第81話 猛虎進撃
はい、謀略の代名詞、
董卓パパからさっそく予算を貰ったので、絹を大量に買い込んで羌族と月氏族に贈ります。
董卓パパは「いや、降伏させる交渉はしたが官軍を疑って聞いてくれなかった」とか仰ってましたが、「違います、家に帰ってもらうだけです」と説明しました。偽装降伏させて首を取るとか過去の漢朝が何度もやってるんで信用がないんですよね。
だから十分にお土産をあげて家に帰ってもらうんです。もちろん、これだけで反乱が解決するわけじゃありません。
賈詡さんの言ってることも正しくて、「強さを見せつける」ことをしないと異民族さんも含めて決して従ってはくれないんです。
だから、父上に言いました。
「漢人は漢人をまず倒して力を示さないと、
「……はははは、全くその通りだ」
董卓パパはとてもうれしそうでした。
なお、匈奴の劉豹くんは改めて私をくださいと董卓パパに言ったので断られて落ち込んでいます。
「……青さぁ、豹は役に立ったよね?お願い聞いてくれる?」
「今回は助言助かりましたけど、結婚はまだ若いので……」
「それもお願いしたいけど、鉄を売ってほしいんだ」
聞くと鮮卑と戦うのに鉄で匈奴の武器をそろえたいのだとか。
製鉄は漢朝の国家事業なので、
「いいですよ、豹くんなら私が嫌がることに使わないって信頼してますから」
「ありがとう」
もちろん匈奴だって作れますが、石炭と高炉を使って製鉄している河伯教団とは値段が段違いです。河東の教団本部から鉄を販売することにしました。
断っても密売商人を儲けさせるだけですしね。
― ― ― ― ―
さて、絹をたっぷり受け取った羌族や月氏族は、狙い通り戦利品を家族に分配するために放牧地に帰って行きました。降伏したわけでも味方に付いたわけでもないですが、いったん戦線離脱したのは事実です。
涼州反乱軍の漢人豪族兵は動揺して本拠地の
董卓パパが総司令官の
たしかに騎兵が足りないのは事実ですが……
公孫瓚がこれないかもって豹くんの意見が気になっていたので董卓パパには事前にお願いしておきました。
「父上、私が賈詡なら、幽州の烏桓兵には賄賂を渡して遅延させますが、そうなっていませんか?」
「……ふむ、青の言うとおりだな。幽州出身者に調べさせるか」
予想通り、公孫瓚の援軍の集結は遅れていたため、これでは結局間に合わないと董卓パパが主張。渋る張温総司令を口説き落して全軍の半分の5万を預かり、董卓パパは金城に向けて出撃しました。
しかし、金城は長安から千里の西にあります。補給路が伸び、羌族が気まぐれで襲ってくるかもしれません。
「董木鈴さん……いや、俺も騎馬が欲しいって確かに言ったけどさぁ?」
「ぜひお願いします、これは劉玄徳様しか頼れません」
豹くんから買い取った馬で補給部隊を編成、劉備さんに護衛用の騎馬隊を指揮してもらうことになりました。
なんか文句たらたらでしたが、実際に部隊の指揮を始めるとやっぱり見違えるように動いてくれました。
前に黄巾の乱のときにも思いましたが、部下の心をあっという間に掌握し、小部隊の指揮がとてもうまいようです。
これで一先ず私の仕事は終わりました……あとは偉大な将軍である董卓パパを信じるだけです。
……補佐に
ああ、補給はわかりますけど、軍事はわからないんですよね……。
私は男装姿で事務仕事をしながら、祈るだけです。
「……すごい量の書物だね?」
「弁皇子も手伝ってください」
「……え?」
弁くんがブラブラと遊びに来たので即座に捕獲して兵糧の計算に参加してもらいます。何事も勉強ですよ!
― ― ― ― ―
董卓軍5万の本陣では董卓に孫堅が作戦を提案していた。
「董将軍、俺に1万の兵を預けてくれねぇか。反乱軍は慌てて逃げているが俺が先回りしてとっ捕まえてくる」
「ふむ、危険ではないか?」
董卓の眉が動いた。
「董将軍は涼州では名前が売れてるからよ。後ろから4万の大軍を率いてゆっくり進軍してもらえれば相手は董将軍を恐れて動きが鈍るだろ。もし、俺に食いついてくるイキのいい奴がいたら足止めして董将軍と挟み撃ちにすればいい」
「では、そなたに4万を預けたほうが確実に勝てんかの?」
「それでは補給を断たれるのがこっちになっちまわぁ。本隊が確実に兵糧を持っててくれるから遊撃隊は自由に動けるんだぜ?俺は兵糧を送ってくれる限り決して負けねえよ」
「ははは、まさか孫将軍に兵糧を送らないで戦に負けるような無能はおらんだろう!すべて孫将軍の言うとおりしよう」
江東の猛虎を自称する孫堅は1万の兵と共に急進撃を行い、
※
・まさか孫堅に兵糧を送らないでわざと負けるような無能はいないでしょう。ねぇ袁術さん。
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