三人用/【すれ違い編④(終)】
こちらの台本は【すれ違い編④(終)】となります!
▶始めに
・台本の自作発言、作品の転載、登場キャラクターの性転換、台本の内容が壊れるような行為は禁止です。
・使用されるときは、不特定多数の目に入るところ(コメント欄やキャプションなど )に『台本タイトル』『作者名』の
・そのほかの細かい お願い事は【台本利用上のお願い】のページ(▶https://kakuyomu.jp/works/16816700427787953461/episodes/16816700427788115278)を読んでください。
出会いの話は『お見合い編』/【親の言いつけで〜破談ですよね。】という劇台本です。
連作(すれ違い編)の最終話!
今作も"見合い後、交流が続き…なかなか会えない日が続いた挙句…!?" となります。
前作からの連作(【すれ違い編①・②・③】)と併せて閲覧(もしくは上演)して頂けるとより楽しめると思います。
──────────
【上演時間】
▶70分くらい
【比率】
男声1人:女声1人:ナレーション(不問)1人の3人用。
【登場キャラ紹介】
♀
▷22歳
▷とある村の
▶喜怒哀楽がはっきりしており、押しに弱いので残念美人なところがある。
見合い相手への気持ちを自覚し、それらを泣いたり、なぐさめられたりしながら赤裸々に告白する羽目になる(がんばって~!)
(※新潟の方言を話すシーンがありますが、ネット上の方言変換サイト様の内容を引用しております。イントネーションが分からない人は、標準語で演じてください( ˙꒳˙○)マル)
♂
▷24歳
▷国防陸軍 所属の幹部士官(
▶常に不機嫌な顔つきで、話し方もぶっきらぼう。それでいて、不器用。
今作では、不器用なりに気持ちをどストレートに投げつけることにした。そんな吹っ切れ具合いをお楽しみください。(ただただ欲に素直なだけ)
不問 N(ナレーション)
長文が読む得意な人にオススメな役。この役なきゃ台本が回らない。
今作ではどえらい長文と、ラブシーン(当作品比で盛り盛りな内容)を読んでもらうことになります。がんばってください(゚д゚)!
──────────
劇タイトル〜ロングバージョン〜
▷不機嫌なお見合い相手に、捕まりましたが。待ち構えていたのは罠でした。
─ショートタイトルver.─
【すれ違い編④(終)】
──────────
▶台本 本編◀
諭:語り
『車窓越しに輝くネオンの灯り、雨のせいで輝きもにじんでしまって残念だ。
私の気持ちは、今の天候と似たようなものだ。濡れて、なんとも言えない感情が染み込んでくる。すぐ真横に居るのに、タクシーに乗り込んでから言葉を
ずっと、黙ったままで視線も
彼女の気持ちを晴らすことが私に出来るのだろうか。何がどうして、彼女にあんな言葉を吐かせるまでに至ってしまったのか。
恋愛道 劣等生の私には、分からない。』
<>
<>
N:街の中をタクシーが走り抜け、目的地であるホテルの近くで
運転手からのお客さん、着きましたよ。の言葉に二人して顔を上げる。
諭:ありがとうございます。……降りよう
絢乃:……はい
諭:む、足元が悪いな。滑りやすくなっているみたいだ。絢乃さん、手を
絢乃:いえ。大丈夫です。見えてますから
諭:……そうか。余計なお世話だったな
N:
(間)
諭:はい、料金追加プランで一泊だけ。
ええ、そうです。ニーマルナナ号室で大丈夫です。それと貸し出し可能な掛け布団がありましたら、二枚ほどお借りしたいのですが
N:
あきらかに、この客を泊めて大丈夫か?なんてホテルの従業員に思われていることだろう。
諭:心の声
《さっきから何を考えているのか。
どうして、こんなにも内側から痛みを覚えなきゃいけないのか。わからない。
私には、貴女が遠く感じる。》
N:宿泊の手続きが
それもそのはず、元より
諭:心の声
《こんな状態で、何から話せというのか。
いや、まず
あの
N:鍵を開けて部屋の戸を閉めれば、二人っきりの空間だ。
よっぽど大きな声を出さなければ隣室から苦情は来ない。窓際に備え付けのローテーブルに買い込んだ
そして、戸の前から動く気配のない
諭:さて、まずは腹ごしらえをしよう。
話はそれからでも……絢乃さん?
絢乃:……ごめん、なさい……
諭:どうして、貴女が謝るのだ
絢乃:ごめんなさい、アタシが悪いんです…
アタシがこんなだから……
諭:なっ、……おい、そんなところで座り込んでは
絢乃:アタシが、いけないの……
こんな気持ち自覚しなければよかった……
諭:(ため息)
絢乃:……ッ、ごめんなさい……
N:気持ちが不安定な状態で聞こえたため息。
それに酷く怯えた様子でカラダを縮めて床に座りこんで顔を隠す絢乃。
諭:心の声
《……違う。違うんだ。
貴女を責めたいわけじゃない。
そんなとこで座ってはカラダを冷やすし、傷だって痛むはずだ。どうすれば、どうすれば……
──そうか。そうだ、今、私にできることは》
N:何を言っても追い詰めてしまうだろう。
そう悟った
諭:わかったから、謝るな。
貴女が何に対して、罪悪を感じているのか知らん。これから互いに分かり合えるように話し合うのだろ?
だから、今は謝ったりするな
絢乃:っ、……まなぶさん……まなぶさんっ……
諭:ほら、ソファーの辺りが空調が効いてて一番あたたかい。そっちで話そう
N:
手は繋いだまま、傍にいるから泣かないでくれ、そう暗に告げる。
(間)
絢乃:心の声
《泣き落としみたいなことで、
外で言い合った時にカラダだけの関係だって勢いで言ったけど、それも否定してくれてた。そもそも、カラダなんて繋げないわ。
諭さんは、ちゃんとアタシを思ってくれている。心からアタシを思ってくれてる。
なのに、この関係に名前をつけなきゃ安心できないアタシがいる。
惚れた弱み?惚れたら、こんなにも欲張りになるの?ロクな恋愛をしてこなかったツケが回って来てる。》
(間)
N:室内に備え付けの壁時計の秒針が静かに
諭:……
絢乃:……はい…
諭:私は、貴女だけを日々、想っていることはわかってほしい
絢乃:はい…
諭:それでいて、私は浮気なんてしていない。
たしかに、あの
あれは事故とも言えるが隙を見せた私の落ち度だというのは認める。
しかし、アイツはうちの
模擬戦や実戦、まあ、カラダを動かしたり、命の取り合いで気分が高まっていると誰彼かまわずちょっかいをかけてくる
絢乃:……そうなんですね……
諭:あ……いや。これは言い訳だな。
すまない、絢乃さん。私の不手際で貴女を悲しませたのだから先に謝るべきだった
(──深呼吸をし、顔を上げ、真っ直ぐな眼差しで絢乃を見やる諭は……)
<>
諭:ごめん。もう、貴女に失望されるようなことはしない
<>
N:傷つけないように言葉を選んでいるのがよく分かる態度。
こんなに優しいのは、
彼の部下がこんな態度の
<>
<>
N:しばらく静寂が室内を支配していた。
だが、ついに
絢乃:ごめんなさい。
アタシ、今までわかっていなかったんです……、
諭:いや、
ただ、伝わっていなかったのかと残念ではあるな
絢乃:そうですよね……。
でも、アタシ、
諭:何を気づいたんだ
絢乃:アタシの気持ちの変化にです
諭:変化?
絢乃:はい。……そのですね、今まで付き合ってきた人なんかと比べるのもオコガマシイとはわかっているんです
諭:ああ、まあ、そうだな。
見知らぬ奴らと比べられるのは良い気分はしない
絢乃:ですよね……、
でも今まで言い寄ってきた人ってアタシの内面まで見てくれなかったんです。
アタシって、仮にも
好きってなんだろって、愛って何?って疑ってかかるようになってから男の人なんて、すぐ
諭:私は、金目のことなんてどうでもいい。
国防の職に
……にしても、貴女の魅力に気づけんかった
絢乃:(小さく笑う)……なんですか、それ……
諭:おかしいか?
絢乃:(柔らかい笑みを)ええ、とても
諭:……そうか。あー、それで?
貴女の気持ちの変化とやらはどうなったんだ?
絢乃:えっと、それで。
今までの人と
まあ、諭さんがアタシとの二年前の
諭:
絢乃:この関係を続けられてるのも、すっごく忙しくて大変なのに。
時間を使って会いに来てくれてるからで、アタシのことを大切に思ってくれてるからこそだって。
そういうところに胸があたたかくなって、時にはドキドキとかモヤモヤさせられて……
N:顔を俯かせ、言うか
(間)
絢乃:アタシ、
好きで、これが惚れてるっていう気持ちなんだって、気づけたんです
諭:ッ……そうか、そうか……
N:実に感極まる
さまざまな気持ちが波のように押し寄せて
繋いでいる手が微かに震える。
絢乃:あ、でもですね
諭:ん、なんだ?
絢乃:アタシ、あのキスシーンだけは忘れませんから。本当に
諭:うぐっ……(空いてる手で胸を押さえる)
絢乃:えっと、カセンさんでしたっけ……
その女性の隊員さんが恋人なんじゃないかって勘違いするくらいにお似合いだったのが、嫌だったんです
N:足の指が遊んでしまう。落ち着きのなさがあらわになっている
諭:心の
諭:(咳払い)……そんなに似合いだったか?
絢乃:え、はい。とても。
だから、アタシとは遊びだったんだって思い込むくらいに
諭:私がこんなにも貴女を思っていると自覚してくれたのに?
絢乃:……だって……
諭:だって?
絢乃:だって、アタシ、
諭:は?おい、待て。
私たちは、付き合ってなかったのか?
絢乃:……え、やっぱり付き合ってたんですか?
N:
諭:……ハハッ、なるほどな。
オカシイとは薄々感じていた。
じゃなきゃカラダだけの関係だの。本命が他にいるだの、言い出さんよな
絢乃:なんですか。その反応。
なんか、アタシが悪いみたいじゃないですか
諭:いいや、違う。
今は、自分自身に
絢乃:そうなんですか?
諭:ああ、そうさ。
気持ちばかりではダメだったな。
私たちの間にはハジマリにもなった一晩はあるが、まずもって関係を明確にするべきだった
絢乃:えっと、そうですね?
N:さすがは、真面目さに
まったく伝わっていないし、完全に
諭:絢乃さん、聞いてほしい
絢乃:な、なんですか
諭:私は、たしかに貴女の見た目に惚れた。
それがきっかけで、捜し続けていたのもある。
(間)
諭:……
お見合いから交流を続けてきて、様々な一面を見て心が
──例えば、家のお手伝いさんとの
ご両親の教育が身についているし、愛情を受けて育ってきたのが理解できた。
<>
絢乃:心の声
《なんか、いろいろ見られてたってことよね……?うぅ、今更だけど……すっごく恥ずかしい……》
<>
諭:……だがな、見た目だけじゃない。
今まで見せてくれた怒った顔、照れた顔、思ったより子どもっぽいところ、長女さんのことや、ご両親のことを大切に思っているところ。
貴女の素直な感情表現に
絢乃:心の声
《アタシって。
(間)
N:気持ちを語ってくれる
諭:絢乃さん、私を見て
絢乃:……はっ、はい……
諭:……私は、貴女を愛している。
絢乃:……えっ、あ、その……
(嬉しさで泣き出しそうな)
……はい、よ、ろしくお願いしますっ……
諭:ああ、こちらこそ。
N:
固まっている絢乃を見て、小さく笑う諭。そして、子どものタワムレくらいのキスをする。途端に視線を
絢乃:んっ…と、その、なんだか恥ずかしいです……
諭:そうか。だがな、
今後はもっと凄いことをしていくつもりだ。結婚を前提に付き合ってほしいからな
絢乃:えっ!そっ、それは!気が早いと思いますッ
諭:む、そうだろうか?
私の将来の計画としては、貴女が傍にいることで成り立つものだと考えている
絢乃:だ、だからって結婚まで考えてるとは思わないじゃないですかっ
諭:ふむ、気が早かったか。
だが、私は本気だ。
今後、貴女の気が他の
絢乃:努力する方向が間違ってますってぇ……
諭:そんなことないだろ
絢乃:じ、じゃあアタシからも望みを言っても?
諭:ああ、なんだ
絢乃:えっと、本当は、
(間)
N:
絢乃:えっと、ですね。
都内から村まで来てもらうのは大変でしょうし、アタシだって貯金くらいあります。
だから手を繋いで歩いたり、街で美味しいものを食べたり、お泊まりとかは予定が空いてないとムリなのは承知してます。
なので、日帰りでいいのでちょっと遠出して景色眺めたり、そういう <恋人らしい> ことをしたいなって……
<>
絢乃:……思っているのですが……
諭:それが貴女の望みなのか
絢乃:えっと、はい、そうですね……
諭:(ため息)……それが望みとはまったく
絢乃:ッ、……ダメでしたか?
諭:ダメなわけないだろ。
むしろ、この五ヶ月間でいつになったらワガママ言ってくれるのか待っていたくらいだ
絢乃:ワガママって、アタシはそんな歳でもないですよ
諭:(小さく笑う)そう言うだろうと思ったさ。
……だが、これで
私は結婚前提に。貴女はいろんなところに出かけて、思い出を作っていきたい。悪くない今後の話じゃないか
絢乃:そう、ですね
N:
諭:ああ、そうだ。これだけは話しておこう
絢乃:え、はい。なんでしょうか
諭:今回、私は現場を抜け出してまで貴女を追いかけたわけだが
絢乃:あ、そうですよ!それ、もの凄くダメなことですよね?!
諭:そうだ。凄くダメなことだ。
なので
だが、それを理解したうえで抜け出して来たのだ。貴女が気にすることじゃない
絢乃:き、気にすることじゃないって言われましても……
上官さんに怒られたあとは、どうなっちゃうんですか?
諭:もっと上の
ああ。
最悪は
絢乃:そんなクビだなんてっ……、
諭:……だから、貴女が気落ちすることじゃないと言っただろ。
絢乃:い、嫌じゃないですけど……
軍人じゃない
諭:(小さく笑う)私もだ。
軍属であることが、私の存在意義だからな。まあ、温情の転属でも下手したら最北とか最南に行くことになるかもな
絢乃:そ、そんなぁ……
それだとデートとかも、いま以上に無理になるってことじゃ……?
諭:まあ、そうだな。
だが、遠方に転属になったら貴女にも着いてきてもらうから安心してくれ
絢乃:えッ……!?
諭:嫌なのか?
絢乃:っ、ま、
諭:断られても、徐々に説得を重ねて、
時間が許される限り、その日がダメならば、次の日とな。
絢乃:……頑固もの……
諭:言われ慣れた言葉だな。
頭がカタイ、
絢乃:ちゃ、ちゃんと相談はしてくださいよ?
諭:もちろん、するさ
N:頬にくちづけた。普段より
諭:心の声
《ああ、心が繋がるというのは、こういうことか。
今までがどれ程 ひとりよがり だったのか自覚させられるな……。にしても、自分で言ったが最悪の場合は
絢乃:心の声
《本当に、悔しい!なんで、こんな余裕があるの!?アタシばっかりドキドキさせられてるじゃない!ズルい人っ!
<>
N:互いの気持ちが再確認でき、話もひと段落ついた。
時計が示すのは、二一時を過ぎた
諭:(独り言)……少なめのと、特盛のレンチンご飯、インスタントのみそ汁…、千切り野菜の袋…
……お、私の好きなハマトリ屋のトリカラじゃないか…こっちはレンコンと肉のはさみ揚げか……
絢乃:あ、あの!
諭:ん?なんだ、まだ話があるなら食事してるときにで(も)──!?
絢乃:んっ……
N:
諭は、少しだけ驚くもののすぐにイタズラを思いついた子どものような気分になった。
そして相手の腰に手を回して──
絢乃:ッん、ん〜〜〜!!
……ぷはっ……はぁーっ、はぁーっ……
諭:……なかなかに積極的だな。
気持ちの確認が取れた途端に、お誘いか
絢乃:なっ!?べ、別に誘ったつもりは……
にしても!
諭:ふむ、なんの勝負だったのか知らんが、勝てたのならば
絢乃:あの、
なんで、そんなに余裕しゃくしゃくなんですか!アタシばっかり辛いのですが!
諭:ほぅ?私がいつ余裕があるなんて言った?
絢乃:え、えっと……言われたことはない、ですけど……
諭:だよな。まあ、本当は、我慢が得意ってだけで余裕なんてあってないようなものだ。
しかも、今は互いに怪我をしている。万が一、理性がとんだら誰が止められると言うんだ?
絢乃:えっ、あ、その……
諭:私は、優しくしたい。
……だから。あんまり、
N:ぎらり、獣さながらな昂った眼差しで警告した
絢乃:は、はい……すみませんでした……
諭:分かってくれたならそれでいい。まあ、ケガさえ治れば話は別だがな
絢乃:ま、諭さんの、むっつりスケベ!!
諭:ははっ、なんとでも
N:やはり、どこか余裕があるように見えるのは、彼が長男として生きてきた上で
ふくれっ面をする
フロアの中央付近に用意されている電子レンジなどが使える場所へと向かったのだ。
(間)
N:部屋の中に一人で残される。ソファーの上で、顔を手で隠して何やら
絢乃:ぜーんぶ、諭さんのせいだぁ……*こげんに、しょーしぃーんわ…
(*こんなに、恥ずかしいのは)
<>
絢乃:あ、*そろっと(そろそろ)スマホの通知、確認しなきゃ……
N:いそいそとベッドの上に置いてあるポーチ型のカバンからスマホを取り出す。
すると、そこにズラリと従妹の
絢乃:えっ!?
N:届いている通知を確認して、驚きと戸惑いで顔が引きつっていく
絢乃:……想像以上に大変なことになってるわ……
諭:どうした?何かあったか
絢乃:あ、
N:部屋に戻ってきた
静かに相づちをうつ諭だったが、どうしましょう、と頭を抱える彼女に対して──
諭:では、夕食後に謝罪の連絡はしよう。
腹が
そのあとで、イトコのあの青年には通話でもするといい。最後に回す
絢乃:あ、は、はい!わかりました。そのようにします
絢乃:心の声
《すごい……、さすがは軍人さんって感じ。
いいえ、職業は関係ないわね。元々の頭の回転の良さが違うのよ。
……アタシひとりだと、こんなに冷静な判断なんてできなかったし、納得しかないわ。
にしても、諭さんってば
(間)
N:レンチンしてきた品物をテーブルに広げていく
諭:さて、夕食後の予定は決まったわけだ。とりあえずは、腹ごしらえといこうか
絢乃:はい、食べましょう。
アタシも、お
N:
食事をしている間に互いに好きな味の話をしたり、流れでイトコである
その話の内容に
(間)
N:夕食から二時間かけて。
初手に、絢乃の両親との通話。
電話越しだと言うのにペコペコと頭を下げる諭の姿がおかしくて、笑いだしそうになったり、母親に泣かれて
<>
諭:……はい、
必ず明日の昼までには戻ります。
わかっております。ええ、
N:
自分のしたことだ。
諭:……ははっ、遠方への転属は
自分の招いた結果だが……
私は、
N:
諭:心の声
《……
機嫌取りの
夕飯の買い出しのついでに覗いた雑貨屋で見つけた。
まだ話し合いもできてないタイミングだったから機嫌をモノで治させるみたいで、そんなのはダメだと直感で隠した。……今は、互いの気持ちが分かり合えたのに、渡せないでいる。
<>
諭:まあ、渡すのを悩んだところでバレるのも時間の問題だしな……
N:公衆電話ボックスから出て、外の冷えた空気を軽く吸って吐いてホテルの中へと戻った。
<>
<>
諭:
N:
諭:風呂上がりか?
まったく、髪も
絢乃:ん……まなぶさ……おか、えり…なさぁ……
諭:ああ、ただいま。
ほら、
絢乃:ん……おきたらぁ…やりますぅ……
諭:それは、寝落ちる寸前の言い訳だろう。
(ため息)……仕方ない。私がやろう
N:洗面所からドライヤーを取って来て、すでに半分 寝ている
そして、彼女の髪に温風を当て始める。
諭:心の声
《……人の髪を
絢乃:……んふふ……、くすぐったいです……
諭:まだ乾いていない。もうちょっと我慢しててくれ
絢乃:はぁい……
N:剣の道を選んで
ドライヤーのモーター音だけが室内に響く。
濡れ感や湿り気がなくなってきたのを実感でき、温風を止めた。
諭:よし、乾いたぞ
絢乃:んー……ありがとぅ、ご……ざ……
諭:絢乃さん?……寝落ちたのか
N:言葉の途中で寝落ちた
予想どおりに
諭:走り回ったんだ疲れているよな。
N:彼女の額にくちづけを落として、ベッドに横たわらせて布団を掛けた。
それから、
さすがに入浴なんてすると腰のケガのせいで血の湯を作ってしまう可能性があるので遠慮した。
諭:心の声
《私も、ただの男だ。
久方に会えた好いた相手を横に、昂らずに眠れるほど出来ちゃいないしな。》
N:つまりの自制心を総動員させてソファーで眠ることを選んだわけだ。……こうして、二人の気持ちが通い合った夜は静かに
<>
<>
──翌朝。
絢乃:……んー、あれぇ……
N :ベッドからカラダを起こして、寝ぼけた目を擦る
絢乃:まなぶさん、どこ……?
N:起きて早々に探すのが
絢乃:……まさか、帰っちゃったの……??
N:身一つで
つまり、本人がいないということは既にホテルを出て、職場であるアケボノ基地に戻ってしまった、という思考に至ってもオカシクはない。
顔を手で
絢乃:(小声)……どうして?なんでよ。昨日の今日じゃない。
もう少し一緒の時間あっても許されるはずでしょ?アタシ、すっごく会いたかったのに。だって、まだ朝七時よ?実家に泊まってくれた日より別れるの早いじゃない。ていうか、帰るなら帰るって書き置きくらい残していってよ……
(間)
絢乃:
(間)
諭:私がなんだって?
絢乃:え……
諭:おはよう、
絢乃:えっ、ま、
諭:なんだ?まだ夢の中にでもいるのか。私なら、ここに居るぞ
絢乃:あ、はい。おはようございます……
あの、てっきり、お仕事場にお帰りになってしまったのかと……
諭:さすがに無言で帰ったりしないさ。
──(小さく笑う)まあ、これで分かっただろ?相手に置いていかれる気分ってやつが
絢乃:なっ、なっ、それって!二年越しの意趣返しってやつですか!?
諭:意識したつもりはないが、そうなったみたいだな
絢乃:ほんとっ、意地が悪いですねッ
諭:そういう部分も受け入れてくれるのだろ?
絢乃:……ッ、そうですよっ!好きになっちゃったから受け入れられちゃうんですっ!
諭:嬉しい限りだな
絢乃:……でも、なんで居なかったんですか。
てっきり隣で眠られたのかと思ったんですけど
諭:隣で眠らなかったのは自制心を優先したまでだ。
それと、さっきまで留守にしてたのは、日課の走り込みをしてきたからだな
絢乃:自制心って、またそういうことを……
諭:仕方ないだろう。走ってきた方が、気が晴れるのもあったしな
絢乃:……そうですか。アタシも、支度することにします
諭:そうか。支度ができたらホテルの朝食にでも向かおう
絢乃:わかりました
N:いそいそとベットから降りて、洗面所へと向かう
その後ろ姿に
諭:
絢乃:ええ、結びますよ。
今日も
諭:そうか
絢乃:それが何か……
諭:えっと、そのだな。好みじゃなかったら申し訳ないのだが……
N:めずらしく歯切れの悪い物言いで何かを
諭:心の声
《渡すなら今しかないだろうが。
<>
諭:絢乃さん、手を
絢乃:え、手ですか?こうです?
(絢乃、手のひらを上にしてパー)
諭:ああ、まあ。それでいいか。……受け取ってほしい
絢乃:えっ、これは……
諭:その、プレゼントというやつだ。貴女に似合うかもと買ってみた
N:
真ん中に桃色の
諭:えっと、だな。
買い出しのさなかで立ち寄った店で、見つけたのだ。
桃色な花が貴女の瞳のようで、似合うはずだと直感だったのだ。しかも濃緑色の糸を使われているから、これだ、と衝動的に買った。つまりだ、会えない日とかは、この髪留めを見て寂しい気持ちをごまかせれたら……
N:しどろもどろ、言い訳のような購入のきっかけを話す
ちらり、
諭:あ、
絢乃:ありがとうございます、
諭:あ、ああ。貴女の趣味にあったなら
絢乃:いえ、趣味ではないです
諭:ぐっ、そ、そうか残念だ
絢乃:でも、アタシを思ってくれて嬉しいです。大切にします
諭:大切にしてくれるのは
絢乃:ええ、使いはしますよ。壊したくないので出番は多くないとは思いますが
諭:そうか。まあ、時々でもお目にかかれるならそれで良いさ
絢乃:えっと、……あ、そうだ!
諭:ん?
絢乃:ちょっと待っててくださいね!手早く支度しますから!
諭:お、おう?
N:外出用の服と洗顔道具、そしてメイクポーチを
時間は有効に。腕立て伏せでもするかと床に手をついた。
(間)
諭:……きゅうじゅうはちっ……きゅうじゅうきゅう……ひゃくっ!
N:反復動作で起き上がり、息をつく諭。
手始めに腕立て伏せ五〇回。しかし、五〇回を終えた時点で、まだ絢乃の支度が済んでいないのを理解して百回に増やした。
諭:心の声
《女性の身支度は長いな。
だが、父さんはこういう待ち時間に文句を言う男は嫌われるから黙って待つ余裕の心を持ちなさい、と教わったし、私の態度は正解だと思いたい。》
諭:いッ……はぁー、ふぅぅー……
無理し過ぎたか?
N:腰に違和感を覚える
手持ち無沙汰だからと筋トレをしていたが、少々負荷をかけすぎたようだ。
実は、寝起きの時点で腰の刺し傷がかなり痛んだ。しかし、
医療テントから
諭:(小声)……この軽い痛みだけで済むのが約三時間と考えて、絢乃さんと朝の食事をして、すぐ別行動になるとしても、基地のある最寄り駅まで電車で向かい、そのあとにタクシーで……
N:自分に対する挑戦で今日の予定をぶつくさと独り言を吐きながら組み立てる諭。
諭:……薬の効果が持って五時間だな。
まあ、上官の前では
絢乃:お待たせしました〜
諭:ん?いいや、筋トレをしていたから問題な──……!!
絢乃:どうでしょう。
昨日、
諭:ふむ。そのスカートの
絢乃:もぅ、またそういう
諭:あーすまん、すまん。
似合っているのは事実だから
《私は、貴女の脚が好きだからな……、》
絢乃:本当に、思ってます?
諭:もちろんだ。
《他の男に見せたくないくらいに、なんてな。さすがに重すぎるか……》
絢乃:……あ、でですね
諭:ん?どうした
絢乃:この髪留め、せっかくのプレゼントですもの。
諭:いいのか?
絢乃:はい。お願いします
諭:じゃあ、後ろを向いてもらって……
えっと、すまん。どう付けるのが正解なんだ?
絢乃:あ、この髪ゴムの上から挟むようにして
諭:なるほど、こうか
絢乃:はい、えっと……どうですかね?
諭:ああ、私の見立てた通りだ
絢乃:その、似合ってます?
諭:とても似合っている。ワンポイントカラーというのだったか?……貴女によく合うな
絢乃:(小声)……くっ、表情はいつもと変わらないはずなのにっ……
諭:ん?なんのことだ
絢乃:い、いえ。独り言です
諭:そうか。では、朝食にでも行こうか。
絢乃:はい、ぜひ
諭:……なんだか、素直な貴女は新鮮でいい。とても
絢乃:またぁ、そうやってさらっと言いのけるのはずるいですよっ!
諭:言えるときに言っておきたいのだ。いいだろ?
絢乃:むぅ……、まあ、アタシも愛してます。
諭:(息を飲む)──ありがとう、
N:愛を告げ合い、手を繋ぎ、精一杯の笑みを浮かべてみれば満面の笑みが返ってくる。
こうして <恋人> としての初めての朝を無事に迎えた
二人の愛だ恋だの話は、これからも続いていく。
<>
<>
諭:語り
『五ヶ月。長かったようだが、
今後も、剣の道とは違う熱意と努めを忘れず、彼女が離れていかないように思考と策を巡らせねば。恋愛道は、一筋縄ではいかない難所だから。』
絢乃:語り
『アタシの気持ちをひとつ告げるだけで、惚れた人が嬉しそうにするのが伝わってきます。こう、不機嫌な空気がやわらぐのが分かるのです。
愛だ、恋だが何なのか、それは明確にはできるものではありません。人それぞれ違うけれど、まずもって<離れがたい><傍にいてほしい>という感情に応じることで成り立つものだと理解しました。
これからは、会いに来てくれるのを待つのではなく。会いに行くのです。これが、アタシのなかでの大きな一歩。
どうか、受け止めてください。アタシも、アナタを
<>
<>
───────────
劇タイトル
▷不機嫌なお見合い相手に捕まりましたが、待ち構えていたのは(甘い)罠でした。
─ショートタイトルver.─
【すれ違い編④】
───────────
おしまい
【すれ違い編④】完!
連作でございましたが!
すれ違い編は、ハッピーエンドにて終了!
これからも、諭と絢乃の入籍までのやり取りや出来事を紡いで参ります!!よろしくお願いします!!
台本公開日▷2022年8月18日(木)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます