第120話 現状整理その1
「さて、
洛陽の董家屋敷。
薄暗い
その上には女装美少女の董青ちゃん14歳、つまり私。
そして、
私の右隣から順番に、肉付きよく美青年に成長した
私の
で、私が土間に降りようとしたらなぜか皆が怒るので、
「私の目的は、さんご……乱世を防ぐことです」
私はゆっくりと確認するように言います。
賈詡さんが若白髪の頭を下げて重々しく頷きました。
「ええ、
これも普通の人に言うと、「漢朝が滅ぶ?」という感じで、誰も信じてはくれないことです。そもそも漢朝はすでに400年。ほとんどの人が産まれるはるか前。爺さんの爺さんの爺さんのそれこそ永遠の昔から続いているのです。
いちど、
まんがいち皇室が滅んだとしても、劉姓が天下を支配するだろうというなんとなくの気分というものはこの時代の人にはっきりとあります。
漢朝が滅ぶと本気で思っている人はまだ、あまりいないのです。そう言いだした黄巾は、皇帝が本気をだして貯銭をはたいたので一年もせずに鎮圧されてしまいました。
宦官と名士の対立、民の困窮などいくら個別に問題があっても、それぞれは大したことではなく、対応できるのだと思ってしまいがちなんでしょう。
この場の三人は理屈と実感で理解してくれています。漢朝はこのままでは滅ぶと。
まぁ、普通の人とは違って反乱軍とか教団での経験が長いのですが。
「さて、乱世を防ぐためにはすることがありますな。まず第一に外戚や宦官などが能力に関係なく政治に口出しをして混乱させるのを防ぐこと。第二に私利私益を図る汚職役人や無能を排除し、能力のある人材を配置すること。第三に増えすぎた民に土地と産業を与えて困窮を救うこと……でしたか」
ええ、と賈詡さんにうなずきます。
一般的に、物語の三国志の原因は皇帝の無能と、宦官の専横。っていうのが相場です。
私もそう思っていました。
しかし、実際の皇帝は財政を気にかけていて自分の意思で政治をしていました。ただ政策が根本的に間違っていることも多いのですが、それでもやる気はある方だと思います。
宦官ももっと邪悪かと思っていたら、
問題があるとすれば、本来はただの召使に政治をやらせていることでしょう。
宦官が政権を握った経緯は、皇帝の
この外戚というのも、皇帝の母方の親戚だから尊重されて政権を握ったのであり、政治能力と一切関係ありません。
つまりこの二つは同時に政治から切り離すべきでしょう。
そうすれば政治能力がない人間が政権を握ることが無くなります。
そして能力がある人材を登用して、まともな政策を提案させてまともに議論させて政治をさせればいいのです。名士の中にもすくないですが有能な人材は確かにいました。孝行とか政治能力に関係ない項目ではなく、政治と軍事の実績で評価するように変えるべきです。
そして、政治の目的を民の生活の安定と向上にします。多少政治が悪くても民がちゃんと暮らせていれば少なくとも反乱は起きません。
「漢土の民が満足して暮らせれば、どのようなうろたえ者がでたとしても、聞く耳を持たず、反乱が天下に広がることはありません。世界最大の人口をもつ漢朝の内政が健やかなら外敵に負けることもなく、よって乱世を防ぐことができます」
三人がうなずきます。
「で、そのためには政権の確保が必要ですな。よって
若白髪の賈詡さんがニヤニヤとしながら提案します。
それを見た公明くんがびくっとして、趙雲さんが顔をそむけます。
また言うんですね!
「だーかーらー、何度も言いましたよね?それじゃあ外戚政治じゃないですか!皇后が政治に口出しするって成功例つくって次の皇后や次の次の皇后が顔がいいだけのあっぱらぱーだったらどうすんです。私は弁皇子と結婚して皇后を狙うつもりは、ありません!!」
……公明くんがほっとしたように息を抜きます。
それをみてさらにニヤニヤする賈詡さん。
趙雲さんは呆れたように溜息一つ。
……くっ、絶対わかっててやってますね、この老け腹黒中年ッ!?!
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