三人用/【すれ違い編①】
この台本は【すれ違い編①】です!!
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▶始めに
・台本の自作発言、作品の転載、登場キャラクターの性転換、台本の内容が壊れるような行為は禁止です。
・使用されるときは、不特定多数の目に入るところ(コメント欄やキャプションなど )に『台本タイトル』『作者名』の
・そのほかの細かい お願い事は【台本利用上のお願い】のページ(▶https://kakuyomu.jp/works/16816700427787953461/episodes/16816700427788115278)を読んでください。
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出会いの話は『お見合い編』/【親の言いつけで〜破談ですよね。】という劇台本です。
そして、今作は "見合い後、交流が続き…なかなか会えない日が続いた挙句…!?" となります。
前作(【長電話編】)、前々作(【お泊まり編】)と併せて閲覧(もしくは上演)して頂けるとより楽しめると思います。
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───────
【上演 目安 時間】
▶50分~55分
【比率】
♂1人:♀2人:不問0人の3人用
【キャラ紹介】
♂
▶24歳/国防陸軍に所属する幹部士官(
・不機嫌な顔(デフォ)をしている。話し方もぶっきらぼう。今作では、絢乃とは電話とチャットでのやり取りがメイン。
・都合上、出番まで間があるのでナレーション兼役でお願いします。
♀
▶22歳/大地主の次女
・感情豊かで、子供っぽいところもありつつ素直になれない性格。まだ恋心の自覚が薄い。
▶押しに弱い残念な美人。
▷気が動転すると、新潟の方言が出る。
♣️♀
▶20歳/絢乃の従妹(寒原 母のキョウダイのこども)
・普段は都内の男装カフェで働く。オン(仕事時)とオフ(休日)は切り替えているので、普段はそこまで男っぽくない。
けれど、言いたいことは言う遠慮ない性格。※1.新潟の方言あり。
・ちょいちょいナレーションとしての役割が回ってきます。
((※1.
恋する方言変換/BBPPER様から引用しております。イントネーションが分からなければ、標準語で演じてもらって大丈夫です。趣味 全開ですみません。))
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─────
劇タイトル
▶ロングバージョン
『不機嫌な お見合い相手にナイショで街に行きました。なんだか不安です。』
▶ショートバージョン
【すれ違い編①】
─────────
───────
※演じても演じなくても大丈夫な場面。本シリーズを知らない人向けです。
絢乃:こんにちは、
今までの
(間)
諭:語り
『どうも、お初にお目にかかります。そうではない方は、そのまま聞いてください。
私は、
階級は
この
忘れられぬ相手こと──
私には行き着けの飲み屋があるのですが、そこの先客としてヤケ酒をしていたのが
ヤケ酒をしていた絢乃さんは、酔い潰れてしまったのです。
閉店 時間も差し迫っていたこともあって女性ひとりを放っておくのもどうかと介抱ついでに、世話をやいたのがコトの
そう、お酒の勢いもありましたが、彼女とは一夜を共にした関係であります。
しかし、その夜が明けてしまえば。一夜の夢の如く。
私がシャワーを浴びているあいだに、彼女は置き手紙もなく、
ただ数枚の
手酷い裏切りを受けた気持ちにもなり、また同時に、絶望も味わったのです。
──ですが、その一夜から1年と半年が経った頃。
仕事に
それから教えてもらった事前 情報を頭に叩き込んで日々を過ごすこと……
──お見合い当日。
目的の相手である
二年前の話題を持ち出すことで、思い出してくれたようで何より。
何せ、私の一目惚れですから。相手と恋仲になりたいと思うのは、自然な気持ちでしょう。
仲を深めようと計画 実行中でしたが、出逢ってから五ヶ月も経った
職場を休暇のたびに留守にしすぎたせいで、上官から苦言が。頼むから
職場にかんづめにされるのも、時間に追われるのも仕方ないこと。国防の盾をお背負っている者の
だがしかし、私だって一人の『男』であります。想い人に会えない日が続くのはさすがに辛い。』
─────────
▶ここから本編◀
N弍:
──メール、通話でのやり取り。
(間)
絢乃:何よ、それ……信じらんないッ……
(深呼吸)マナブさんの!!バカァァァ!!
大華:えぇっ!?アヤちゃん!??!
(間)
N壱:2077年の秋頃(
事の起こりは二週間前のこと。
大華:ええっ!?アヤちゃん、マジで言ってんの!?
絢乃:しぃー!
大華:いや、だって!おかしいっちゃ!おまんら、そのモダモダした関係になって何ヶ月ちゃね!ばか多忙な職だからってデートもしたことない!?
(大華(標準語):「いや、だって!おかしいよ!あんたら、そのモダモダした関係になって何ヶ月だよ!すごく多忙な職だからってデートもしたことないの!?」)
絢乃:デート……うん、してないかもしれないし、してるかもしれない……。
いや、お休みの日は、わざわざ都内から実家に来てくれるし……おうちデート?ってのはしてるかも……
大華:は〜〜ん?けど、それってアヤちゃんの親いるじゃん。ほぼ恋人らしいことしてなくない?
絢乃:……えっと、あのね
大華:何さ
絢乃:アタシ、
大華:は?
絢乃:えっと、ややこしくて申し訳ないんだけど……
別に、アタシは
大華:(ため息)そのマナブってヤツ、しゃーつける
(大華(標準語)
「(ため息)そのマナブってヤツ、殴ってやる」)
絢乃:えっ、暴力はダメだよ?
大華:……まあ、冗談だけど
ねえ、アヤちゃん。いいの?そんなので
絢乃:いいと言うか、なんと言うか……お見合いのときは、こんな人なんてって思ったけど……
近頃は、なんだか色んなこと知れたから
大華:何それ、ハッキリしなよ。つーか、付き合ってもないのに手出しするとかさ。
なに?セフレとして、遊んでるつもり?
絢乃:あ、いや……そんなことは……
そもそも、セフレとかじゃないの!キスしかしてないし!あ、いや!もしかしたら、付き合ってるのかもしれないよ?
大華:すげぇ、
……まあ、その相手のおめがぁ、記憶になきゃあ!付き合ってないのも同じっちゃなぁ!!
(大華(標準語)
「すげぇ、
……まあ、その相手のあんたが記憶になければ!付き合ってないのも同じだわな!!」)
絢乃:うっ、は、はい……
N壱:机をバンッ、と叩いて確信を突く
大華:(ため息)……なんか、アヤちゃんと騒いでたら、喉かわいちゃった。
オバチャンに、飲み物もらってくる
絢乃:うん、いってらっしゃい
N壱:相手を見送り、そのままテーブルへと突っ伏する
絢乃:語り
『どうも、
アタシは、とても寂しかったのです。なにせ、
今までは長くても二週間に一度は会いに来てくれたのですが。けれど、さすがに上司の人から苦言を漏らされたらしく……
暇を持て余し、なんとなく気分を晴らしたくて人を呼びました。
それが、騒ぎに騒いでくれた彼女です。相談する相手、間違ったかもしれない……。
彼女──
絢乃:語り
『
(間)
N壱:
大華:アヤちゃーん、オレンジジュースでよかったー?
絢乃:えっ、ああ、うん。大丈夫、ありがとう
大華:(ため息)……にしても、なんだかなー
絢乃:なにが?
大華:本当に、仕事なのか気になってきた
絢乃:誰が?
大華:うん、そう。
だって、急に会いに来なくなるって変じゃない?軍人ってそんなもん?
絢乃:どうなんだろう……。
でも多忙な職種だと、なかなか会えないカップルさんは世の中にごまんといるだろうし……
大華:ねえ、アヤちゃん
絢乃:なに?
大華:もう、確かめに行こ
絢乃:それは、
大華:そう。これで、本当に浮気とか
絢乃:軍人の
大華:あ、殴ってはいいんだね
絢乃:あー、いや、そういうことでもないんだけど。まあ、たぶん
大華:……本当に付き合ってないの?
絢乃:なんで?
