第136話 兵站支援による反乱鎮圧

こんにちわ。三国志の悪役、董卓の令嬢で徐晃ジョコウの妻、えへへへ。董青ちゃん15歳です。


さて、一仕事しますか。

子供を十何人既に予約されてるので頑張らないとってそれはまたゆっくりと。


文官仕事の方です。


「叔父上、兵站ほきゅうはお任せください」

「おう、ありがとう青……って兵站ってほどのこともないだろ。河南尹しゅとけんの中での作戦だぜ?」

「ふふふ、だからこそ、全力の兵站をお見せしましょう」


私が不敵に笑うのを叔父上はピンとこない表情で見つめてました。




今回の戦いの総指揮は河南尹とちじの何苗さんです。何進大将軍とは異母異父の兄弟でつまり他人ですね。


なお、地方区分の河南尹カナンぐんと長官の河南尹とちじが同じ名前なのでややこしいですが、諦めてください。



ですが、何苗さんはもともと肉屋さんで、戦争なんて知りません。政治も知りません。前に教団の孟津支部が降伏した時もきちんと手数料わいろを払ったら二つ返事でハンコをくれました。


なので、実際の討伐軍のトップは董旻叔父上、そして副官が劉備さんです。


討伐作戦があるばあい、まず正規の徴兵で郡県の守備に当たっている兵を集め、足りなければ募兵するのですが、なぜかもう訓練できている兵士がいます。


それに、徴兵をあまり使われると保険的に困ります。


というわけで首都周辺の長安と河東郡と洛陽で募兵してもらいました。そこになぜかたまたま戦いたくなった武装信者さんが志願します。


これで、あっというまに1万近い兵を集めることができました。



「こんな楽な募兵初めてだぜ?」

董旻叔父上が感心してます。


本当は私が飛び回りたかったんですが、暗殺事件このかた、私は外出禁止なので董家屋敷から指示だしするしかありません。


実際の指示出しや調整は公明くんが代わりに駆けまわってくれています。


はて?こんな時に役に立つ賈詡カクさんはどこ行ったんでしょうね?





 ― ― ― ― ―



なお、董卓パパは任地の涼州をこれ以上あけておくことができないため、弁皇子に会うのは諦めて、参内して皇帝に面談してきました。


「涼州の事情を報告して、そのあとわが一族の娘を史侯(弁皇子)に仕えさせたいと言って陛下のご承諾をいただいたぞ」


皇帝はお酒を飲んで上機嫌で、董卓パパに「弁を支えてやってくれ」とお酒を一杯くださったそうです。


……酒は減らしてってお願いしたんですけど?!!!


まぁ、これで白ちゃんの野望は達成されたので、あとは弁皇子の反応ですね……




 ― ― ― ― ―





董旻叔父上と、劉備三兄弟。そして武装信者を率いている趙雲チョウウンさんが滎陽ケイヨウ県を包囲します。


反乱兵士たちは慌てて防衛を固めますが、何の準備もしていない突発的な反乱のため、統率も上手くとれていません。


「今日の飯は咖哩かれーだよ!」

「おお?!なんだこれ?!


包囲する官軍の信者さんたちに全力で炊き出しの支援をします。西域から輸入した胡椒などを入れた美味しいものを食べてもらって、元気いっぱい。


逆にしろの中からそれを見た反乱兵はそれを見てやる気が失せてきます。



こうなると反乱兵以外の県の住民はもともと反乱したかったわけでもないので不満が溜まります。

そこに河伯信者の伝手と、あと滎陽県の隣の中牟県の商家、呂伯奢リョハクシャさんにも手伝ってもらって、連絡を取ります。呂伯奢リョハクシャさんは洛陽での商売で教団とは深い関係がありますから、二つ返事で手伝ってくれました。


滎陽県は大きなおしろなので、中にたくさんのむらがあります。県内じょうないの里の父老ちょうろうに連絡がとれたところで任務完了です。



ある夜明け前、内部の手引きで城門が満開に開かれます。


そこに劉備さん、関羽さん、張飛さんの三兄弟が軽騎兵を率いて乗り込み、あっという間に政庁を落として首謀者の首をあげてしまいました。


翌朝、董旻叔父上が堂々と大軍を率いて乗り込み、反乱鎮圧です。



「……なんだこの楽な戦争!?」


董旻叔父上がとっても驚いていたそうです。




 ― ― ― ― ―



さて、今回の功績により何苗さんが車騎将軍げんすいに昇進しました。

董旻叔父上には校尉たいさ、劉備さんには騎都尉きへいたいちょうの官職が与えられました。


そして募兵に応じた兵にもそれぞれ恩賞があり、信者さんたちにも良い臨時収入になりました。



……皇帝は中途半端で無茶苦茶やりますけど、ケチではないんですよね。必要な予算はきちんと使うのはいいところです。酒を減らしてほしいんですが。酒を減らしてほしいんですが。


弁皇子もちゃんと言ったって言ってたんですが……。



ところで。これで何進が大将軍で何苗が車騎将軍ということで、元帥級の将軍職が全部何一族でしめられてしまいました。



弁くんの狙いは何なんでしょうか……?


趙忠さんあたりに解説を聞きたいんですが、屋敷から出れないのが辛い!


誰か来て説明してくれないかな……。




そんな時、来客がありました。



「木鈴どのはおられるか」



私はもう結婚した身、というか刺客が怖いので公明くんと一緒に応対に出ます。

来訪されたのは。


「はい?ああ、お久しぶりです!」

「そなた……女だったのか?!!!」

「あ、あれ?あ、男装するの忘れてました、てへ」



小さなおじさん、曹操さんが私を見て心底から驚いていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る