三人用/【お見合い編】


こちらの台本は【お見合い編】となります。


▶始めに

・台本の自作発言、作品の転載、登場キャラクターの性転換、台本の内容が壊れるような行為は禁止です。

・使用されるときは、不特定多数の目に入るところ(コメント欄やキャプションなど )に『台本タイトル』『使用するページのリンク』『作者名』の明記めいきをお願いします。


・そのほかの細かい お願い事は【台本利用上のお願い】のページ(▶https://kakuyomu.jp/works/16816700427787953461/episodes/16816700427788115278)を読んでください。


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【上演時間(目安)】

20分~25分ほど


【比率】

♂ 1:♀ 1:不問 1の3人用


【配役表・キャラ紹介】

寒原かんばら 絢乃あやの

22歳/とある村の大地主の次女

▶喜怒哀楽がはっきりしており残念美人なところがある。

家のシキタリが嫌で、高校卒業と同時に家出し、上京した街で放蕩ほうとう生活をしていた。しかし、どういうわけか実家の人に連れ戻され、お見合いに参列することに…


風神かぜかみ まなぶ

24歳/国防軍 所属の少尉

▶冷静沈着、常に不機嫌な顔つきで、話し方もぶっきらぼう。それでいて、不器用なので 怒り爆発、ブチギレる と相手 関係なしに『貴様!』と言う。しかし、冷静になるのも早い。


不問 N(ナレーション)

▶この役なくして、当台本は成り立たぬ。そんな必須な語り役。


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劇タイトル

▶ロングバージョン

『親の言いつけでお見合いに行ったら相手が不機嫌です。これ、破談ですよね。』


▶ショートバージョン

【お見合い編】


──────────

【台本 本編】


──2077年の初夏(皐月の頃)。


N:都心の高級ホテル 和室の間

手入れが行き届いた一室に脚の短いテーブルを挟んで、向かい合っている男女。締め切られた格子戸の先から庭のシシオドシが音を立てている。



絢乃:心の声

《誰か、この場所から連れ出してくれないかなぁ……》



絢乃:語り

『失礼しました。

アタシ、寒原かんばら絢乃あやのと言います。

今、アタシはとても気まずいのです。何せ、高校卒業と同時に堅苦しい家のシキタリを嫌い。

家出すること4年目の初夏、現在・22歳。

どういうわけか、一人暮らしのマンションの前を実家の人間に張られてバイト帰りに連行され、抵抗むなしくしかりつけてくる母親に一週間みっちりと手解きされ、今日、お見合いの席に座らされているのですから。』



(間)



絢乃:あ、あの。風神かぜかみさま



諭:さま付けなどしなくて結構。気軽に、まなぶとお呼びください。



絢乃:あ、はい。では、まなぶさんと……



<>


絢乃:心の声

《なんなの?会話が進まないよ!

あー!気まずい!絶対、この人も嫌々に連れて来られた人だって!

というか、この人、なんで軍服なの??本当に軍の関係者ってこと!?

いいえ、負けてはダメ。

ここで黙ってて何も進展がなかったって母さんにバレたら怒られる……!》



<>



絢乃:あの、まなぶさんは普段、何を……



諭:普段?それは、趣味とかの話ですか



絢乃:は、はい。そうですね



諭:自分は、囲碁や将棋をやるのが好きです。

あとは昔なじみ……

いえ、身内が道場を経営していますので。そこで師範しはんの真似事をしています。長期 休みのあいだだけですが



絢乃:いいですね!アタシも、武道は好きです!

あ、まなぶさんは剣道ですか?空手ですか?それとも、柔道?



N:話に食いついた絢乃あやのに表情も変えず淡々と答えるまなぶ



諭:自分は、剣道を教えています。

日によっては、柔道の組手を任されることもあります。ですが、児童を本気で投げてはケガをさせますので



絢乃:すばらしいです。

ちゃんと相手によって加減をなさるのですね



諭:……自分が手をくだすのは、御国おくにあだなすものだけで充分じゅうぶんですから



<>


絢乃:心の声

《お国をあだなす……?》


<>



絢乃:あの、まなぶさん。失礼を承知の上でお聞きしても……?



