第104話 豪族世界
一生懸命に孫堅さんに事情を訴えます。
「ということで、あの盗賊を牢屋に入れて懲らしめたいんですよ。
「ちょっと待ちねぇ、商隊を襲ったんじゃねえのか?二十も三十もいたんだろ?」
「はい」
「それは群盗だから罪が一等重いぜ?全員まとめて
孫堅さんがさらっと仰います。
うっ……盗賊の罪って重いんですね……。
自分が訴えたから、何十人もの人が斬り捨てられて市場に晒されるとか……。
……あれ?
いや、悪いのは盗賊ですよね。
それに私の信者を傷つけて私の銭……あ、いや
これは一族皆殺しみたいな蛮行や
大丈夫。
「それが裁きならばやむをえません、なので長沙に向かいたいんです」
「まぁ、ちょっと待ちねぇ」
引き続き事情を訴える私。
しかし、肩幅の広い
「おうい、まだかい?」
「ははっ、
お久しぶりです
初めて聞く名前に頭を捻ります。
いや、名前が面白いのでどっかで聞いたことあるような気もしますが。
「
「長沙近辺で最近ブイブイ言わせてる悪ぃ奴だな。兵は数千から万ってなもんよ」
「万って……そんなの野放しにして、長沙の
「長沙の
はぁ、
でも欧と区だと字が違いません?
いや、読みはオウで一緒なんですけど。
「で、あまりにも勢力が大きいんで、
「なんで討伐されないんですか!」
「荊州南部じゃあ親戚も多くて仲間の豪族が庇うし、小さい商人なら襲われても泣き寝入り。太守は任期の間に面倒が起きないように見て見ぬふりってな」
孫堅さんが広い肩幅をすくめてやれやれという手振りをします。
「許せません!!!」
「そこで、区氏を恐れない他所もの……つまり木鈴さん、あんたの出番だぜ。いやぁ、董氏に手を出すなんてバカだねぇ?」
「……え、私が戦うんですか?」
「違う違う。ただ、訴えてくれたらいいんだぜ?太守じゃねぇ。俺にだ」
「へ?」
「いやぁ、区星の野郎はいつかぶん殴ってやろうと思ってたが、いーい口実が来やがったな?」
孫堅さんがニヤリと笑いました。
しかし、洛陽から一か月の距離にある地方って、こうやって豪族が好き勝手してるんですね。
そういえば三国志でも江南地方を支配してた呉って豪族の発言力が高くて、豪族連合みたいなところありましたよね。
しかし、なんでそんなに力が強いのか……。
北では農民に銭を貸して
― ― ― ― ―
というわけで哀れな洛陽の
私も洛陽の弁くんに同時に手紙を送って、南荊州の豪族の横暴と
折り返して早馬が飛んできました。
北方出身の精鋭騎兵を中心にした、孫堅軍1万が長沙に進軍を開始しました。
船を使って
「いやぁ、俺も宦官の命令で戦うようになっちまったか」
孫堅さんがニコニコなさっています。
口では宦官の文句を言いつつ、太守の任命が嬉しいみたいです。
そして船から長沙郡の景色を見ている私。
同じ船に乗っている私は、豪族たちが強い理由を知りました。
「……
豊富な水と豊かな木々、そしてなだらかな山に谷が手つかずで目の前に広がっています。
※
・漢律(張家山漢簡『二年律令』)
賊傷人……皆黥為城旦舂。
盗五人以上相与功盗為群盗
群盗…… 皆磔
・漢書:景帝中二年「改磔曰棄市勿復磔」
・いーねくーださい
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