第57話 新たなる結婚候補
またもや結婚を迫られています。
お相手は司馬家、まさか……
「司馬懿……?え?次男の方?」
「……次男だったんですか?」
あ、
今更なことを言う私に、
「青よ、おまえ……司馬懿って年下で七歳だぞ……そんな子供と結婚して何をしようってんだ……」
そこで急に何かに思い当たったように驚く叔父様。
「はっ?!まさか結婚を嫌がってばかりいると思ったらそういう趣味が!?」
「違います!?有名人と間違えただけです!」
私は
だいたい
それに、司馬家って言ったらそう思うじゃないですか?!三国志でも屈指の有名人物ですし。
「……次男のほうって有名だったか?長男のほうが神童ってことで有名なんだが、あ、神童同士気が合うかもしれねえな」
「そうなんですか?どんな方でしょう?」
そういうと董旻叔父は手元の
「あー、お前のお相手だが、
はぁ、すごいですね……って
「抑え込むんですか?!守ってくれるんじゃなくて」
「お前、ほっといたら勝手に死にに行くから抑え込むのが一番大事だ。司馬家は礼儀に厳しいらしいからな。女が勝手に家の外に出たり、山賊やったり巫女やったりできなくしてくれるぞ」
いやいや、私の行動の自由を確保するための結婚では。それでは本末転倒です。
大人っぽくて頼れそうなのはいいですが、礼儀に厳しいのでは動けません。動けなかったら一族皆殺しの運命回避できないじゃないですか!
「それでは、死んでしまいます」
「死なないようにまっとうに大事にしてくれるわ!!きちんと幸せに嫁いでくれたら兄者も俺も胃が休まるし、孫の顔でも見せてくれたらそれは嬉しいんだぞ!?頼むから落ち着いてくれ」
うぐぐ。
常識と正論で攻撃しないでください。この時代の女性に求められてることは私だってわかってます。しかし私にはやることが。私がやらなければ叔父様だって三国志に殺されるんですよ。
というわけでここはきっぱりと。
「お断りします」
「いや、正直いい話だぜ?皇子のお手付き狙うのは競争率厳しいし、後宮の争いに巻き込まれたら大変だ。しかし立派な名士の家なら幸せになれる。最低でも見合いはしろ」
「見合いなんかしたらもう断れないじゃないですか?!」
顔を見せたり名前を告げるだけで婚約が成立しかねない時代なんです。というか
というと董旻叔父様は悲しそうな顔をして。
「少しは兄者の顔を立てようとは思わんのか、兄者の気持ちを考えると俺はなぁ……ううう。」
「うぐ……じゃあ見合いとは無関係に会うだけならいいですよ」
……叔父様やお父上を泣かせたいわけじゃないので、譲歩します。
「よし、それでいい。それでもお前にとっては十分な進歩だろうな」
パンと膝を打って顔をあげる叔父上。ウソ泣きですか。
「じゃあ結婚しないということで、またしばらくはおとなしく女官勤めしろよ。黒山賊のところに行くのは無しだ」
「でも、弁皇子にもう言ってるんです……だからやりませんと」
黒山軍の降伏は早めにしないと世の中が悪い方に転がりますから絶対やらないとダメなんです。
「そこは家長代理として詳しく聞こうか。董一族に関わる話だからなぁ?」
あれ、董旻叔父様、なんか急に
……って
……
……
「じゃあ具体名は出してないんだな?俺も兄者も」
「は、はひ……」
ちょっと涙目になりながら答える私です。お尻が痛い。
ごめんなさい、たしかに皇帝とか皇子に対して迂闊に政治関係の口出ししてしかも董家の名前とか出したらどこの宦官やら大臣やらの政治争いに巻き込まれて讒言とか追放とかありますよね……
私一人が死刑ならともかく、この時代、犯罪者の一族皆殺しとか普通の刑罰なんで。一族皆殺しの運命避けるために一族皆殺しの
「弁皇子から聞かれたので答えただけです……対策は考えますとは言いましたけど中身は言ってないです」
「それなら女が考えナシに言っただけにできるな。しかしどうやって進めるかな?本気で董家の名前だされたら俺が行かざるを得ないところだったが……」
「なるほど、その手が」
「やめろよ?いうなよ?!女官経由で皇子に名前吹き込まれるとか一気に宦官から目を付けられるからな?!」
残念です。危険なのでやりませんが……。
ふと疑問に思ったので聞きます。
「あれ、でも案件は進めてくれるんですか?」
「いや、ウチは
「皇太子じゃないんですか?皇后陛下の子でご長男ですよね?」
意外でした、だって
「あのご性格だろ?皇帝陛下が天下を任せられるかどうか気にしているらしい。皇帝陛下はまだお若いし、
なるほど。たしかに弁皇子のオドオドな面を見てたら
「うーん、誰か山賊にビビらずに、賄賂も要求しないで、山賊の事情も分かって天下のために働けるやつな……そんな奴がいたら出世してるか宦官に追放されてるよなぁ……」
「そうなんですよねぇ、やっぱり叔父上に行ってもらうしか」
というと叔父上はガハハと笑って。
「無理だ、俺は山賊が怖い」
「素直ですね?!」
などとお話していると、そこに公明くんがやってきました。
「お嬢様にお客様です」
誰でしょう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます