三人用/【お泊まり編】
この台本は【お泊まり編】です!!
▶始めに
・台本の自作発言、作品の転載、登場キャラクターの性転換、台本の内容が壊れるような行為は禁止です。
・使用されるときは、不特定多数の目に入るところ(コメント欄やキャプションなど )に『台本タイトル』『作者名』の
・そのほかの細かい お願い事は【台本利用上のお願い】のページ(▶https://kakuyomu.jp/works/16816700427787953461/episodes/16816700427788115278)を読んでください。
──────────
・当作品は【親の言いつけで〜破談ですよね】と同一キャラが "見合いで対面してから、交流を開始する馴れ初め台本" となります。
前作(【お見合い編】)と併せて閲覧して頂けると、より楽しめると思います。
|ू・ω・` )どうも、作者の瀧月です。
【お見合い編】の後日談で入籍している諭と絢乃ですが。
はて、この二人はどういう風にくっついて、入籍まで行ったのだろう?という作者本人の純粋な疑問からシリーズ化することになりました。
これからは、入籍するまでの一年間を思い出 深い話だけではありますが、台本化していきます。
ぜひ、二人の行く末を見守ってくださいませ〜!!
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────────
【上演 目安 時間】
▶約40分
【比率】
♂1人:♀2人:不問0人の3人用
【配役・キャラ紹介】
♂
▶24歳/国防軍に所属する
・不機嫌な顔(デフォ)をしている。話し方もぶっきらぼう。結構、グイグイ来る。強い。
♀
▶22歳/大地主の次女
・感情豊かで素直になれない性格。押しに弱いところがある残念な美人。
♀寒原 母/兼役:N
▶娘(絢乃)の幸せを願いすぎてついつい口出しをしてしまう。優しいときは優しいし、叱るときは叱る良き母親。
▷寒原 母のセリフ数の都合上、兼ね役にナレーションをお願いします。
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劇タイトル
▶ロングバージョン
『不機嫌な お見合い相手との破談がダメなら、攻略されないように攻防します。』
▶ショートバージョン
【お泊まり編】
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【台本 本編】
絢乃:語り
『どうも、お元気ですか。アタシ、
つい この間、一人暮らししていた街から連れ戻され……もとい拉致されて見合いの席に立ち会ってから十八日が経過。アタシは、まだ実家に居ます。
というより、残るしかないと言ったほうが適切ですね。なにせ、一人暮らししていたマンションは既に解約され、荷物も実家の自室に運び込まれているのです。
いくらマンションの契約更新の年だったからって、本人に意思確認をせずに解約するのはいかがなものか。
アタシは、勝手なことをして実家に居座らせようとする両親……いいえ、この場合は母の存在にとても嫌気がさしています。』
(間)
──2077年 初夏(水無月の頃)
N:寒原家
絢乃:(なにかの鼻歌)〜♪
寒原 母:ねぇ、
絢乃:んー?なに、母さん
(お茶を飲みながら)
寒原 母:お見合いのあと、
絢乃:うっ……ゲホッゴホッ……
寒原 母:あら、大丈夫?
絢乃:んんっ!…ケホッ…鼻にはいっ、んー、ノドも痛い……
寒原 母:何よぉ、むせたりして。やだわぁ、この子ったら
絢乃:あー、えっと
<>
絢乃:語り
『
アタシの見合い相手だった人です。北関東 生まれの育ち。
現在は
<>
寒原 母:それで?個人的な連絡先くらいは聞いてあるのでしょ?
絢乃:えっ、まあ、知ってるけど……
寒原 母:なぁに、あなた。
何も音沙汰なしとかじゃないでしょうね?
絢乃:あのー、いや、それがね?
寒原 母:なにそれ!そんなんじゃダメよ!
しっかり、アピールしなきゃ!
風神さま みたいな安定した生活が約束されている将来も有望な男性を!逃しちゃ後悔するわよっ!
絢乃:デ、デスヨネェ……
<>
絢乃:心の声
《言えないっ!本当は、すでにカラダを知ってます……なんて!!
しかも、その一夜だけを美化してるのか何なのか知らないけど子供の頃につくったケガの
……そんなこと、口が裂けても言えない!!》
N:絢乃は視線を逸らす。母親からの
(間)
寒原 母:(あーだーこーだー)──だから、絶対に逃しちゃダメなのよ!
絢乃:あーーー、もぅ!わかった!わかったから!
寒原 母:コラっ、
絢乃:今は、ほっといて!!
N:耐えきれず逃げ出す
(間)
N:自宅から三十分ほど歩いた先にある村の公園。
自治会の建物、ベンチが三脚。遊具も鉄棒、ブランコ、ジャングルジムのみで。どれも塗装がはげて、
絢乃:はぁ……、アタシってば逃げてばっかりじゃん……
N:ため息をついて、ブランコに腰かけ足先で軽く地を蹴って、揺れる。
絢乃:夕方までに母さんの怒りが
諭:もし、帰れないなら。
その時は、私と食事にでも行くか
絢乃:へっ……、えぇっっっ!?ま、ま、
諭:なんだ。そんなに驚いた顔して
絢乃:えっ、だって、なんで居らして??
諭:今日から非番でな。
もちろん、アポはちゃんと取ったぞ。返信はなかったが
絢乃:え、連絡くださったんですか?でも、アタシのスマホには何も通知なんて──って、あれ、これ音楽 聴く用のやつだ……
諭:(小さく笑う)慌てて出て来るからだろう
絢乃:うっ……ですよねぇ……
諭:それで?
こんなとこで、何をしていたんだ。逃げ隠れるにしては、随分と見晴らしがいいが?
絢乃:……だいたい、気持ちを整理したいときはこの公園に来てるんです
諭:なるほど、思い出の場所なのか
絢乃:思い出なんて、そんなキレイな場所じゃないですよ
……たんに、ここしか来る場所がないんです
諭:(何か言いかけるも)
……そうか。まあ、見晴らしもいいし、のんびり考え事するにはうってつけだろうな
絢乃:辺ぴなとこだって、言っても問題ないですよ。
だいたいの人は、都市部に出ちゃうくらいには生活するにも不便な土地ですから
諭:だからと言って、ここは
絢乃:まあ、そうですけど……
諭:だが、似たようなものだな
絢乃:何がです?
諭:私の実家がある土地も似たような景色なんだ。
山に囲まれ、田畑があって、魚の泳ぐ川があって……
絢乃:でも、さすがにここまで田舎じゃないですよね
諭:そうだな。さすがに、ここまで田舎じゃない。一時間くらい車を走らせれば、
絢乃:じゃあ、ちょっとだけ
諭:そうとも言えるな。
……少しは興味を持ってくれたか?
絢乃:それは、
諭:そうだ
絢乃:……今のは、たんなる
諭:そうか。残念だな
絢乃:心の声
《残念か。そう言わせたのはアタシのほうなのに。なんで、ちょっとだけ胸が苦しいんだろう…》
<>
<>
N:時は少し戻って、
──丁寧な運転で、寒原家の外壁へと車を乗りつけた。車から降りてくる諭。
諭:心の声
《連絡が返ってくるのを待っている間に、自宅に着いてしまったな。……もしかして、着信拒否されている訳じゃないよな?》
N:一抹の不安で、
諭:いいや、暗い考えはやめておこう。
……とりあえず、家の前だが自宅の電話にかけてみるか
<>
寒原 母:『はい、もしもし。
諭:お世話になっております。
寒原 母:『あらぁ、
わざわざ、自宅に電話されるなんてどうされたんです?
もしかして、お父さんにご用でしたか?でしたら、今は出掛けておりますよー』
諭:そうですか、
寒原 母:『ええ、そうなんです〜』
諭:……あの本当の用件は別にありまして。
本日、そちらにお嬢さん、いえ、
寒原 母:『あら、
諭:ええ、お願いします
N:端末越しに保留中の音楽が流れる。待たされること三分後──
諭:心の声
《行き違いじゃないと楽なんだがな……》
寒原 母:『もしもし。
諭:はい
寒原 母:『本当に、申し訳ないですー。あの子ったら書き置きもなしに出掛けたみたいで……』
諭:そうでしたか。何か、ご友人と急用でも入ったのでしょうか
寒原 母:『いえ、たぶんですけど。気分転換に出たかと』
諭:気分転換?何かあったのですか
寒原 母:『お恥ずかしい話で、かなり
諭:そうですか……、なるほど。わかりました。探してみます
寒原 母:『探してみる?それはどういう──』
諭:それと、
寒原 母:『あー、そうそう。
あの子ったら連絡のつくスマホのほうを置いていったみたいで……』
諭:わかりました。ありがとうございます。見つけたら、ご自宅まで お連れしますね
寒原 母:『あの、
諭:今、ちょうど村に来ていますので
寒原 母:『あらあら、まあまあ!遠路はるばると〜。お父さんに報告しなきゃですね〜』
諭:ええ、そんなわけでして。一旦、失礼します
寒原 母:『はい〜、娘をよろしくお願いします〜』
<>
<>
諭:心の声
《なんて やり取りがあったが、公園にいるとは思わんかった。
てっきり、村の商店通りにいるかと思って先に回ったがハズレだったしな。
……見つけた時、彼女の背中が寂しそうに見え、衝動的に背後から抱きしめたくなった。が、我慢した。そんなことしては、本気で破談にされそうだ……》
N:二人の間に沈黙がやってくる。そよそよと風が吹いて、木が揺らめき、ブランコの鉄の囲いの上に
諭:ふっ、…うー…(アクビを堪える)……んんっ、失礼
絢乃:
諭:あー、まあな。
昨晩……いや、四日前まで樹海で
報告書を
絢乃:え?樹海って、富士の?
諭:ああ、そうだが?
絢乃:まっ、まさか、お仕事のあとにココまで居らしたんですか??
諭:ああ、そうだ
絢乃:ダメじゃないですか!ちゃんと寝なきゃ!
諭:ん?いや、別に睡眠は短時間で大丈夫なように慣らしてある。そもそも、道中のサービスエリアで仮眠はした
絢乃:だ、だからって……せっかくのお休みの日にこんな田舎まで来なくても……
諭:田舎であろうと、なかろうと。私が
絢乃:ッ……、な、なんでアタシなんですか
諭:なんで、とは?
絢乃:アタシが、
諭:もちろん。だから、あの一夜があったのだからな
絢乃:うっ……、あの、アタシ。ずっと家のシキタリが嫌だったんです
諭:シキタリ?
絢乃:はい。代々、
<>
諭:心の声
《なるほどな。
家同士のお見合いなんて、時代が古いなんて思っていたが。それを利用して、再会する場を
<>
絢乃:……でも、そうなると。
もし、お付き合いしている人がいても家のゴタゴタに巻き込んだりして、なんだが面倒だなって。そんなシキタリに振り回されるなんて……アタシの人生ってなに?って感じが嫌で、嫌で
諭:……
絢乃:あ、すみません……変に語ったりして……
諭:いや、大丈夫だ
絢乃:あの、それと。
アタシに四つ年上の姉がいるのはご存知ですよね
諭:ああ、知っている。
絢乃:はい。
……姉さんは、シキタリの通りにお見合いして、十五歳も年の離れた人と入籍することになって……姉さんが嫁ぐ日。
言われたんです。『
その言葉がトゲみたいに刺さっちゃって。だから高校卒業と同時に家を出たのに……
絢乃:心の声
《自分の背中の
アタシを見てくれたかと思ったら、傷痕のことで揉めたりして、ストーカーする変な人に目をつけられたりして、それで家族に心配かけて……》
N:下唇をきゅっ…と噛んだかと思えば、それでも言葉を続けて、へらりと悲しげに笑う
絢乃:結局、心配かけるだけかけて連れ戻されたりして……
家を出た意味、なかったな…って……
諭:心の声
《……これじゃあ、私のひとりよがり、だな。
N:
それから、寂しげな顔で
絢乃:……だって、
諭:は?それは違う
絢乃:え?
諭:いや、すまなかった。
今、理解した。私と
絢乃:そご、ですか
諭:ああ、まったくの食い違いだ
絢乃:それは、どういう……
諭:心の声
《今は、独りよがりでも良い。とにかく、誤解をなくさなければ》
諭:……見合いの席でも話したが、私は二年前の一晩を共に過しただけの
絢乃:……二年もよく続きましたね
諭:本当にな。
私は、物事に対しての執着は薄いはずなんだ。
職業柄、いいや、これは
絢乃:じゃあ、なんで
諭:貴女のことを調べれば調べるほど、と言った感じだな。
貴女の
──そして、見合いの席で貴女を見た
一目惚れなんて信じていなかったが、こればっかりは脳の勘違いを信用してもイイ
絢乃:……つまり、それって。お見合いが嫌で、そのようなお顔をされてたわけではないんですね?
諭:顔?……あー、いや、すまない。言葉不足にも程があるな。あのな、
言い訳のようだが、私は表情が顔に出にくいのだ
絢乃:え、そんなことってあるんですか?
諭:ある。まあ、こればかりは実体験だな。私が五歳だったか。
そのくらいの物心ついた時から耐え抜き、弱音を吐かず、父や母の期待に応えようと剣の道に進み、国防の道を選んだ。
……そしたら、いつしか笑うことも難しくなっていたんだ
絢乃:そんな幼い頃から……、どうして、ご両親の期待に応えようと思ったんですか
諭:そうだな。
褒めてもらえるから単純に嬉しかったのだ。期待に応えれば、自分を
絢乃:弟たち、ですか
諭:ああ、私には四人の弟がいてな。私が長男で、五男──いいや、末っ子とは一〇歳の年の差だ
絢乃:四人も弟さんがいるのですか……
諭:ああ、成長ざかりの男五人が騒ぐ家を仕切ってくれた母は大変だったろうな。
父は、
絢乃:じゃあ、そんな お父上に姿に影響を?
諭:国防官になった理由は、他にもあったな。
けれど、私の思いとは反してな。どういうわけか。五人のうち二人は軍属に関わる職に
絢乃:
諭:どうだろうな。
話したとおりだが、私は常に不機嫌みたいな顔をしている。
実家に住んでいるあいだは、末っ子なんて私が苦手なのか近づきもせんかった
絢乃:今も
諭:いや、どうだろうな。
今は全寮制の学園に入ったし、私の職業柄もあって実家で会うことも、文を送ることも、ましてや通話することもないからな
絢乃:……それは寂しいですね
諭:寂しいの、か。そういう自覚もなかったな
絢乃:(小声)……不器用な人…
諭:ん?何か言ったかな
絢乃:いいえ、なんでもないですよ
諭:そうか。
N:地域放送の
諭:む?もう、こんな時間か。私は、絢乃さんの
諭:心の声
《短い時間だったが、互いのことを話せてよかった。》
絢乃:え、はい。いってらっしゃいませ
N:ジャングルジムのほうへと離れて行く
絢乃:心の声
《……なんか。興味があるのか、ないのかアタシ自身がわからない。でも、黙ってるわけにもいかず、会話をしたけど……》
N:少し陽の下がってきた空を見上げる
絢乃:……会いたかったって言われて、悪い気はしなかったなぁ……
N:その呟きに応えるものはいない。
<>
諭:もしもし。
こんばんは、
寒原 母:『あら〜、わざわざ お電話ありがとうございますー』
諭:いえ、お陰で見合いの時より身の上の話ができました
寒原 母:『それはよかったですわ〜。ああ、そうそう。
諭:用件が済んだので、街に戻ろうかと考えておりましたが
寒原 母:『でしたら、我が家に泊まってってくださいな。
夕食もご用意しますし、何ならお父さんも、久方ぶりに「
諭:心の声
《一応、休みをもぎ取るときに、もろもろの申請を出してはいるが……あきらかに基地から離れ過ぎている……
いや、でも。想い人の実家に、
寒原 母:『
諭:ああ、失礼。
……では、
寒原 母:『ええ、そうしてくださいな。それと、
諭:好きな食べ物ですか……、そうですね。私はトリ肉の天ぷらが好きです
寒原 母:『わかりました。では、お戻りをお待ちしておりますね〜』
諭:はい、ありがとうございます。失礼します。
(間)
──通話 切断後。
諭:お待たせしました。
ご自宅まで送ります。戻りましょう
絢乃:あ、はい……(立ち上がる)
諭:……
絢乃:だと、いいんですけど……
諭:心配なら、私から話を通そう。そうすれば、貴女の母君も事を大きくしないはずだ
絢乃:……そうですね…
N:
<>
間
<>
N:──さて、その日の夜。
絢乃:はーい、分かってるー。
……(ため息)……あー、もぅ!!
