第87話 武威(ブイ)
はい、こんにちは。男装美少女官僚の董木鈴13才です。
まるで長年の風雨が砂遊びの山をひたすら削ったようなギザギザ山を越え、シワシワの谷を越え商隊は進みます。
冬の気温はカラカラに乾いていて、とても冷え込みますが凍るほどではないです。
馬車にじっと座っているほうが底冷えがするため、あえて歩いたりもします。
弁くんは毛皮にくるまって馬車の中で震えてますね。うーん。
乾ききった河の底を踏みしめて歩くと土がぼろぼろと崩れます。
「まだ寒さがきつくなくて良かったですなぁ、もう少しすると水にも氷が張ります」
私の
若白髪で痩せた身体ですが見た目と違ってどこにそんな元気があるのかひょいひょいと歩いていきます。剣は取り上げられているので長い杖をついています。
「どこにも水なんてありませんよ?河も乾いていますし」
「ああ、こちらは
「だから今はないんですよね?」
北のかた
こちらに降る雪が春から夏には融けて水源となることで、乾燥地帯にある武威などの
と、気が付くと護衛に着いてきてくれている若武者、
「公明くん……そんなに睨まなくても賈詡は悪いことしませんよ?」
「……僕はその賊はまだ信じていません」
「まぁ、公明様のご懸念も当然ですな。
賈詡さんが
うーん。公明くんが警戒しちゃってますけど、もう少し仲良くしてほしいんですが。
あれ?というか反乱軍の人をあっさり信じて部下にしてる私がおかしいのかな??
隣で馬に乗って部隊を率いている人生経験豊富そうなオジさんに聞いてみることにします。
「
「……いや、そいつは完全に屈服してたんで大丈夫だと思いますぜ?ってバキバキに心を折ったご本人が聞きます?」
「ええ、私はそんなことをしたつもりは」
「してましたって」
― ― ― ― ―
半砂漠の中に突然木々が増え、農地が広がります。
遠くに土を突き固めてつくった立派な城壁が見えました。
「武威に到着いたしましたぞ!それではさっそく
故郷に到着した賈詡さんが大喜びで走り出そうとするので、公明くんが追いかけて捕まえました。
「お嬢……
「ばかな、逃げて何になるんじゃ。そんなに気になるなら公明様もついてきてくだされ」
賈詡さんと公明くんが近くの集落に消え、暫くすると城門から兵士がワラワラと湧いてきました。
兵士の隊長が大声で呼ばわります。
「どこの部隊だ!韓遂の反乱軍か?!」
「いえ、官軍です。武威は無事でしたか」
自分の
「おお?!これは失礼しました……ということは反乱軍は?」
「董将軍が見事討伐なさいました、金城も奪還しております」
「それは
大喜びの隊長につれられ、劉備さんの騎馬隊と商隊を入城させます。
宿舎も手配いただき、無事に武威の
「おお、反乱は無事制圧されたか……それは
武威の太守に面会すると、口では喜んでいますが、目が全然喜んでいません。
なんとなく不満そうです。
「いや、しかし金城を制圧したばかりではまだ盗賊などが出るのではないか?」
「はい、まだまだ
「そうかそうか!では街道が安全になるまでは交通はできんな、いや、軍隊ならばともかく、
「かしこまりました」
……
まるで朝廷と通信を遮断されてたのをいいことに全員で脱税してたような言いぶりです。
本当にロクな高官いませんね涼州?!
いやいや今は敵対してる
私は喜ぶ
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