大華:いや、あきらかに相手を理解してます、好きですーって雰囲気だすからさ。急にノロケられたのかと
絢乃:そうかな
大華:そうなの
絢乃:えっと、……アタシ、諭さんのこと、好きなの?……あれ……??
大華:うわぁお、無自覚?
こりゃ、ダメだわ。何だかんだ、マナブっていうヤツのこと同情するー
絢乃:心の声
《えっ、じゃあ……諭さんから連絡が来るだけで嬉しいって思うのも、お仕事で会えないってわかって残念だなって思ったのも……全部、この感情が『恋』だから……??えっ、アタシ、諭さんが好きなの……!?》
N壱:顔を赤くした
絢乃:あ、でね。いつ行くの?それ
大華:いつでもいいよ。ウチ、稼ぎだけはいいから店長も
絢乃:そっか。じゃあ、アタシね。バイト入ってない週があって……この二週間後にでもお願いしたいのだけど
大華:二週間後?ふーん、この日からか。おっけー、予定空けとく。この日は、車で迎えに来るわ
絢乃:うん、お願いします
大華:よっしゃぁ!見てなさいよー。マナブってやつ!マッジで、浮気してたらしゃぐっちゃ*(平手打ちするさ)!
絢乃:ほどほどにね
N壱:こうして、本人の知らないところで【打倒 マナブってやつ!】の計画がスタートするのだった。
(間)
──2077年の
N壱:それから二週間後、
昼過ぎには到着するというメッセージを受け、外で待っている
─────────
絢乃:チャット[
諭:チャット[おはよう。]
諭:[すまん。もう、昼近くだな。返信が遅くなった。今なら、やりとりできる。]
諭:[
絢乃:[お陰様で、変わりなく]
絢乃:[今は、お昼休みとかですか]
諭:[いや、営外へ移動中だ。]
諭:[車の中でな。だから、やり取りができる。]
絢乃:[そうなんですね]
絢乃:[軍人さんって、基地の中でお仕事をしているものとばっかり]
諭:[私の所属している隊は、営外での任務も多いからな。]
諭:[今日も、その関係でな。]
絢乃:[お疲れ様です]
諭:[ありがとう。]
諭:[私は、早く貴女に会いたい。]
絢乃:[お気持ちだけで、充分です]
絢乃:[無理はなさらないでください]
諭:[無理なんかじゃない。]
諭:[前にも話したが、私にとったら貴女と会えるだけで元気を貰える。]
絢乃:[そう言っていただけて、嬉しいかぎりです]
諭:[今度、また会いに行ける
絢乃:[はい。任務、がんばってくださいね]
絢乃:[ご武運を]
諭:[ああ。息災でな。]
絢乃:──会いたい、か。
……アタシも、です。……なーんて!諭さんの仕事、邪魔できないからね!そんなこと返さないけど〜!
……ん?まだ、返信くれるの?
諭:[絢乃さん。]
絢乃:[なんですか]
諭:[いつでも、貴女をお
絢乃:ほぇっ……!?!?
諭:[それだけだ。またな。]
(間)
絢乃:心の声
《言い逃げぇぇぇ!!そういうとこです!!
N壱:スマホを握って、腕を振り回す
そんな絢乃の前にボックスタイプの軽自動車が止まり、助手席側の窓が開く。
大華:お待たせ〜、アヤちゃん
絢乃:あ、
N壱:後ろ髪をきっちりと結っている
ハンドルにカラダを預けながら問いかける大華。
大華:泊まりがけになると思うし、服とか用意してきた?
絢乃:一応、三日分は用意したよ
大華:あいよー。まあ、足りなかったら買ってあげるから
絢乃:いいよ。アタシだって、貯金くらいあるし
大華:ウチが、プレゼントしたいって言ったら?
絢乃:うーん、そのときはそのときかな
大華:ははっ、アヤちゃんは押しに弱いなぁ
絢乃:もぅ、からかわないでよ
大華:ごめんって。ほら、シートベルトして。長旅になるし、眠ってもいいよ
絢乃:運転まかせちゃって、ごめんね。アタシも、早く免許取らなきゃ……
大華:へーき。
ドライブは好きだし、ウチの運転で眠ってくれるなら安心してるってことっしょ?嬉しいもんだよー
絢乃:さすが、言い慣れてるね
大華:そういうアヤちゃんは、言われ慣れてるって感じー?
絢乃:ふふっ、そんなじゃないよ
大華:そうー?まあ、いっか。のんびりと話しながらドライブしますかね〜
絢乃:おっけー。じゃあ、今日からよろしくお願いしますっ
大華:はーい、よろしくー
N壱:なめらかな走り出しを切る。
道すがら他愛ない会話をしたり、スピーカーから流れるラジオ局の内容や懐かしい名曲や話題の曲で和やかな車旅がスタートである。
(間)
大華:うーん!はぁ〜、やっぱ外のほうが気持ちぃ〜!
N壱:かれこれ二時間ほど高速道路で移動した先のサービスエリアで小休憩をすることにした
絢乃:うん、ちょっと腰痛いかも……。車での移動って大変なんだね……ってことは
大華:(ニヤニヤ)──アタシに会う為に、こんな長旅を?ってか〜?
ほんっと、自覚してから漏れすぎー
絢乃:は、
大華:何さ。本当のことっしょー?もう、ちゃっちゃっと付き合っちゃえよ
絢乃:そうなんだけど……そうじゃないというか……
大華:なに、またモジモジしてんの?つーか、チャットでやりとりしてんでしょ?
文面で送ったって、問題なくない?それで、成立すれば万々歳じゃんよ
絢乃:さすがに、失礼じゃないかな……
大華:はい、でたー。
アヤちゃんの直接言わなきゃ失礼でしょ理論。まあ、いいけどね。お好きにどうぞって感じー
絢乃:大華ちゃんってば協力的なのか、そうじゃないのか……
大華:ウチは、楽しけりゃ協力的にもなるしー、そうじゃないなら非協力的にもなるよー
絢乃:さすがは、ザンネン美人……
大華:褒め言葉として受け取っておく〜
絢乃:もぅ、マイペースさんなんだからっ
大華:あはは〜
さーて、ちょっと遅くなったけど ごはん食べて、仕度できたら車旅 再開するからねー
絢乃:うん、りょーかい
(間)
N壱:さてさて、それから三時間後。
都会へとやって来た二人だったが、すっかり夜である。どこで食べる?なんて話をしたものの、結局は駐車場が入りやすいという理由でファミリーレストランで夕飯を済ませたのだった。
夕食後。
絢乃:なーんか、結局おひとりさま なわけね……
あー、もぅ!無理に言ってでも
一人なんかじゃ出歩く気にならないよ〜!
N壱:ゴロンゴロン…、ベッドの上を転がる。すると、スマホに通知が届く。
絢乃:ん、
大華:チャット[家ついたー]
絢乃:チャット[お疲れ様 運転ありがとうね]
大華:[いいえー アヤちゃんと過ごせて、楽しいから気にしなーい]
絢乃:[明日はどうしようか]
大華:[明日ねー?どうしよっかー]
大華:[ねえ アケボノ基地?だっけ]
大華:[マナブってヤツがそこから出てくる日ってわかったりするの?]
絢乃:[一応
大華:[エイガイ?]
絢乃:[そう 営外]
絢乃:[基地の外のことをいう言葉なんだって]
大華:[そっか なる〜]
大華:[でも さすがに繁華街にまでやって来ないよね]
絢乃:[たぶんね]
絢乃:[どんな任務をこなしてるのかは分からないけど]
絢乃:[警察とは違うもの]
大華:[だよねー]
大華:[まあ 久しぶりの都会なわけじゃん?]
絢乃:[うん]
大華:[計画はのちのちで!]
大華:[明日はパーっと遊ぶっきゃないっしょ!]
絢乃:[そうだね]
絢乃:[楽しみにしてる♪]
大華:[つーことで 朝の10時にはホテルのフロントまで迎えに行くから]
絢乃:[りょうかい]
大華:[おやすーん]
絢乃:[おやすみ ありがとう]
N壱:
絢乃:ふぅ……、車旅で疲れちゃった。お風呂、入ってこよ
(間)
N弍:入浴後。濡れた髪を拭きながら、ベッドの前で息をつく
絢乃:ふ〜、サッパリした。湯はり機能のある部屋にして良かった〜
あれ、なにか通知きてる。
……って、ま、
N弍:意外や意外。夜にチャット返信してくることがめったにない
絢乃:えっ、あっ、しかも七分前!今なら間に合うかな??
諭:チャット[今、時間あるか。]
絢乃:チャット[あります!]
諭:[寝ていたのかと思った。]
諭:[よかった。]
諭:[通話はできそうか?]
絢乃:通話!?えっ、えっと、髪 乾かしてないけど……いいや!あとで!通話できます。大丈夫です、と
諭:[了解。]
諭:[今、移動してる。]
諭:[着いた。通話かけるな。]
N弐:
絢乃:わっわっ、本当にかかってきた!──もしもしっ…!
諭:『こんばんは、絢乃(あやの)さん』
絢乃:お疲れ様です。通話なんて、大丈夫なんですか?
諭:『今は、自由時間なんだ。だから、許可された場所でなら通話も可能でな』
絢乃:そうなんですね
<>
絢乃:心の声
《
<>
諭:『今日は、何をしたんだ?』
絢乃:えっと、今日はドライブしました
諭:『ドライブか。私も、貴女とできればいいのだがな』
絢乃:それは、また都合のつくときでいいですよ
諭:『貴女は、遠慮がちと言われないか?』
絢乃:そうでしょうか。
諭:『そうか。なかなか容赦ない物言いをする友人だな』
絢乃:あ、大華ちゃんはアタシの従妹なんです。母さんの兄妹の子で
諭:『なるほどな。イトコさんか』
絢乃:はい。歳も二歳しか変わらないので、本当のキョウダイみたいで
諭:『ハルカという名前で、イトコね……。成人は済んでいるのか』
絢乃:はい、大華ちゃんは成人しています
諭:『そうか。なら、貴女を任せられるな』
絢乃:どういう心配ですか…(くすくす笑う)
諭:『いいや、貴女が楽しめたなら良いんだ。気にしないでくれ』
絢乃:あの、
諭:『なんだ』
絢乃:ちゃんと、ご飯は食べられていますか?忙しくても睡眠も食事も大切ですよ
諭:『食事は、とっている。睡眠は、まあ短時間でも慣れている。今日は、上官に営外任務のおりに民間の食堂でご馳走になった。……何か気がかりでも?』
絢乃:いえ、食べられているなら良いんです。でも、ちょっとだけ声が、疲れている気がして……
諭:『……』
絢乃:あ、ごめんなさい!
諭さんが大丈夫って仰るなら大丈夫ですもんね。余計なお世話で──
諭:『スゴいな貴女は』
絢乃:え?
諭:『声で分かるのか』
絢乃:あ、はい。
なんか、久しぶりにお聞きしたせいもあると思うんですけど……
お会いしてお聞きするより違って聞こえて……
諭:『そうか。……ありがとう』
絢乃:えっ、なんでお礼なんて??
諭:『いいや、言いたくなったんだ。知ってのとおり、私は顔色が変わりにくい。声もしかりなのだが、疲れていても、なかなか気づかれないのだ』
絢乃:ムリは禁物ですよ
諭:『無論だ。倒れて、今の案件が片付かずに期間が伸びたりしたら貴女に会いに行けないからな』
絢乃:アタシのことは気にしなくていいですってば
諭:『そうやって、突っぱねられても会いたいという気持ちは変わらん』
絢乃:……
諭:『ん?どうした』
絢乃:……あの、今度、お会いできたら伝えたいことがあるんです
諭:『伝えたいこと?今ではダメなのか』
絢乃:えっと、そうですね。ダメです
諭:『そうか。では、楽しみにしておこう』
絢乃:た、楽しい事じゃないかもしれませんよ?
諭:『そうとも限らんだろ』
絢乃:そうですけど……
えっと、あの。本当はですね
諭:『ああ、なんだ?』
絢乃:アタシも、諭さんにお会いしたいなって……思っていたりして……
諭:『ッ、そうか。ありがとう。私も会いたい』
絢乃:心の声
《時間、どのくらい大丈夫なのかな。もう少しだけ、何でもいいの。話をしていたい》
N弍:通話を終わりたくないと、無意識に話を引き伸ばしている絢乃。お互いの気持ちが高まっているが、その空気に水を差すがごとく女性の声。
諭:『あ?なんだ、なんの用だ。見れば分かるだろ、通話中だ』
N弍:声の女性と気心が知れた仲なのか、タメ口で、しかも下の名前で呼ばれている諭。ゆるい口調で話をすすめる女性が言うには、上官からのお呼び出しのようだ。
諭:『あぁ?またか、あの人は……』
絢乃:えっと、アタシは大丈夫です。行ってください
諭:『いや、どうせ急ぎの用事じゃないから大丈夫だ』
N弍:
絢乃:いいからっ、行ってくださいっ
諭:『絢乃さん?』
絢乃:あ、ごめんなさい……。
今、
諭:『そうか。……分かった。またな、絢乃さん。おやすみ』
絢乃:はい、ありがとうございました。おやすみなさい
N弍:軽い切断音で、通話が終了した。スマホを消灯して、ベッドに寝転がる
絢乃:心の声
《アタシ、なんで嫌だなんて思ったの?女性の声がしたから?でも、相手は同僚さんか、部下さんの誰かのはず。諭さんは、通話を続けようとしてくれてたのに……なんで、アタシは胸が苦しいの?でも、こんな気持ちを持つ資格ないじゃない。だって、アタシは諭さんの恋人じゃない……》
<>
絢乃:……だから、ダメなのよ……
N弍:備え付けのマクラを抱きしめ、顔を埋める絢乃。ホテルの室内にポツリと、吐き出された
(間)
N弍:その頃、
基地の外に出て徒歩五分にある
(※不機嫌シリーズ 豆知識
入隊から歴が浅いもの、階級の低いもの、独身の隊員はほとんどが基地の中にある
諭:はい、ではまた明日、お話を伺います。失礼いたします
N弍:敬礼し、上官の部屋から出てきた
──彼が向かったのは官舎内にある娯楽室だ。談話する為だったり、大型のテレビがあるので
諭:おい、ここにカセン
N弍:出入り口に一番近いカウチソファで自由時間を満喫していた(単身赴任でこの基地に所属している)
陸士長は、
諭:そうか。わかった
N弍:
声をかけられた陸士長は、緊張が残っているのかガタガタと震え、可哀想だ。他の
おい、マジかよ…と言った感じだ。なにせ、
諭:心の声
《あんのっっっドあほのせいで、私の貴重な時間がつぶれたでは無いか。しかも、上官のもとに顔を出してみれば呼んでもいないと言われる始末。けれど、来たんならついでにと時間を拘束された。》
諭:心の声
《私が所属する隊の女はろくな奴が居らん!特に、カセン
N弍:ずんずんと、進み。中庭に続く勝手口から外に出る
諭:見つけたぞ!カセン
N弍:声に振り向き、
諭:貴様のせいで、私の貴重な時間がつぶれたではないか!!
N弍:詰め寄り、胸ぐらを掴む
民間人の
諭:何が、そんなに気に食わんのだ!!これ以上、邪魔だてするのならば、不敬罪で
N弍:相手は、少し考える。
だが、相手の答えは ぶち込めるなら、どうぞ。 と言った開き直りである。
諭:心の声
《ああ、この
N弍:
それを続けている彼女に対し、諭は──
諭:黙れ!!
……もういい。貴様に構っていては、疲れるばかりだ!!
これ以上、余計なことをしでかすなよ!明日の作戦に支障が出たら容赦せん!!
N弍:相手を強く突き飛ばすことで、諦めた。ここで引き下がらないと、相手を医務室 送りにしそうだった。相手から 終わりですかぁ? と返されるものの、ガンと無視を決め、
夜は
(間)
N壱:翌日。ホテルのロビーに備えられているソファーにて、約束の時間に
絢乃:心の声
《……何度、見返してもないのよね。付き合ってください、とか。恋人になって、とかのメッセージ。
いやぁ、改めて言われてないだけで雰囲気で分かるだろ?って言われたら何となくって感じだけど……やっぱり言葉にしてほしいし、確信がほしい……》
N壱:
ここ四ヶ月のチャット履歴を見直して恋人関係なのか、どうかを考えまくった絢乃。
しかし、あいにくとそう言ったヤリトリもなければ最後のチャットは昨晩の通話切断で終わっている。なので完全に寝不足で、少し疲れた顔をしている。
絢乃:はぁー……、せっかくのお出かけなのに楽しめ──
大華:ア〜ヤ〜、ちゃん!!
絢乃:ひょわっ!!
大華:あはは〜、いい驚きっぷり〜
絢乃:んもっ!*ばか、たまげたちゃー!*なんすると!!
(絢乃:標準語「んもっ!とても、ビックリしたじゃなーい!なにするの!」)
大華:*かんべんね〜
ちょっとした出来心だよー
(大華:標準語「ごめんね〜 ちょっとした出来心だよー」)
絢乃:もぅ、心臓に悪いよぉ
N壱:背後から抱きつかれた
ケラケラと笑い飛ばしてくるので反省の色が見えない
大華:んー?なんか、アヤちゃん変じゃない?
絢乃:えっ、どこが?今日は普段よりメイクとか頑張ったんだけど……
大華:あー、いや。
オシャレとかメイクは文句ないくらいに満点だよ。けど、なんか疲れてない?
絢乃:ドキッ)……えっと、ちょっと寝付けなかっただけなの。枕が合わなくて
大華:へー、お腹出して廊下でも眠るアヤちゃんがねー?
絢乃:なっ、いつの話してるのよ!アタシだって変わるの!
大華:あはは〜、まあ、それもそっかー
絢乃:ん?そういう
お仕事のときの雰囲気に似てる
大華:ふふん!よくぞ、気づいてくれました!題して『弟系カレシ』でござい!
絢乃:ふふ。コンセプトまで決めてくるなんて、さすがね
大華:まあね〜
──(耳元で)今日は、『ボク』がおねえさんを楽しませてあげる。よろしくね
絢乃:ひゃあっ、もぅ、朝から『タイガくん』は刺激が強いよ〜!
大華:あは〜、やっぱアヤちゃんの驚く顔は何度みても楽しい〜
絢乃:もぅ、イジワル!
大華:ありがと。褒め言葉として受け取るよー
絢乃:……でも、本当にそういう格好してると芸能人みたいね
大華:えー、またスカウトされんのは嫌だなぁ
アヤちゃんとのデートを邪魔されたくないー
絢乃:仕方ないじゃない。
大華:そういうアヤちゃんも十分に美人さんだからね?自覚してぇ?
絢乃:そうかな?
大華:そうだよー
N壱:二人は吹き出して笑う。傍から見れば実に仲のいい恋人のようだ。または、姉弟とも言える。
大華:でね。どうして、こんな気合いの入った格好をしてるかと言うと!
絢乃:言うと?
大華:マナブってやつと偶然にも会うかもじゃん?だから、盛大に勘違いさせてやろうかと!
絢乃:あー……、まあ、
大華:そう?まあ、面白い反応が見れそうじゃん
絢乃:もぅ、悪い子!
大華:好奇心旺盛って言ってよ
絢乃:でも、……たぶん、
大華:え、何がー?
絢乃:うぅん、なんでもないよ。じゃあ、今日もよろしくお願いしますっ
大華:あいよー。んじゃあ、まずはスタクの新作を飲みに行こー
絢乃:はーい、楽しみ〜
N壱:そう笑いあって、肩を並べ合ってデートを開始する二人。
しかし、
──────────
劇タイトル/ロングバージョン
『不機嫌なお見合い相手にナイショで街に行きました。なんだか不安です。』
─────────
───────
【すれ違い編①】 おしまい
台本 公開日
▷2022年5月20日(金)
【すれ違い編②】に続く〜!
▶https://kakuyomu.jp/works/16816700427787953461/episodes/16816700428991044936
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