N:
絢乃:心の声
《……聞いてない。聞いてないよ。
てっきり夕飯を食べたら帰るかと思ってたのに!!
いや、食卓を一緒に囲むのも、ものっすごく気まずかったけど!!
帰宅したときに、母さんのご機嫌すぎる態度で理解してれば!!
いや、反対したら、それはそれで怒られてたかもだしなァ……
でも、今。
よ〜し、会わない!大丈夫!!》
N:抱きしめた圧で、余計にクタァ…となったぬいぐるみをベッドに置く。
絢乃:お風呂に行こ!そして、鉢合わせないように気をつける!!
<>
N:絢乃 入浴中。
絢乃:はぁ〜……広いお風呂って最高〜……
実家の良いところって、夕飯を考えなくても出てくることと、浴室が広いことくらいよね……
(間)
絢乃:にしても、
手の感じと、飲み込むたびに上下する
アタシ、あんな人と本当に……
N:シャワーのコックからぴちょんと水滴がたれた。
絢乃:──あー!ダメダメ!!そんなじゃないんだから!!
アタシは、
のぼせる前にあがろっ!!
N:なかなかに騒がしい入浴である
<>
間
<>
絢乃:は〜、サッパリした〜
……ん?話し声がする……
N:柱の陰に隠れる絢乃。
諭:はい、私も久しぶりに腕がなりました。
ええ、また打ちましょう。はい、今夜はこのへんで。
おやすみなさいませ、
絢乃:心の声
《あ、
と、というか。この廊下を突っ切らないと自分の部屋に戻れないんですけど…!今は、なんとなく
早くどっか行ってよ〜…!》
N:その場にしゃがみこむ
諭:ん?
(声を低めて)──誰だ。
絢乃:心の声
《えっ、気付かれて?》
諭:そこに隠れているのは、知れているぞ
N:キシッキシッ、
暗闇に溶けているが、眼差しの鋭さは
あと
絢乃:にゃ、にゃーん……
諭:……っ、んん……そ、そうか猫か……
絢乃:にゃ、にゃう……
諭:くっ、ふふっ、やめてくれ、笑ってしまうだろ……!
絢乃:なーう!!
諭:くふっ、あはははっ…!
絢乃:心の声
《つい、ふざけた反応しちゃったけど。
N:廊下に響く
夜になんだ?と、
<>
間
<>
絢乃:あ、あのー。そろそろ笑うのやめませんか?
諭:ふふっ、そうだな、そうなんだが……
絢乃:そんなに面白かったですか?
諭:ふふふっ、なんかツボに入ってしまってな、すまない……
絢乃:そうですか
N:止まったかと思いきや思い出し笑いをする。なかなか笑いが
絢乃:あ、もしかして お酒
諭:ん?ふふっ、よくわかったな
絢乃:ええ、まあ。お父さん、打ってる間は軽く呑むから……
だから、
<>
絢乃:心の声
《納得した。だから、笑い続けてるのね。
だから、スイッチ入ると笑い
<>
諭:ふふっ…、んーはぁー…(伸びをする)
絢乃:戻られます?お部屋、わかりますか
諭:うん、大丈夫だ
絢乃:本当に?ダメそうなら送りますよ。灯り落としてるから廊下も暗いですし
諭:……貴女の部屋はどこだ?
絢乃:え、アタシの部屋はこの先ですけど
諭:そうか
絢乃:
諭:お邪魔じゃなければ、少しでいい。もうちょっと貴女と居たい
絢乃:……えっ、あっ……
N:
諭:ダメ、だろうか
絢乃:ダメって言ったら……
諭:だったら、お借りしている部屋に戻る
絢乃:……っ、だ、ダメじゃないです
諭:そうか。ありがとう
N:お酒の効果は
格段に気が
<>
間
<>
N:──朝、
絢乃:……あ、れ……??いつの間に寝て……あ……
N:隣には
──と言いたいが、寝間着の浴衣が
絢乃:心の声
《ウソ、まさかアタシってばまた??いいえ、そんなわけない。
だって、特になにもなかったはずだもの!そう、何もなかった、のよ!覚えてないけど……!!》
N:顔を手で
諭:……朝か
絢乃:えっ、はい。おはよう、ございます…
諭:ああ、おはよう
絢乃:あの、つかぬ事をお聞きしますが……
諭:ん?
絢乃:何も、ないですよね
諭:何もないとは?
絢乃:あ、いえ。気のせいならいいのです。
はい、失礼しました。顔、洗ってきま──
諭:目覚めて、相手がいるというのは不安にならなくて気分がイイ
絢乃:ッ……本当に、何もなかったんですよね?!
諭:どうだろうな
絢乃:ま、
諭:あ、おい。
絢乃:
諭:
絢乃:そうやって、話題かえて はぐらかすとこ嫌いです!
<>
諭:心の声
《まあ、昨晩は他愛のない話をしていただけだ。
その間、眠気に負けないようにうとうとしてる
それで、イタズラ心ですこーし激しめにキスをしたのだが、そのまま気絶したんだよな。
なにぶん、寝てる相手に手を出すほど
そしたら、朝だったってのが事実だ。まあ、本人が覚えていないならノーカンってことで黙っておこう。》
<>
諭:そうは言われても、覚えていない貴女にも責任があるんじゃないのか?
絢乃:また、そういうこと言う!!
寒原 母:あらあら、朝から元気ねぇ
絢乃:ッ、母さん……
諭:ああ、
寒原 母:おはようございます、
絢乃:お、はよう……ございます……
寒原 母:はい、おはよう。
──おふたりさん、仲がいいのは
ですが、まだ朝早いのです。音も響きますよ
絢乃:はぃ……、ごめんなさい……
諭:大変、失礼しました
寒原 母:わかればよろしい。ほら、顔洗ってらっしゃい。
ご飯、用意しておきますから
絢乃:は、はーい……
N:そう告げて、居間へと入って行く
絢乃:……
諭:……
絢乃:……怒られちゃいましたね
諭:ああ、なんとも新鮮な気分だ。私は自分の母に
絢乃:……ふっ、ふふふ……
諭:おい、なんで笑う
絢乃:いえ、なんだが面食らってる
諭:ったく、面白がったりすることじゃないだろ
絢乃:ええ、まあ。そうなんですけど
諭:なあ、
絢乃:……ええ、まあ、本当に、ちょっとだけです
諭:そうか。手厳しいな
絢乃:ええ、でもこうやって笑って過ごせたら悪くないかな。
……って思ってますよ
諭:本当か?絢乃さん、その言葉に──
絢乃:お先に!顔洗ってきます!!
諭:おい、またそうやって逃げるのか!ズルいぞ!
絢乃:ズルくないですー!
<>
寒原 母:(ため息)……まったく。また、バタバタと騒いで。
注意の意味がありませんでしたわ。
……まあ、若いうちにこそ言い合って過ごすのも悪くはないのでしょうね。
寒原 母:ねっ、お父さん。
あの子が
<>
間
<>
絢乃:語り
『騒がしく、互いの思い思いを会話しながら許された時間を過ごす。
何がきっかけで、それを「恋」と自覚するかは分からない。
けれど、アタシはまだ攻防します。
そう簡単に、
諭:語り
『相手から反応があることの嬉しさ。
ああ、感情が動かされるというのはこういうことか。
私が喜んでばかりではダメだ。
攻略し続けるには策を練り、相手の顔色や感情を探ってこその「恋愛道」。
剣のように、ただひたむきに向き合うだけでは叶わぬもの。
さて、次はどうするか。』
<>
<>
───────────
劇タイトル/ロングver.
▶不機嫌な見合い相手との破談がダメなら、攻略されないように攻防します。
〜ショートタイトルver.〜
【お泊まり編】 おしまい
──────────
台本公開日 2021/11/27(土)
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