第21話 腐敗
ですが、私には気がかりなことが……
三国志は
「おのれ宦官どもめ……今に見ておれ。殺す」
董卓パパは馬に乗ったままぶつぶつ恨み言を呟いてます。
早くいつものパパに戻ってほしいのでお願いすることにしました。
「父上、お話が。宦官を皆殺しにするのはやりすぎではないでしょうか」
「なぜだ。宦官が悪いから殺すのだ」
いやいや。というかすぐ殺すとか殺すとかいうのはやめてほしいのです。
「この大反乱の最中にですか?」
「いや、そのあとだな……」
董卓パパが言葉を濁します。作戦があるようですが、教えてはくれないようです。
「宦官が悪いのはわかります、父上も私も迷惑していますが、
「ふむ…… “
「えっと、たしか、宦官が各地の名士や賢人を追放した件でしたっけ?」
「うむ。そもそも宦官が賄賂を取ったり法を捻じ曲げるなどの悪事をしていたので、それを指摘した名士や賢人に
うわぁ。
「天下の名族はこぞって陛下に真実を訴え、当時の大将軍が一度は撤回させることに成功したのだ。
だが……宦官はその大将軍が謀反を企んでいると嘘をつき、
結果として“党錮の禁“がさらに厳しくなり、追放者は増え。騙された張将軍は心を病んで家に閉じこもり、先年無くなられてしまった」
董卓パパはさみしそうに俯きます。
董卓パパの評判にそっくりと思ったら、パパは張奐将軍をお手本にしているんだとか。
董卓パパは
「よいか、これは天下の名族名士の敵討ちなのだ。宦官は一人でも残すとまた嘘をついて人を陥れる。だから
いや、その気持ちはわかりますが……それだと三国志そのまんまじゃないですか。
うーん、なんとかどこかでルートから外れないと……。董卓パパや天下の名族が納得するような落としどころ……今すぐ思いつくわけないですね!!
不満そうな私をみて、董卓パパは軽く笑いました。
「まぁ、今すぐはやらん。
「それはなぜですか?」
「……反乱対策で、 “党錮の禁“を解除したのは知っておるな?それでだな。
はい?
「宦官が悪いです、宦官を殺しましょう、宦官を処罰しましょうという上奏文が毎日何十通も届いたので皇帝陛下がうんざりされてだな……」
まぁ、そうなりますよね。というかどれだけ評判悪いんですか宦官って。
「上奏文を宦官どもに突き付けて「いったいどうなっているのだ!」とお叱りになり」
やりますね皇帝陛下。
「そこで宦官どもは全員が、
「あれ?じゃあもう罰し終わってるじゃないですか」
「陛下は「こんなに宦官は素直ではないか」とお許しになり、上奏したものが罪になった」
はい??
「なので今はやらん。後だ」
……もうなんというか言葉もないです。乱世は回避したいですけど、穏便にすませようとしたら皇帝陛下が穏便にしちゃうし……
わからない。
よし、あとで考えよう。
- - - - -
もう一つ気になることが。
「それはそうと、なんで討伐にいく父上が、皇帝陛下にも宦官にも、お金を払わないといけないのですか……それも、借金までして」
こっちも一晩考えましたが、まったく納得できません。
その疑問にパパに謝り倒して許された
「大丈夫さ、
「なるほど、それなら安心……んんん???」
解説ありが……いや、おかしいですよね???
「特に今回の討伐は皇帝陛下のお計らいで軍資金も兵糧も豊富な予算がついてるからね。むしろ大黒字だよ」
「いや、牛輔よ……軍資金や兵糧には手をつけんぞ。兵が飢える」
「義父上、そこは常識的な範囲でやりませんと。我らの
「賊を撃破してうまく戦利品を手に入れんとなぁ」
常識って何ですかーーー!?
「何か、ものすごく変ですよね!?」
なんで、討伐に使う軍資金や、敵から奪った戦利品を、将軍がチョロまかすことが前提になっているんですか!
「
「僕らの故郷の涼州なんて酷いものさ。脈絡もなく
「ああ、皆殺しの
「まぁ、あれはさすがに異常ですけどね。そんな普通で常識的な将軍が入れ替わり立ち替わり着任して、戦争ばっかりしているせいで、涼州はボロボロなんですよね……」
うへえ。44億銭……44万家族が1年暮らせる金額ってもう国家予算じゃないですか……。いや、国家予算か。
「このままでは涼州は滅ぶ。全て宦官のせいじゃ」
えっとつまり……
将軍と宦官のカネ稼ぎのために、無駄な遠征を繰り返してるせいで財政がボロボロで。そのボロボロの財政を立て直すために、皇帝がじきじきに官位を売って賄賂を徴収。
任命された将軍とか役人は、払った賄賂を全力で回収すると……
そのツケは全部、貧乏な民衆に行きますよね?だから反乱がおきて……
……ダメだこの国。どうやっても詰んでる。誰かがなんとかしないと……
やっぱり宦官は皆殺しにすべきなんでしょうか……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます