第40話 山賊討伐!
気が付いたら賊と族を率いて安邑のお城を包囲していました。
ちょっと
どうも皆さん、私が政治を正すために役所に押しかけたのだと思っているらしく、太守の派遣した正規兵の皆さんに対してもやる気満々です。
というか、数は5-6倍多いとはいえ、良くて山賊装備、悪いと農具を担いでいるお味方に対し、太守の部隊はきちんと武器も揃い、
これでは被害も大きくなります。やっぱり
ってなんで私は勝つ方法を考えているんですか?!!
「勝てるのに勝たないの?」
劉豹くんが不思議そうに言います。
「巫女様のご命令なら」
公明くんが真っ直ぐに言います。
戦いに来たわけじゃないんです!!!手続きしにきたんですってばああああ!
……
太守の軍から、騎馬武者が一騎現れ、何か大声で叫んでいます。装備がいいので
「賊どもに告ぐ!!すぐに武器を捨てて投降しろ!」
うう、完全に反乱軍扱いです……私は住民登録したいだけなのに。
「嫌じゃい!そっちこそ降伏せぇ!」
「巫女様は下がってください」
わ、わかってますよ。女は下がります……けど、勝手にケンカしないでくださいね?
「やるというのか……仕方がない」
騎馬武者はそういうと太守の軍列に戻っていきました。
代わりに、また騎馬武者が二騎、
背が高いのと背が低くてがっしりした人の二人組です。
……まさか
そして、馬上から楊奉さんと公明くんに向けてクイクイと手招きをします。
「え……僕?」
「お、ワシかいや?ええ度胸じゃのう。はいよぉ!」
楊奉さんがハゲ頭を光らせながら馬を駆って突っ込んでいってしまいました。
太守軍の騎馬武者二人組が戟を構えたのを見て、劉豹くんが呟きます。
「あの山賊さん一人で大丈夫?」
よくないですね、一方的にやられちゃいそうです。
「公明くん、楊将軍を連れ戻して!」
「
公明くんも馬を駆って、騎馬武者のほうに進んでいきました。
……
……
背の高いほうの騎馬武者が楊奉さんと対峙。背の低いほうの騎馬武者が公明くんとにらみ合います。
まず楊奉さんが馬を巡らせ、槍を操って騎馬武者に襲い掛かります。官軍の騎馬武者のほうも戟を伸ばしてその攻撃をさばきます。
ガキッ!!キーン!!!
二人は馬を駆けさせてすれ違いながら何合となく打ち合いを始めました。
公明くんのほうも騎馬武者とお互い剣を抜いて、接近していきます。
キーン!ガキッ……ギリギリ……
お互いに、鍔迫り合いを始めました。
あれ?顔を寄せ合って……何してるんでしょう?
と思ったらまた離れます。
騎馬武者が大声で叫びます。
「何!!この賊軍は巫女ガ首領で間違いないナ?!!」
「ですから話を聞いてください!」
公明くんが必死で何かを説明しようとしていますが、騎馬武者が拒否しました。
「ワハハ、ならばまず俺を倒してミロ!」
そしてまた剣をふるって公明くんに斬りかかります……
って李傕さんですよねその声っ!!あなたの弟子ですよ、虐めないでください!!
ということはもう一人は郭汜さんですか……
……
……
郭汜?さんと楊奉さんですが、何合も打ち合っているうちにお互い息が切れてきたようです。勢いが落ちてきました。
そして、郭汜?さんが呼びかけます。
「あかんわ、勝負がつかへん。こら出直しやな。また来るわ」
「そ、そうか?たしかに互角じゃけえ勝負がつかんのう。そうするか……」
と気をそがれた楊奉さんが戟を引いたその瞬間。
「隙ありやーーっ!!」
「ぐはぁ?!」
楊奉さんの胴に郭汜さんの戟が奇麗に命中、楊奉さんが馬から落ちました。
「勝てばええんや!」
地面でもがいている楊奉さんの前で勝ちほこる郭汜さん。
……うわぁ……ひ、卑怯……さすがにこの人数の前で堂々としているのをみて、身内として少し恥ずかしくなりました。
……
……
公明くんと李傕さんのほうも、何合も打ち合いが続いています。金属が激しく打ち合う音に金属が削れる音があたりに響きわたります。
こちらもさすがに疲れてきたのか李傕さんが一息入れようと間合いを取った瞬間。
「そこだぁ!」
「ウオオおおおっ?!」
カキーーン!!と李傕さんの剣が跳ね飛ばされます。そして公明くんが李傕さんに剣をつきつけました。
おおお?!公明くんが勝ちました?!稽古では相手になってなかったのに?!
「勝ちましたよ!巫女様の話を聞いてください!」
「……わ、わかっタ」
李傕さんもちょっと信じられないものを見たような顔をして、郭汜さんといっしょに部隊のほうに引き下がっていきます。
いや、ほんとうに強くなりましたね……
にまにましていると後ろから声がしました。
「ひ、豹だって、あんなの打ち合いなんかする前に弓矢で撃ち落とせるぞ!?」
何を張り合ってるんですか。というか身内ですからやめてください。
そんなことをしているうちに、平服で文官姿の人が一人、太守の部隊から進み出てきました。後ろに少しはなれて李傕、郭汜さんが立っています。
「河伯の巫女よ!話を聞こう!要求は何だ!」
良かった!今度こそ話ができそうです!!
私は太守の使者のほうにしずしずと進み出ました。後ろに少し離れて、公明くんと劉豹くんがついてきてくれています。
「わ、私は、喧嘩をしに来たのではなくてですね……こちらを受け取ってほしいんです!」
と言って、教団本部の住民名簿を使者さんにお渡ししました。
「これで、山賊でないと認めてください」
「……太守殿にご相談いたす。待っておれ」
使者さんが名簿をもって太守の部隊のほうに下がっていきました。
護衛に囲まれて立派な馬に乗っている人に話しかけています。おそらくあの人が太守でしょう。
あ、なんか怒ってます……や、やっぱりだめですかね。でも、断られちゃうともう攻め落とすしか……。
とやきもきしていると、太守の側にいた人が突然大声で叫びました。
「おお!!なんと素晴らしい出来事であろうか!!太守殿!これは太守殿にお祝い申し上げますぞ!!」
「そ、そうかね?
……って
- - - - -
「では、河東郡太守の権限にて、河伯賊の降伏を容れ、河伯の巫女を
「は、はぁ……ありがとうございます」
董卓パパは太守のとなりでニコニコしています。
と、とりあえず戦争にはならずに済んだみたいですけど……
……え、今、これ、何がどうなったの?
混乱する私に、そっと耳打ちする
「あとで、董大人がお話があると」
「……あ、はい」
う、お、怒られますよね……うん……
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