第2話 讖緯説(よげん)
お
正式名称を
県より郡のほうが大きいんですね。
河東郡の
なかなか立派な城壁を持つ大きなお城で、人口も多いです。
町全体が城壁に囲まれている城壁都市なんですね。
なんでも昔の魏の国の首都だったそうで……あれ、魏の首都って
と聞いたら
「はぁ……いや
まぁ、そうですよね。私だって神が憑いていると言われても別に念力でモノを動かしたり、テレパシーが使えるわけじゃないので得するわけでも……
使えないかな?むむむ。
使えるかも?
ぼやいている董卓パパを尻目に手をうようよ動かして遠くの壺を動かそうとしてみます。
うごけー、うごけー。
「あいや、
ワクワクしながら話しかけてくる礼儀正しそうな若者は、董卓パパの娘婿の
実の兄さんは居たそうなのですが早くに亡くなったそうで、牛輔兄さんが親族筆頭のような感じです。
いや義兄さんって割と強硬に巫女に視てもらえと騒いでいましたよね。
李司馬も牛輔兄さんもそうですが、親族たちも部下たちもなんか迷信深い人多い気が……
「
「いいえ、父上。何ともありません。神通力もありませんし……」
壺を動かすのをあきらめた私は、董卓パパにお辞儀をしながら言いました。
「あのような図に何か力があるとも思えませんし、気のせいだと思います」
ギロッ?!
董卓パパの顔色が変わりました。
「……
「あ、申し訳ありません」
いや、今の顔怖かった。
やっぱり魔王なのでは……
董卓パパはマジメな表情で神妙に言い聞かせるように話しだしました。
「
というと、周囲の親族や部下たちに向かって高らかに宣言しました。
「皆の者、本件、および
「「ははっ!!」」
周りにいた親族や部下たちが一斉に答えます。
……後で聞いたのですが、今の皇家、つまり後漢の初代皇帝は
なので予言を否定するどころか、国家の正式な学問に予言が組み込まれてるそうで。
だから皆さん割と迷信とか予言とか軽く信じちゃいますし、だからこそ皇帝に都合の悪い予言は取り締まりの対象なのだとか。
いやこれじゃ私が厄物じゃないですかやだー?!
せめて超能力でも使えないと損ですよね?!
壺うごけー。
私は手をうようよ動かして……
パリン!!!!
「も、申し訳ありません!!!」
私の念力で壺を倒した……わけじゃなくて、召使さんが
「おい!!」
董卓パパがすごい顔をして立ち上がります。
立派な髭を逆立てて完璧にこれ魔王……召使さんが殺される?!止めないと!!!
「父上、どうか落ち着いて!八つ裂きはやめてあげてください!!」
「えっ」
董卓パパの裾に縋って助命を願います。
ひょっとすると私の念力のせいかもしれないからこんなので殺されたら可哀そうだし……
「え……八つ裂きじゃすまないのですか?!!では、生皮を剥ぐのもおやめください!!」
「……いや、そんなことはせんが……」
あれ?董卓パパが引いてる……??
えっと……董卓ってほら、魔王だし……ちょっと気に入らないことがあると部下に武器を投げつけて殺そうとかしますよね???
「えっと、じゃあ
「せんわーーーーーっ?!!!はぁ……ふぅ……」
お怒りなのか董卓パパは一つ叫ぶと、深呼吸をして息を整えました。
そして八つ裂きや皮剥ぎに怯え、這いつくばっている召使に声を掛けました。
「で、貴様は大丈夫か?ケガなどしておらんか?」
「め、滅相もありません!!それより壺を」
「壺など構わん、どうせ壊れ物だ……片づけよ」
「
「構わん」
召使は感動して泣きそうになりながら何度もお辞儀をしています。
おおおおお!!
董卓パパって顔は怖いけど優しいじゃないですか!!?
こんな人がまだ若い皇帝を殺したり、首都の洛陽を焼き払ったりしないですよね!!!
魔王じゃないかも!!
そして董卓パパが満面の笑みでこちらに振り向き。
「
「……はい」
女の子が八つ裂きやら皮剥ぎやらなんてことを言うんだとめちゃくちゃ怒られました………
怖かったです……
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