第84話 お塩
こんにちわ。悪役の令嬢、美少女の董青ちゃん13歳です。
今年はなんかやることが多くて疲れますね。
しかし、そろそろ冬も差し迫り、
乾いた土地から土埃が舞い上がり、油断していると口に入ったりもします。
……しょっぱ。
さて、ここは古都の
地図の通り、中央には東西に
さて、漢朝は長く続きましたが、
政治を立て直すためには宦官を倒せばいいと、
皇帝が官位を売り、宦官が賄賂を求めるから名士は泣く泣く民から重税を取り立てる……いやいや、名士だって腐敗してますよね。
今回の涼州が大反乱を起こした理由も、
反乱を討伐するため、董卓パパが大軍を率いて西に遠征していますが、皆さん無事でしょうか……戦争はよく分からないので……。
話を元に戻します。政治がダメなのは結局、皇帝が自分勝手で宦官も名士も腐敗してるせいです。そこは弁皇子に現実をいろいろ見てもらって少しでも改善してほしいと思っています。ただ、皇帝が自分勝手で宦官と名士が私欲で争うのは光武帝いらいの
じゃあ、なんで今までは耐えてたのに、今は反乱が続発するのか。
それは人口が増えすぎて、農地が不足し、民衆が貧乏になって、政治の腐敗に耐え切れなくなったからです。
よって、本当に三国志を防ぐためには、
― ― ― ― ―
というわけで、私は弁くんを連れて、関中盆地の北側に伸びる
これは秦の始皇帝が作らせた大運河で、乾燥している関中盆地の北側を一気に
あちこちで皇帝と宦官と名士のせいで量産されている難民を受け止めるためには、新田開発が必要で、新田開発には農業用水路が必要です。雨の多い江南と違って、黄河周辺は乾燥しており、大規模な作付けのためには農業用水が必要なのです。
というわけで、参考にするために
「埋まってるね」
「埋まってますね」
弁くんのつぶやきに続く私。
正確に言うと一番太い大本の水路は残っているのですが、網の目のように張り巡らされた用水路があちこちで泥に埋まって乾いています。
我々のいる関中盆地の土、黄土は水に弱いです。よって河の水には大量に土砂が含まれ、その河の水を水路に引き入れると水路は土砂で埋まってしまう……。
「なんで誰も手入れしてないんですか?!!!」
「みんな忙しいんじゃないかな?」
忙しいからって一番大事な用水路をこんな放置してたらそれは農民は困窮しますよね?
びゅうううう。
憤慨している私に再度、涼州からの強い風が吹きつけます。
その風は黄沙で黄色く……
「ああああ、しょっぱい?!」
塩がとても多く含まれています。
周りを見渡すと、黄色いはずの黄土が真っ白……。
遥か彼方まで、農地が、全部、塩に埋まっています。
「……お嬢様、ここはもう放棄された農地だと思います」
土を弄っていた公明くんが悲しそうに言いました。
その手は地面から噴き出した塩でいっぱいです。
「あちらはまだ代田法で耕作してるみたいですけど……ここはもう……」
公明くんが指し示しているところには、一尺ほどの溝が掘ってあり、その間に麦が植わっています。
ここは乾燥地帯です。乾燥地帯で収穫をあげるために水やりを繰り返すと、水が毛細管現象で地中の塩類を吸い上げてしまいます。水やりした水はすぐに乾き、土の表面は塩で覆われます。
塩気の多い関中盆地では、このように表面にたまった塩を避けるために溝を掘って奇麗な土に麦を植え、翌年は畝と溝を交換してまた奇麗な土を使うという涙ぐましい努力をして収穫をしているのです。
「水が足りないんだよね?だったらあの水路を修復すれば……?」
弁くんがとてもいいことを思いつきました。実にいい提案です。水路を修復して塩を水で洗い流せばきっとまた農地として使えるようになります。水田みたいにわざと洪水させるんですね。
「水路には莫大な予算と多数の人手が必要なので……皇帝が全面的に支援しないと無理です」
しかし、今の予算をケチっていたら……こうやって水路が埋まってしまい、将来の収穫を失うのです。
「そっか、予算かー」
弁くんは自分で稼いだこともないので軽く言っていますが、なかなかそうもいかないでしょう。
教団の予算も宮殿作りに吸い上げられちゃったので、余裕はあまりないんですよね。
どうにか銭を稼げないものでしょうか……。
※
・なんでこんな罰ゲーム地域で農業しなきゃいけないんでしょうか
・日本や江南には塩害を防ぐ完璧な農法があります。そうだね、水田だね。
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