積:風神さんの恋人さんはどんな方なんです?



諭:……なんで、そんなことを聞きたがる


〈〉


安積:心の声

《うわぁ、この手の話を持ち出されんの、かなり嫌なのかなー。まあ、どうせ仕返しされるだろうし、こうやって他愛ない話に付き合ってくれてる間に遠慮せず踏み込んでおこっと》


〈〉


安積:そんな睨まないでくださいよ。風神さん関連でいろんな噂が流れてますけど。

実際のところ、恋人さんはいるのか?という純粋な疑問ですよ



諭:(クソデカ溜め息)……貴官も、そうやって悪ノリするところは花箋かせんと同類だな



安積:えっ!カセン 二等陸曹にとうりくそうと同じだなんて嫌ですよ!心外であります!!



諭:そんなこと言っても、ウワサの張本人の私が迷惑だと思っているのだから同類だろうが



安積:くっ、ど正論すぎて言い返せないっ



諭:ふん



N:ガックシと肩を落とす安積あづみを鼻で笑うまなぶ

完全に諭のほうがイチ枚 上手うわてだ。悔しそうに唇を尖らせる安積だが、自動販売機から甘めのジュースを買った。しかし──



諭:だが、ここだけの話。

私は、遠距離恋愛だ。相手とは、結婚を前提で交際をしている



安積:え、あっ?……そ、そうでしたか!!


<>


安積:心の声

《いやぁ、マジか。本当に恋人がいるのか。まあ、そうだよな。

風神さん、顔だけなら基地の中でも結構モテるほうではあるし、遠巻きに狙ってる人も多かったんじゃないか?じゃあ、恋人を追いかけた話も嘘じゃない可能性が……

いやいや!風神さんは、仕事の鬼だしな!それはないよな!

……かなり、めずらしい顔をされてたし、恋人さんと仲は良好みたいだな。

つーか、ここだけの話って言われたから口滑らさないように気をつけよっと》


<>



N:さらりと、衝撃的な事実をこぼされて猫みたいに目を見開き、声を張って反応するしかない安積。

諭は、そんな反応を見るも鼻で笑った。



諭:そういう、貴官は?



安積:あ、えっと。自分は、色恋とはちょっと ご縁がないといいますか……



諭:そうか。

まあ、私もその年の頃は国防にじゅんじすることばかりに熱を出していたな



安積:そうですよね!今こそ、働きどき!別に無理に探す必要もありませんよね!!



諭:なんで、そんな食い気味なんだ



安積:あ、すみません。

ただ、身内から早めに結婚しろーとか、パートナーはいないのかー?ってしつこいもので……

……正直、国防官になることを反対されていたのです。



諭:なるほどな。アリガチというか、だいたい察しがつく



安積:ですよね



諭:周りがなんと言おうと、自分で縁があると思うときで構わんだろ



安積:じゃあ、風神さんは今がその時期なんですね



諭:そういうことになるな



安積:だとしても、風神さんと恋人になるってことは相手の人って……



諭:おい、それ以上は詮索するな



安積:あ、失敬。……すみません。怒らんでください



諭:まったく、少し気を許すと図に乗る



安積:もう、言いませんから。

……風神さん、お幸せに



諭:ああ、どうも



N:眼差しからして祝福してくれている安積。その姿を見て、やはり鼻で笑う諭。穏やかな空気が流れ出す。……だったが、おもむろにポケットから端末を取りだし、なにやら通知の確認した安積が顔色を変えて──



安積:ん?あっ、ヤバいですよ!



諭:なんだ



安積:カセン二等陸曹から、からかいの連絡が入ってます。

『アミツバくん、マナブと一緒でしょ?みんな、呼んでるから部隊長室に来なよー。』とのことです



諭:なんだ、花箋かせんからなら大丈夫だろ。どうせ、ロクな内容じゃないさ



安積:あ!しょ、少佐からも招集しょうしゅうの連絡が入ってたみたいです……



諭:それは何分前だ!!



安積:六分前ですッ



諭:用件は!



安積:今年の冬の基地祭での部隊の立ち回りを話し合いたい、とのことです!!



諭:安積!行くぞ!!走れ!!



安積:は、はいッ



N:結局、買った飲みものは、飲まれることはなかった。迷彩服のポケットにしまわれ、中身が走る振動とともに揺れる。走って行き着いた部屋は、手をかざすことで指紋認証されて解錠となるタイプの自動ドアー。部屋へと駆け込んだ諭たち。



諭:遅れて申し訳ありません!風神かぜかみ まなぶ!参りました!



安積:同じく安積あづみ 椿紗つばさ!現着であります!!



N:先に集まっていた上官たちに敬礼した。二人の到着に真っ先に反応したのは、部隊の中でも〈厄介者〉と評されている女性隊員である。すかさず、ニヤついた顔でからかってきた。


〈〉


安積:心の声

《ちょっ、ダメだよ!カセンさんっ!!いま、その話を風神さんに言うのは……!!》


〈〉



諭:たしかに?遅れたのは、こちらの落ち度だ。だが……、言葉は選んで発言せんか!花箋かせん



N:抜刀して、斬りかかりそうな勢いで、〈厄介者〉に掴みかかる。しかし、〈厄介者〉は身軽にけてみせた。伸ばしていた手が行き場もなくくうを掻く。



諭:貴様ァ!じっとせんか!!ウロチョロ、ちょこまかと!



N:あきらかに諭の反応を面白がっており、追い打ちの言葉を並べる。

〈厄介者〉は、ケラケラと笑いながら他の上官の前や後ろへと隠れる。上官を盾にしていれば、本気で捕まえに来ないと理解しての行動だ。ますます、笑い声を部隊長室のなかで響かせる。



諭:私に恥をかかせるな!!この愚女ぐじょがぁ!!



安積:か、風神さん!落ち着いてぇ!!



N:さて、この〈厄介者〉がどんな言葉を発し、諭の逆鱗げきりんに触れたかはご想像におまかせするとして……

安積が抱きついて諭を全力で止めるも、その間、ずっとイタズラっ子のように笑う〈厄介者〉。

そのやりとりを『まあ、これもこの部隊の名物芸だよな』と生暖なまあたたかくも、あきれた眼差しで見守る上官たちの姿があった。

はたして、話し合いが上手く進んだかは……また別の話。





───この物語は、本筋のちょっとした脱線話である。

厳しいだけではなく 人間らしく 騒がしさと賑やかさの溢れる国防陸軍のアケボノ基地。

今日も今日とて、彼らの生き様が流れていくのであった。



──────────

〜劇タイトル/ロングバージョン〜


『不機嫌なお見合い相手は、怒りが爆発すると刀を振り回したくなるそうです。』


──────────


番外 台本【問い質し編】  


〜おしまい〜





台本公開日

▶2022年11月21日(月)



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