第165話 襲撃
こんにちわ。悪役令嬢で臨月の人妻の董青ちゃん16歳です。
もう産まれそうだというのに、董卓パパが軍を率いて上洛するとかで急に焦げ臭くなってきました。
さらに出産直前の奥さまを置いて、旦那様の
洛陽の教団本部の中庭で周りを見渡して叫びます。
「なんで、公明さんはどこに行ったんですかー?!あ、痛っ、いたたたたっ」
「妊婦が大声を出さないのじゃ?!!」
叫んだ途端、痛み出したお腹を抱えてうずくまる私、を厳しくしかりつけるのは我が姪の董白ちゃん12歳です。
最近はますます美しく、透き通った肌と西域系の色素の薄い髪の毛が奇麗です。
「もうじきに帰ってきんさると思うがのう」
禿げ上がった頭に青い頭巾をまいて、熊みたいな身体つきをしたおじさんが北地訛りで呟きます。
「なんか
「ほうじゃねぇ」
教団河東支部の幹部である
最近どうも物騒なので、河東支部から護衛信者を連れて警備をしてもらっています。
と、門の外で騒ぎ声がしたので、楊奉さんが見に行って……すぐに逃げ帰ってきました。
「巫女さん!?大変じゃ!
「はぁ?!」
― ― ― ― ―
門の外では信者さんたちが
護衛信者さんが数名駆け戻ってきて報告してくれます。
「
報告を聞いて、確信しました。これは明らかに私怨です。
私を暗殺しようとして失敗して、その後に闇討ちではなく昼討ちした
なお、報告してくれた信者さんはその時相手をボコボコにした人ですから、見間違いはないと保証されました。
「うう、仕返しに来たんですね。誰か急ぎ
執金吾は洛陽城内の治安を維持するお役目なので、こんな私闘は止めてくれるはずです。
「いけんぞ!?巫女様、相手に執金吾の兵がまざっとるで?!」
「はああああ?!」
なんで取り締まる
「うああああああ?!」
「きゃああああ?!」
憤慨していると、ついに相手が剣を抜いたようです。
「楊司馬!護衛信者さんたちで止めてください、その間に一般信者さんたちを裏から逃がして!」
「わかったわい!」
楊奉さんが剣を持ってかけだし、長い木の棒で武装した護衛信者たちが門を護って戦い始めました。
そこに完全武装した趙雲さんが現れました。
「ダメです!裏門も囲まれています!裏門を破られないように加勢してきます!」
「お願いします!」
あうあう、なんで戦争っぽくなっちゃってるんでしょうか。
ちょっとあの
説得できないかな。
楊奉さんの裏にかくれて、声のデカイ信者さんに大声で叫ばせます。
「
ん?ちょっと意味合いが違いますが、まぁいいか……。
「黙れ!!!宦官に操られた邪教淫祀の輩をいくら殺そうと正義!むしろ貴様ら庶民が名士である我を傷つけたのは許せぬ!貴様らの反乱の罪はすでに明らかだ!全員死ね!!!」
はぁ?はぁ?はぁ?
なんか話が通じない……。
「巫女様」
楊奉さんが指示を求めてきます。
これはもう正当防衛だし、しょうがないですよね。
やってしまってください。
私がうなづくと楊奉さんが護衛信者さんたちを連れて、門の外に飛び出していきました。
「おどりゃあ、ぶちまわすぞ!」
この間の闇討ちの経験から、護衛信者さんの強化に取り組んできました。
堂々と首都洛陽で軍備を整えるわけにはいかないので、あくまでも自衛用の木の棒と、布の服、布の頭巾をかぶっているだけです。
しかし、服の
木の棒も長さ
そして、毎日公明さんや趙雲さんが鍛えてくれていました。
その護衛信者さんたちを、ただの信者だと侮って、
「ぶったたけ!」
楊奉さんの指示で息を合わせて長い木の棒を振り下ろします。
たちまち前の数名がぶったおれ、
そこにさらに護衛信者さんたちが木の棒でさらに殴りかかっていきます。
あ、逃げ出しました。
名士の家で飼っている遊び人たちだと思いますが、弱いですね。
「なにをしておるか!相手は素人ぞ!執金吾!」
後方で歯軋りをしてわめく
さすがに官兵ともなると揃いの装備をつけていますね。
鉄片をつなぎあわせた
武器も剣だけでなく、
「素人はそっちじゃけえ!」
しかし、楊奉さんは慌てもせずに隊列を維持しながら棒で応戦します。
何人か、
むしろ突いた官兵のほうが血がでないのを驚いています。
そして相手の冑の上から棒で殴りつけると、さすがに官兵といえどひるみ始めました。
「はっはっは、関東モンは弱いのう!」
楊奉さんが勝ち誇っています。関東というのは函谷関の東のことで、関東もんとは洛陽や中原の人たちを指しています。
関西は北地郡出身の楊奉さんから見ると、中原の人は文弱で弱虫に見えるようです。
「まったくだ。関東のやつらは弱すぎる」
楊奉さんの煽りに応えてか声がしました。
官兵の後ろからさらに違う装備の兵が現れます。
毛皮を多く使った装備で、匈奴に似てるような……??
その隊長と思われる人は全身を鉄片でくみ上げた
「ぬうん!!!」
その人が戟を振り回すと、護衛信者さんたちの棒が軽く打ち払われてしまいました。
それを見て、楊奉さんが前に出ます。
「おどりゃぁ、なかなかやりよるのぉ。河伯教団の司馬、北地の楊奉とはわしのことじゃ!」
新手の隊長と思われる人が戟を構えなおして、楊奉さんに対峙しました。
「
……って?!
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