諭:なんでしょう



絢乃:まなぶさんの、その服装は真似事ではなくて本職のお方ということ、でしょうか……



諭:はぁ?



N:驚いて圧のある声が漏れてしまうまなぶ。縮こまる絢乃あやの



絢乃:えっ、あっ、ごめんなさい。失礼だと分かっていたのですが、つい気になってしまいまして──



<>


絢乃:心の声

《アタシ、ちゃんと前置きしたじゃん!なんで、怒るのよっ!!》


<>



諭:……本当に、何も知らずに来たのですか



絢乃:え、はい



諭:(ため息、舌打ち)

……私は、国防軍アケボノ基地 所属の陸上要員りくじょうよういんになります。

一応、これでも少尉しょういとして部下をまとめる側の士官しかんです



絢乃:そう、だったんですね……

すみません、知らなかったです。アタシ、母さんに連れて来られて……



<>


絢乃:心の声

《アケボノ基地っていうのは、時々、ニュースとかで聞くわね。……けど、ショーイとかシカンっていう言葉は耳なじみがないわ……。》



<>



N:まなぶから落とされた解答の言葉に戸惑いを見せた絢乃あやの。視線を迷わせて、口を引き結んでしまう。

そこに諭の追撃ついげきといえる言葉が発せられた。




諭:もしかして、貴女あなたは身代わりか



絢乃:み、身代わり?なんのですか!?



諭:貴女は、ソックリさんとか そんな感じか?顔が似ている人は世の中に3人はいると聞くからな



絢乃:ち、違います!

ちゃんと本人です!アタシが寒原かんばら 絢乃あやのです!



諭:……では、なぜだ。

一般論で申し訳ないが、いくら家同士が決めた話でも見合いする相手のことを調べるものでは?



絢乃:そ、そんなことを言われても……アタシはただ連れて来られて……



諭:(ため息)話にならんな



絢乃:……ッ……


<>


絢乃:心の声

《泣くな、絢乃。我慢よ。

というか何なのよ、急にタメ口を効いたかと思ったら説教くさいこと並べちゃってさ。軍人ってみんなして、こういうヤツなの!?》


<>



N:顔を俯かせてしまった絢乃あやのは内心で憤慨ふんがいしている。まなぶから鋭い視線が注がれ、居心地の悪さはマックスである。すると──



諭:ん?すまない、私の携帯電話だ

(部屋を立ち去りながら)

──もしもし、風神かぜかみです



絢乃:……出て行ったし……

んもぅ!お見合いの席くらい電源を切っておきなさいよ!



N:閉められた格子戸に向けて振り上げたのは、空っぽの湯のみ。しかし、そっと下ろして顔を俯かせる。



絢乃:あはは……、そのくらい気乗りしない話なんだろうな……



(間)



N:着信によって和室の間を出たまなぶは、庭先の端っこで難しい顔をして話し込んでいた。



諭:はい、はい。ですから、その案件については曹長そうちょうのひきいる分隊を……

はい、分かっております。はい。



N:なかなか通話が終わらないのか、通話を続けて一〇分程。



諭:……では、その話はまた公務のさいに。はい、失礼いたします。(通話 切断)

(ため息)……女狐めぎつね 上官じょうかんが、からかう為にかけてきやがってッ

……もう、こんなに時間が経ったのか。急ぐか



(間)



絢乃:もぅ〜〜!絶対、これ着信を言い訳に帰ったって〜!!アタシ、あと何杯のお茶飲んで待ってればいいわけ!?



N:一人残され、不満が爆発している絢乃あやの。テーブルをバンバンと叩く。




絢乃:あ、ヤバい。本当にお手洗いに行きたい……

まあ、どうせ。帰ってるだろうし、書き置きとかしなくてもいっか



N:ふすま側から廊下を進んでお手洗いに向かった絢乃あやの。入れ違いで格子戸側からまなぶが戻って来た。



諭:お待たせしてしまい、すみませ……

居ない、だと?まさか、帰ったのか??



N:和室の間のテーブルにぽつんと置かれた空っぽの湯のみとふうの切られた茶菓子の袋が残されている。眉間にシワを寄せるまなぶ



諭:(舌打ち)なんて、身勝手な女なんだっ

顔が良ければ許させれるとでも思っているのか……!



N:怒りの感情で、勢いのままたたみを蹴った。


<>


諭:心の声

《まったく、書き置きくらい残して行くのが筋ってもんだろう。気乗りしない縁談だとしても失礼だとは思わんのか。

あー、腹立たしい。

いくら大地主おおじぬし寒原かんばら殿どのが可愛さのあまりに、あまやかした末娘すえむすめだとしても常識ってもんがなさすぎる。

こうなっては、待ってても時間のムダだ。

……たしか、相手は和装だったな。もし、外でタクシー捕まえるにもお昼時だ。そう遠くまで行ってないだろう。》


<>



諭:(ニヤリと)……追跡と、詰問きつもんは私の得意分野だ



(間)



N:入れ違ってから三〇分くらい。お手洗いを済ませた絢乃あやのは、鯉の泳ぐ池がある庭園を時間つぶしに歩いていた。




絢乃:はぁ〜…母さんになんて話そうかな……

(ため息)……どうせ、しかられるし。姉さんとも比べられるんだ。




(間)



絢乃:いっそ、このまま一人暮らししてた街まで逃げようかな……



<>


絢乃:心の声

まなぶさん、顔は整っててイケメンだったなー。カラダつきもしっかりしてて、まさに国を護る人って感じ。

でも、あーやって会話が続かないとお付き合いしてもロクなことなさそう。

というか、諭さんは軍人さんなんだし、きっと多忙だからデートする時間もないか。

なーんか、幸せになれる未来は想像できない……》


<>



絢乃:このまま、破談かなぁ……



N:絢乃あやのの独り言に応えるかのようなタイミングで鯉が跳ねた。



絢乃:(ため息)……とりあえず、母さんに連絡を──



諭:見つけたぞ!!カンバラぁ!!



絢乃:ひぃっ……!



諭:(大股で近づき)

貴様!こんなとこに居たのか!



絢乃:えっ、あっ、ま、まなぶさっ……いッ…!



諭:見合い相手である貴女に逃げられたと知れたらッ

寒原かんばらのご両親に顔向けできんだろうが!



絢乃:そ、そんなこと言われたって!



<>


絢乃:心の声

《痛い、なんで加減もなしに手を掴んでくるのよ…!》


<>



絢乃:……ま、まなぶさん、乗り気じゃなかったですよね……?だから、途中で退室されましたし、てっきりお帰りに……



諭:帰るなら帰ると声くらいかける!貴女の中で、私はよっぽど常識のない人間に見えるようだな!



絢乃:ッ…、そんなことありません!!



諭:では、なんだと言うのだ!



絢乃:とりあえず、手離して!痛い!!



諭:あ、すまない……



絢乃:(安堵のため息)

……怒鳴ったりして、すみません



諭:(咳払い)

いや、私のほうもおさえられず取り乱した。失礼した



絢乃:いえ…。

あの…まなぶさん。お言葉ですが、アタシだって何分も置いてけぼりされたら、帰られたと思ってしまいます。破談だと思ってしかるべきかと



諭:……すまなかった。

たしかに、すぐに通話を切り上げて戻るべきではあった



絢乃:分かっていただけたなら、充分です(ふわっと笑う)



諭:……!



N:まなぶは、面食らう。

そんな笑顔ができたのか、とでも言いたげである。

絢乃あやのの視線は、握られて少しあざになった手首に向けられている。うかがうような眼差しが諭に向けられた。




絢乃:あのー、これだけはお聞きしたいので聞かせてください。

そもそも、どう言った経緯いきさつでアタシとの縁談を望まれたのですか



<>


絢乃:心の声

放蕩ほうとうムスメだとしても仮にも大地主おおじぬしの次女だし、どうせお金目当てだったり、古い家の名前が欲しいだけ でしょうけど……》


<>



N:信用していないのが丸分かりな眼差しをよこす絢乃あやの。戸惑うまなぶ



諭:あー……いや……そのだな……



絢乃:心の声

《急に歯切れが悪いわね。やっぱり、アタシの思った通りかしら》



諭:そんな目で見ないでくれ。

あー、分かった経緯いきさつや理由も話す。……だが、頭のオカシイやつだと笑わないでほしい……



絢乃:なんでしょうか


<>


絢乃:心の声

《お金が目当てで言い寄る人は今までたくさん居たし、今更、頭がオカシイなんて思わないわ。 まあ、寂しい人なんだなって思うくらいよ》


<>



N:絢乃は、憮然ぶぜんとした態度で立つ。

そんな相手の態度に焦りつつも、思い出すように話し出すまなぶ




諭:私は、傷痕きずあとのある女性を捜していた。

貴女を知る経緯いきさつとしては、貴女の父君ちちぎみの話からだ。元より貴女の父君とは交流があってな。囲碁や将棋を通して親しくさせて頂いている。

交流も、両の手では足らないほどの数になった とある日に、『わたしの娘には、幼少期の怪我のせいで肩から背中にかけて大きな傷痕きずあとがあります。わたしは、その負い目のせいで少々、甘やかして育ててしまい。今や、放蕩ほうとうの日々です』と話を聞いていた



<>


絢乃:心の声

《お父さんと交流があったなんて、全然、知らなかったわ。なんで、母さんってば教えてくれないのよ……

というか、キズアト?まあ、たしかにアタシの背中にはケガの痕が残っているけど……》


<>



絢乃:……それが、どうされたのですか?



諭:その、覚えてないだろうか、二年前のこんな時季だ。……私は、たぶん。

──いや、たぶんではないな。



(間)



諭:(真っ直ぐな眼差しで)

──私は、貴女を抱いた。



(間)



絢乃:……え?



諭:思い出せないか。なら、もう二つほどヒントを。



N:表情は変わらず無表情だが、身振り手振りをくわえて説明するまなぶ



諭:あの日、私は変装をしていた。仕事場の人間に絡まれると面倒だからだ。

だから軍服ではなく私服で、ウィッグを被っていて髪も長めだった。それでいて、ひだりの鎖骨に銃痕じゅうこんが──



絢乃:……!!

いや、待ってください!あの、困ります!



諭:何がだ?



絢乃:そんな話をされても、アタシはアナタとの縁談はナシにするつもりで……!!



<>


絢乃:心の声

《二年前のこの時季……?!なんで、思い出させるのよ!!というか、相手はまなぶさんだったの!?

……あれは、そう。

いろいろワケあって、お酒に溺れて、立ち寄ったバーで優しくしてくれた男性と、なし崩しになって……処女を失った日……!》



<>


N:顔を真っ赤にして、イヤイヤと頭を横に振る絢乃あやの



諭:覚えているのだな。

だったら、なぜ拒否する?

私は、あの日。湯浴ゆあみから出てみれば、置いてけぼりで絶望したよ。

もの凄く良い夜だったはずだ。なのに、貴女に逃げられたと知ってショックだった。どうしても、貴女に再び会いたくて捜して、一時いっときは忘れようとしたが、やはり無理で……



絢乃:ストップ!

なんで、そんな恥ずかしげもなく話せるのです!?

下世話げせわすぎます!!



諭:何を今さら。男はおおかたハレンチだと思うぞ



絢乃:だからって、外でこんなこと話さなくても!!



諭:勝手に破談だと思って外をほっつき歩いてる貴女がいけないのでは?



絢乃:責任転嫁しないでください!!こんな重い人だとは知りませんでした!今すぐに破談です!!



諭:そうか、だが残念だったな。破談にはさせない。私は今日だけで、二年前の、初めて会った日以上に。

──貴女に惹かれたからな。



絢乃:あっ、ちょっとなんで腰に手なんか……!



諭:なあ、絢乃あやのさん



絢乃:ひぇっ……!



諭:私は、貴女をやっと見つけたのだ。ちょっとくらい秋波しゅうはをくれてもいいんじゃないか?



絢乃:ッ〜〜〜!!お断りします!!




(三秒くらいの間)




N:そして、後日談。2080年の睦月むつきの頃。



絢乃:なんて事もあったけど!…結局……



N:恨みがましい視線で見やるのは、自分の左の薬指にはめられたプラチナのリング(誕生石と名前のイニシャルの刻印入り)である。



絢乃:お見合いの席から攻防の末、入籍……!



N:ダイニングテーブルに突っ伏する。



絢乃:くっ、アタシってば押しに弱すぎよ!

でも、忙しいのに都合つけては会いに来てくれて、お茶したり、なんもしないこともあったけど……

そういう些細ささいな部分に魅了されちゃったのよね……

しかも、あの人のカラダ。すごくイイのよ……



N:愚痴会の聞き相手になっているのは、風神かぜかみの四男坊(まなぶが長男)である。

(絢乃からしたら義理の弟な)四男の青年は、苦笑いしつつも絢乃あやのの頭を撫でる。



絢乃:けいくん……

(壁時計を見て)…あっ、こうしちゃいられない。夕飯つくらなきゃ!

……ねえ、けいくん。あの人、帰って来なかったら一緒に食べてくれない?

……あら、即答ね。ありがとう、助かってるわ



N:絢乃あやのがキッチンに向かって食材に包丁をたてながら他愛もない会話を四男としていれば、しばらくして玄関から声が──



諭:ただいまー



絢乃:えっ、いつもより早いわね?



諭:絢乃あやのー、居ないのかー



絢乃:はーい、居ます!おかえりなさーい!



N:パタパタと、足音をたてて玄関へと向かった絢乃あやの

三和土たたきに腰掛け、靴のひもをほどいているまなぶがいる。




絢乃:おかえりなさい、まなぶさん



諭:ああ、ただいま

どうだ。何も問題なかったか



絢乃:お陰様で、不自由なく



諭:そうか。

……ん?おい、まさか。また来ているのか



絢乃:え、あー……



諭:居るのだな



N:ハンガーにコートをとおし、壁に掛けたあと、まなぶの視線が鋭く光る。

何せ、靴箱の下に存在するスペース。そこに男物の靴が隠して揃えてあるからだ。



諭:あの、阿呆あほうがァ!

──ケェイ!!あれほど、別宅に居着くなと言ってあっただろうが!!




N:ズカズカと居間に続く廊下を進むまなぶ。その後ろ姿に苦笑いをこぼす絢乃あやの




絢乃:(ため息)もぅ、ヤキモチやきなんだから……




N:絢乃あやのが独り言をゴチれば、同時に居間から どっがらがっしゃーん!という激しい物音。



絢乃:ちょっとー!物、壊しすぎないでくださいねー!



(絢乃はパタパタと、リビングへと向かう)



諭:けい

貴様は、新婚だってのに、異性を連れ込まれる私の気持ちを分かれ!!



N:いつの間にか殴られたであろう四男は頬を押さえており、赤く腫れている。『絢乃あやのちゃん、おれのこと異性なんて思ってないし!』という返答が四男からなされる。



諭:そういう問題じゃないだろうが!!



絢乃:あら、心配いりませんよ。まなぶさん。

アタシが諭さんの知らない殿方とのがたを連れ込むときは、離縁したいときだけですから



諭:お、おい!本気じゃないだろうなっ!?



絢乃:さて、どうでしょう



諭:くっ、もしそんなことになったら相手には得物えもののサビに……!

いいや、そうならなくても浮気や離縁なんて、お断りだ!!



N:四男は『べた惚れじゃん。つーか、おれってば殴られぞん?』と首を傾げる。

その間にも絢乃あやののからかいが止むことはなく。

我慢しきれずまなぶの声が大きく張り上げられた。

その声は、風神かぜかみの両親が暮らす主屋おもやまで響いたとか。



(間)



絢乃:語り

『あんなに気まずくて、怖い存在だった。なのに、出逢ってから一年そこらでココまでからかいがいのある、いとしい人になっちゃうなんて……

まなぶさんの部下さんたちが知ったら、驚くでしょうね。

まあ、我が家の秘密ですけど』




N:風神かぜかみの長男夫婦(新婚)の夜は賑やかに更けるのだった。




─────────

劇タイトル/ロングバージョン


▶親の言いつけでお見合いに行ったら相手が不機嫌です。これ、破談ですよね。 


▷『〜後日談・いいえ、惚れた弱みで入籍しました。』  


──────────


【お見合い編】おしまい。



台本 執筆完了日

2021年10月2日(土)

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