第5話 髭の塩商人
脱税は許しません!!!
私の声を聴いた瞬間に、のっぽの
塩湖の見張り兵を手早くかき集めると、ちゃっちゃっと顔の赤いヒゲの人、
ところで、あの顔の赤いひと、ずいぶん背が高いですね。兵隊さんに囲まれてるのに頭一つ抜けてます。
割と身長高めの郭汜さんよりも少し高いですよ。
「お待ちあれ、何かの勘違いであろう……いつもの塩官はどこに?なに、交代しただと……?!」
顔の赤い人がさらに顔を真っ赤にして弁解しております。
なんでも前の塩官さんに特別に認めてもらって税を割引してもらっていて、そのお礼に
……
悪い人は怖いので、私は郭汜さんと李傕さんの後ろに隠れながら応援します。
いけ、郭汜さん。やっておしまい!
「というわけで、新しい塩官の方ですか。ではこちらを」
「おお、気が利くやないか」
そして銭の束を差し出す赤い顔の人と、喜んでそれを貰う郭汜さん……ってちょっと?!
「オイ、郭よ、それは無いダロ」
「なんや、文句があるんか」
ああ、郭汜さんも悪い人だったんですね、李傕さん頑張って!!
「俺にも寄コセ」
「はい、ただいま」
なんでやねん!!
って郭汜さんの訛りが移っちゃったじゃないですか!
「いやいやいや、賄賂ですよねそれ?!悪いことじゃないんですか?!」
つい声をあげてしまいました。
「ナニ、賄賂。賄賂を取るなんテ、郭は悪人ダナ?」
「お嬢……あ、いや
郭汜さんはお嬢様といいかけて、人目があるのに気が付いて「小爺」と言い換えます。今の私は男装中ですからね!
「
怖いですね、だからダメですよ。
「でも、これは財を貰って法を
つまり?
「ゼニは貰うけど、こいつは捕まえるんならワイは無罪」
ええええええええええええ……
得意げに言う郭汜さんにたまらず赤い顔の人が怒り始めます。
「いやいや?!そんな酷い話、人の道に外れていると思わんのか!!」
「そ、そうですよ、人を騙すようなものです、ダメです。二人ともお金は返してください!こんなことをしているから出世しても群雄に討伐されて酷い末路に遭うんですよ!」
とりあえず、さすがにひどいと思ったので、二人を説得します。
「え……お告げはそうなんや……わかりました」
「それは困ル、返す」
素直ですね、二人ともまだ悪党ルートから復帰できそうです!
満足げにしていた私に、放置してた赤い顔の人が言います。
「……で、その銭は小爺に渡せばよろしいか?」
いやいや。
「私じゃなくて、税金をちゃんと払ってください、なんで悪いことするんですか」
「なに?銭を受け取らないのか、なぜそんな悪いことをするんだ」
赤い顔の人が意外そうです。
え、私が悪いんですか?なぜ?
「良いか、ここの塩官は代々大変話の分かるお方でな。民が塩の値段が高くて困っていることを
いや、代々の役人がダメじゃないですかソレ。
長生さんが私に問いかけます。
「天下万民は塩なくては生きられないな?」
「もちろんです」
「その塩に重税をかけて民を苦しめるのは人の道ではない!よってこの銭を受け取っていただきたい」
「いや、あなたはそれで儲けてますよね?!それならそれで国に税金を下げろと言えばいいでしょう!」
「……」
「……」
あれ、なんでみんな黙るんですか。
「……いや、政治に庶民が口出しなどしたら捕まるが?」
「小爺、それ謀反にナル……」
うわぁ……何かと面倒ですねこの時代。
「……あー、えーっと……ですから!ちまちま脱税してる人じゃあ説得力がないんです!もっとこー大活躍する
とにかく勢いでごまかします!!!
そういうと赤い顔の人はしょんぼりとして。
「む……とりあえず銭は受け取ってくれんということか?」
「そうですね、税金払ってください」
「それは断る。あ、湖で塩を盗んでるやつがいるぞ!」
「ん?!」
いきなりの大声で郭汜さんと李傕さんがつい振り向いた瞬間に、赤い顔の人が兵隊さんをちぎって投げて逃げ出しました。足が早い!
「ワイの馬を引いて来いーー!」
「追エ!!」
郭汜さんと李傕さんが急いで追いかけますが……
結局捕まりませんでした。
でも、郭汜さんは塩官にはびこっている賄賂と脱税について報告して、
- - - - - - - - - -
塩商人の長生に脱税の手配書が回った。
「これは名前を変えねばな、さて……そういえばあの少年が関羽みたいな英雄とか言ってたが、面白い名前だな……」
※出典:三国志 蜀書六 關張馬黃趙傳
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