第33話 高度成長
「おいっちにー、さーんしー」
「ごーろーく、しーち、はーち」
今朝も董卓パパ以下、董家一族と
毎日こうやって念入りに運動をすることで、健康的にやせ型の董卓パパに改造を……
じーーー。
「あんまり変わりませんね?」
「いや?変わったぞ?体調がよいし、なんか身体が軽い」
董卓パパがお腹を震わせながら話します。
「牛義兄様もなんか少し太ってますよ?」
「え?!いやいや、そんなことないでしょ……」
むに。なんか自分で自分のお腹をつかんでびっくりしてますね。
まぁ、二人とも体操は素直にしてくれてるから、これ以上は言えませんが、どこでそんな栄養を摂取してるんでしょうか?
てっきり穀物を酒に換えて飲んでるのかと思いましたが、お屋敷の
いくら教団が儲かってるからって、そんなので食料が尽きたんじゃ支援するわけにもいきませんからね。
体操が終わると、公明くんがまた武術の稽古をつけてもらっていました。
「おお、コイツでっしゃろ?少しずつ筋肉がついてきてますわ、なかなか動きもよく」
「10本に1本はオレから取レル。筋ガイイ」
「いえ、師匠が真っ直ぐ教えてくれるからです!」
公明くんに肉を付けさせろという助言で、
私も毎日、
- - - - -
なんやかんやで日にちは過ぎていきます。
謎の美少女、
本日も新しい加入者が。
「巫女さま、どうかここにおいてくだせぇ」
「なんでもしますだ」
薄汚れたボロボロの服を着た家族が目の前に座って頭を下げています。なんか隣の郡で山賊がでたので、命からがら逃げてきたのだとか。
まったく、山賊ぐらいきちんと太守が討伐してほしいですね。河東郡は黄巾党をきっちり董卓パパが潰し切ったので山賊とかほぼいません。これは少し自慢です。
「ええ、ではみんなと仲良くしてくれるなら歓迎ですよ」
「ありがとうごぜえます!!」
「もちろん仲良くしますだ!」
こうやって他所からくる方に加えて、信者さんたちが親戚や友達を呼び集めるので少しずつ家が増えていきます。
そうなると、安邑の市だけでは売り上げが厳しくなってきました。
「他の
「でも、よそ者が市場を使うと睨まれますだ」
「それによそ者だとやっぱりみんな安心して買わないですだよ」
そうなんですよね。自由に誰でも店を出せるわけではなくて、地縁血縁が強い時代なのです。
となると、アチコチの県の市に顔が利く人に仲介してもらわないと、そんな人は……
いますね。良く知ってます。
……
……
私は、男装して安邑の商家を尋ねました。
「これはこれは董家の
応対に出てきた商人さんが恭しく寄付を拒否しました。
いや、寄付をお願いしに来たんじゃないです。
「いいえ、今回は商売の話で。取り扱い商品を増やしませんか?最近、市場で良く売れている
「ほう?お話をお伺いしましょう」
食いついてきました。さすがに市場での売れ筋商品は把握しているようです。
「こちらの生産者さんに伝手があるので、他の県で売っていただけませんか?あと、土器も扱っていただきたいのですが」
「もちろん
そして、私はにこりと笑って言いました。
「値段はそちらで決めていただいていいですよ」
「ほうほうほう?それでは是非!」
……
……
「はい、それでは第一回の販売権入札を行いまーす。皆さま、ふるってご応募ください」
安邑の商家の皆さんがそれぞれお互いをチラチラ見ておられますが、会話はありません。入札終わりまで発言は禁止していますので。
「適正な価格は私はわかりませんので、ぜひ皆さまにつけていただきたいのです。ではまず
お互いライバル商家の顔色を見ながら、むつかしい顔をしながら札に価格を記入します。そしてそれを集めて……
「はい!大陽県向けは趙家さんにお願いします!次は
というわけで、無事に輸送費や手数料も考慮して、それなりの価格で卸売りすることができました。談合だけは防ぎたかったので不意打ちみたいな形で皆さまを集めたのです。
本当は
あ、今回は私、貧乏人の民側なので!!民が民と利益を争うのは当然セーフ!!
というわけで、今回は対等の立場。私はお辞儀をして皆さまにお礼を言います。
「末永くよろしくお願いしますね!」
「え、ええ」
「今回はやられましたわ、さすがは小爺」
商人さんたちはちょっと引きつってましたが、ちゃんと私は「言い値」で売ってますからね。儲からないとは言わせませんよ?
- - - - -
なんやかんやで日にちは過ぎていきます。
ある日、信者さんから相談がありました。
「
「はい、家が増えて、
「家の近くの木や果樹は切らないように言われとりますで」
たしかに伐採は制限してます。はげ山にしてしまうと一気に土地が荒れるので……。
すると、山の奥から伐り出すしかないですね。
というわけで、信者さんたちを連れて山奥のルートを開拓しに行きます。
いくら木が伐れても、運びやすくないと意味がないので、歩いていきやすい場所を探すのです。
山に入るために崖沿いを迂回して、歩きやすい道を探していると。石が落ちているのを見つけました。
「あれ?珍しいですね。真っ黒な石」
石を拾い上げて眺めます。黒い石なら磨けば碁石とかになりますか。あと
あれ?これって。
みんなで休憩することにして、焚火を起こしてもらい、黒い石を炙ります。まぁ、燃えませんね。こんなところに石炭なんかあるはずがありません。あれはたしか深い鉱山で掘るものでしょう。
私は興味を失って、黒い石を焚火に放置しました。
……
「巫女様!!石が!石が燃えてるだ!!!」
やっぱり石炭じゃないですかーーー?!!
よくよく調べてみると、質のいい木炭と同じように石炭はなかなか火がつかないんですが、燃え始めるといい火力をだすようです。
さっそく石炭を拾った場所に戻ると、崖に大きく太い黒い地層が走っていました。
「え、まさかこれ全部石炭なの……?」
石炭ってこんなに簡単に見つかっていいんですか……。
- - - - -
なんやかんやで日にちは過ぎていきます。
燃料問題は完全に解決しました。むしろ余るので市場で燃料として売り出します。
信者さんたちは石炭を掘り出し、
そして仕事があることを聞きつけた人たちがあちこちから集まって、教団本部はどんどん人家が増えていくようになりました。
すでに人口は数百人になり、立派な村です。
みんな少しずつ貯えもできるようになってきたようです。
これならもう私がいなくても信者さんたちは大丈夫ですね。
そろそろ寄り道はやめて、ちゃんと三国志の阻止に向けて動きませんと。本格的に乱世になってしまえば、こんな小さな教団なんてすぐやられてしまいます。
と思っていたある日、公明くんが進言してきました。
「そろそろ泥棒とかも来るかもしれませんので、柵を拡張しましょう!」
なるほど、泥棒か。いままでは盗むもの無いから気にしてなかったけど防犯もたしかに考えないといけませんね。
と、突然、叫び声が上がりました。
「山賊だーーー!!」
「百人はいるぞ?!!」
遅かったーーーっ?!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます