第3話 算盤(そろばん)
どうも、
董卓パパが物凄く怖かったです……
あ、はい。私も悪いと思ったので素直に謝りました。
確かに娘にいきなり魔王だと思われたら嫌だよね。
本人を見る限り悪役っぽさないし……
甘んじて罰を受けました、お尻痛い。
「まぁあれはお嬢様が悪いですわ」
と声をかけてきたのは令嬢ではなく、
すらりとした長身とこれまた長い手を激しく振って身振り手振りで主張します。
「
「
董卓と言えば武勇はそれなりで、それ以外はだいたい暴虐の限りを尽くして政治も放置してる話ばっかりだし、その武勇のすごさも大体が
「そらもう、馬に乗っては千里を行き、騎射は右や左に百発百中ってなもんですわ。
普段の生活もご質素、その分を名士との交流や
はぁ、なんか全然印象が違いますね……それと。
「
「へ?いや、いやワイはほら、能がないんで。主公さんが出世するなら少しでもお力に成れたらええなとだけ」
なんかオッサンが照れて鼻をかいてますが……赤くなるな赤くなるな。
「馬鹿を言うナ!!貴様は主公から絹を貰った時ニ「儲かるからしばらくお世話になろかな~」、などと言ってたではないカ」
御屋敷の中庭にちょっと
「あん?オドレも「この将軍の元なら出世できそうダ」なんて言うてたやないか!」
「そうダ、それで何が悪イ。強い首領を選んで戦うのが出世の道ダロ」
いばるないばるな。
まぁ、純なのか不純なのか分かりませんが、董卓パパは部下の人望はあるようです。
なんか李傕さんと郭汜さんの二人がにらみ合いを始めちゃったので必死に
確かこの二人って董卓パパの死後に政権を取るけど仲間割れして衰退しちゃうんですよね……
「まぁまぁ、二人とも将来は長安の都で偉くなってナントカ将軍になるんですから。仲良くしてください、仲間割れは良くないです」
「えっ?」「えっ?」
……あ。
「巫女のお告げやー!!」
「ヨシ!やる気にナッタ!!」
あわわ、また余計なこと言っちゃったかも……
話題、話題を変えよう!!
……ん?李さんがごつい身体を丸めて何かちまちま石を転がしたり
太い指で石を溝にハメようとして、あ、転がってった……
「ぐぐぐ、やる気にナッタのに、算盤ガ?!」
なるほど、これは
溝の並んだ板に石をいれて、何か一生懸命計算しているようです。
落ち着いて石を拾って、溝に並べなおして……
ガタンと音を立てて板が飛び跳ねました。
不器用すぎるでしょ?!貸して?!!
「いえいえ!?これは俺の仕事デ!!!」
「はいはい、
1石って何斗だっけ?」
「10斗ですガ」
「359石8斗なり……と」
いや、算盤使うほどの計算でもない気がするけど、ちゃっちゃっと検算して終わらせてあげました。
「す、スミマセン、お嬢様、俺の仕事ナノニ」
「ううん、こんなの簡単簡単。次は麻布が2
「10尺デス……」
いいですね!単位も十進数で!!ノってきました!!
……って算盤がちょっと使いづらい。せめて数珠が棒に刺してあってチャッチャとできるといいんだけど。
ただの溝に石並べてるだけだもんなぁ……
「最後に鉄が23
「あ、イエ、1斤16両で、1両24銖デス……」
「なんで?!!!!!!なぜですか!?漢の人たち!!!!」
「申し訳アリマセン!!!」
李司馬がごつい身体を丸めて謝ります。
いや、李さんのせいじゃ……
おおう、繰上りに繰り下がりに分数になって……
ああ、もう全部計算してあげますよ?!
- - - - - - - - - -
「お嬢様!ありがとうゴザイマス!!」
「お嬢様、ワイからもお礼を申し上げますわ」
帳簿の群れを蹴散らしたところ、李傕さんと郭汜さんが感動してお礼を言ってくれました。
なんか背が低くて筋肉質の李さんと、長身で痩せ気味の郭さんが並んでると、どっかの悪役トリオみたいですね。センターがいませんが。
ところで、そもそも李さんは武官ですよね?
「はい、ですガ、主公から少し書き仕事もシテみろト
なんかすっかり身体が小さく丸めて恐縮しちゃってます。
均輸官?なんでしょう?
「ああ、モノの売り買いをする官吏ですわ。
ほら、収穫の時期は穀物が安くて
わー、なんか面白そうですね!!!取引ゲームみたいで!
「そうでっか……?
「それに俺ハあまり才能ガ……」
え、商人みたいだと人気がないんですか……?
なるほどなるほど。じゃあ私が手伝ってあげましょう!!
ちょっとおうちの本を読みつくして暇だったんですよね!!!
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