第20話 汝南袁家(ジョナンエンけ)
もう死んだ、と思った時。女官さんが優しく笑いました。
「董太守のお嬢様ですね?こちらへ」
そのまま兵隊さんの護衛付きで、私、
そうです、宮殿そのものがお城のようですが、その宮殿が城壁に囲まれ、さらに宮殿と城壁をかこんで
さらに馬車は進み、町中にある大きなお屋敷の中庭に到着しました。
「さぁ、もう大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます」
なぜかニコニコ笑顔で穏やかそうな隊長さんに促され、外に出ます。
そこに突進してきた凶悪そうな巨大な人物が!!
「
「父上!!」
……
「ああ、心配したぞ。何かなかったか?無事か?!」
「ハイ、ナニモナカッタデス、ミナサン親切デ」
皇帝をのぞき見してましたー、皇子様に会いましたーとか言ったらまた何が起きるか分かりません。
「あ、あのぅ、義父上、この度は……」
「
「グェッ……ごめんなさい! ごめんなさい!」
恐る恐る進み出た牛義兄様がお父様に締め上げられています。いや、そうですよね。酒飲んでましたし……もう少し締めていいですよ。
うわ、力つよい。牛義兄様が空高く吊り上げられて……ちょっとやばいかな?
それを見かねてか、顔中しわだらけの白髪のお爺さんが声をかけました。
「これこれ、卓君。せっかく大事に至らんかったのだ……。
「閣下!!……そ、そうでしたな……」
そうか……同じ名前だから、
だから私も皇族の関係者だと思われて、
董卓パパが牛義兄さんを投げ捨てて、閣下の前に深々と頭をさげます。
「この度は本当に
「よいよい」
司徒閣下……ということはこの穏やかな口調のお爺さんが、董卓パパの師匠である
この人の率いる
「
そして董卓パパはニコニコ笑顔の隊長さんにも深々とお礼をします。
「いえいえ、何もしてませんので」
「董太守、
袁隗爺さんの隣に立っているナマズ
「これ
「いえいえ、公路の言う通りです。私は何もしてません」
袁隗さんがたしなめますが、本初さんはニコニコとおだやかに受け止めます。そして、それに公路さんはイラついてるようです……
……ん、袁家の本初に公路?ってことはこのオジサンたちが、三国志の群雄になる
あと袁紹ってもっと名家を鼻にかけてると思ったけど、めっちゃニコニコで穏やかですね……印象がちがーう。
あ、三国志が攻めてきましたけど卒倒しませんよ。だってこの袁紹さん優しそうだし、大虐殺のにおいとかしないし。あと、私も慣れましたからね!ちょっと乱世だからって卒倒してばかりではいられません!
「……い、いずれにせよ皆さまには大変お世話に」
袁一族の喧嘩に若干引き気味の董卓パパが改めて深々と頭を下げました。
「うむ、では
えええ、銭?!銭なんで??
董卓パパも耐えきれないのか反論します。
「賊の討伐のための任命なのに、官職を売買するようなことはよろしくないとは思いますが……」
「これは
「かしこまりました、閣下」
聖上と言われた瞬間黙っちゃいました。
公職に任命するときに銭をとるって話は、弁皇子から聞いてましたけど……え、何? パパからもカネとるの?
反乱軍討伐を命令しておいてカネとるんですか?
「大丈夫じゃ、今回は能力を評価しての抜擢じゃから、安くなっておる」
「まさに光栄の極みで……」
そういう問題なの!?
皇帝にお金がないのはわかりますけど!
ぜったい変ですよね!?
董卓パパも困り果てて冷汗かきまくってますよ……
「あとは、宦官にも礼金が必要じゃな。
ええええええ?
盧植って董卓パパの前任で宦官に賄賂ださなかったからクビになった人……そりゃ二の舞は嫌でしょうけど。董卓パパの顔色がどんどん悪く。
「手持ちがあまりないのですが……」
「貸しておいてやろう」
「……ありがとうございます、この恩義は忘れませぬ」
だめだ、なにがなんだかわかりません……
頭がクラクラしてきました……。
困惑する董卓パパに優しく声をかけてくれたのはニコニコ顔の袁紹さんでした。
「……董太守、ご安心を。非道は長くは続きませぬ」
「袁校尉(袁紹殿)……」
袁紹さんは張り付いたような温和なニコニコ顔で。
「ええ、準備さえ終われば、宦官は
「おお!」
……にこやかに笑顔で大虐殺を宣言する袁紹さんと、それを魔王顔で喜ぶ董卓パパを見て、私は。
ぶっ倒れました。
「娘さんが倒れましたよ?!」
「
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