第100話 銭あつめと技術大会
趙忠さんを何とか買収してしばらく経ちました。
朝廷の人事が発表され、刺史は
後任の刺史は劉弁皇子が推薦した
そして、
これで涼州については軍事は董卓パパ、内政は盧植さんと分担されることになります。
董卓パパは盧植さんを尊敬してますが、三国志でも盧植さんは董卓パパを嫌いなんですよね……上手くやれるでしょうか。
いや、上手くやれるようにすべきですね。
「え、涼州に戻れとおおせですか」
賈詡さんが意外そうに言いました。
「ええ、そろそろ武威の自宅にも戻りたいでしょう?」
「ありがとうございます、しかし……」
賈詡さんは家族と聞いてちょっと嬉しそうでしたが、すぐに反論しようとしました。
それを止めます。
「皇帝は我慢というのを知らないので……とにかく表面だけでも羌と月氏の反乱を鎮めてください」
「その策ならばいくらでも」
そして大事なことをお願いします。
「あと新任の盧植さんは有能な方ですが、また前任の刺史のように父上と喧嘩にならないようにも配慮ください」
「しかし、董公がワシなどの言うことを聞いてくださいますでしょうか?」
「ええ、父上には賈詡の策を全面的に採用するように手紙を書きます」
「かしこまりました、できるだけ早く済ませて来ます」
で、最後に一番大事なことをお願いします。
「お土産に人参と玉葱と
「はい?」
ピンと来てないようなので、頑張って絵と説明書きを持たせました。
お供に騎兵信者や書記信者を数十名つけたので、道中も安心でしょう。
賈詡さんは頭を捻りながら涼州に旅立っていきました。
あの賈詡さんにも分からないことがあるんですねぇ。
なお、劉備さんは師匠の盧植さんが出世したということで、さっそく就活に赴きました。
「お前はすぐ官職を放り出すからイカン」
と言われて涙目で帰ってきましたけど。
― ― ― ― ―
河東の教団本部に来ました。
ハゲ熊のような楊奉さんと、文官信者さんたちとでにらめっこしています。
「銭が足りませんな」
「黒字ですけど?」
産業の収益が上がっているのに、銭が足りない。
私はその謎を解くためにやってきたのです。
「帳面ではそうなっとるが……実際にゃあ洛陽で売り上げた銭がまだ届かんけ」
「むむむ」
でも確実に手に入るんですよ。ちょっと待ってくれれば。
「ところで信者の皆さんに労賃払ってますけど、みんな労賃はどうしてるんです?」
「そうじゃな、必要なモノを買ったらあとは埋めたりしとるで」
「埋めてどうするんですか」
「埋めんと取られるじゃろ?」
そっか、安心して保管したいんですよね。
じゃあ銀行を作りますか。
学校を作って少しずつ字が読める人が増えているので、ごく簡単な
担当者は比較的読み書きができる書記信者をあてます。
といっても自分の名前と数字しか読めないので銭の絵が描いてある札を給料の代わりに配ります。
なお、署名と言っても皆さんのお名前が張三、李四とかなので、三に丸とか、四に三角とかが多いです。
引き出す場合は帳簿と本人の署名、本人の顔を覚えている担当者の顔認証で処理です。
そして一か月引き出さなければ100銭につき1銭の利息。毎年100分の12の利息をつけるようにします。
さらに銀行の
さらに、信者同士での取引でも使えるようにして、
さらに、普段の取引先の商人さんたちにも口座を開くように依頼しました。
普段、教団にモノを売ったり買ったりする銭を口座にいれて貰うのが目的です。
口座にいれた銭の利息分だけ教団の商品を割引で仕入れられる特典を付けて勧誘し、教団との取引で儲けている商人さんたちも特典を考慮して口座を作ってくれました。
これで過去から信者さんたちに分配していた銭や取引先の銭が大いに集まり、
「狐に騙されとるんかのう??さっきまで銭はなかったんじゃが?」
楊奉さんが頬をつねってます。
「預かってるだけですよ?足りなくなったらいけませんから、かならず出しいれは3人以上の別の担当の人で確認してくださいね?」
悪いことを考えないように、厳重に護衛信者もつけて出納信者も複数つけます。
また、
皆さん銭が厳重に保管されているのを見て安心しているようです。
こうして各支部に
― ― ― ― ―
洛陽支部は装飾品などの贅沢品の生産が主流です。
趙忠の奥さまによる宣伝もあり、洛陽の金持ちに西域風の装飾品が大流行です。
ですが、
こういう趣味の品は次々に新しい商品を生み出さなければ衰退するのです。
ということで。
「では、1番さん。作品をどうぞ」
「はい。私は
「うーん、なかなかカッコイイですね」
職人信者さんたちをあつめて、新商品や新しい加工技術の大会を開きました。
いろいろな新商品を開発し、出来がいいものは量産して販売。
そして売れ行きが良ければさらに褒賞が出る仕組みです。
そして、この時代よくあるのですが職人は技術を抱え込みがちです。
技術で食べているのでその技術を公開したら自分が損します。
それを突破するため、良い技術を開発して広めた人にはさらに褒賞を渡すことにしました。
こうやって次々に新商品を生み出し、新しい加工技術を教団に広めてさらにそれをもとに新しい加工技術を開発するのです。
「では、大賞はこの
「ははっ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます