UI変更はいつも、かなしい
「ファッッキイイインンン!!!!!!」
おっと、思わず叫んでしまいました。つぶやいたーのUI変更ごときで驚くとは、私もまだまだですね。ここはしょっちゅうUIを変えてくるので慣れなきゃならないんですが気に食わないんですよねえ……
誰がフォローボタンの色を反転しろと言いましたか?
マジでなんなんでしょうこれ……手元にあるドクペをゴクリと飲み干しながらドンと机にボトルを叩きつけます。
むかつきます、ファッキンシット!
これで数人フォロワーをアンフォローしてしまいましたよ……してから気がつくんですよねえ。
アメリカにはアンチパターンという一つの本のテーマになっている題材がありますが、このデザイナはデザインのアンチパターンを学ばなかったに違いありません。
先人に学ぶということを知らない人には困ったものです。私は今回の更新について愚痴りました。
もゆる:何ですこのクソUI! 本当にアメリカのエリートが作ったサービスなんですか?
『お前よりはエリートだぞ』
『いくらなんでもお前と比べるのは可愛そうだろ』
クソッ、なんでみんなこうやって突っかかってくるのでしょう。どうせみんな今回の更新はクソだったと思っているはずなのに……
ふと、シスイアカウントはどうなっているのでしょうかと思い立ち検索をしてみました。
シスイ:ごめんね! フォローしてた人何人か外しちゃった! 今回の更新で間違えちゃった! フォローはズレてるよって人はリプライしてね
『シスイちゃん、ワイ外れとるんやが』
『私もはずれてるー』
『私も』
以下略
どちらも更新への文句だというのにこの反応の違いは何でしょうか、イライラしますね。
しかしさすがにこのアカウントで燐火ちゃんのアカウントへリプライを送るわけにもいかないので黙って流れを見ていました。
流れていくつぶやきを見ていると、シスイは一切文句を言っていませんでした。内心ではいくらか毒づいているのかもしれませんが、文句を言わずに新UIに必死になれようとしていました。
私はうんざりしてスマホを充電スタンドにそっと立てかけてPCに向かいました。そろそろアカウントの削除時ですかね……
ポチポチといつも通りの情報を入力してアカウントを削除します。そこから流れるように新しいメールアドレスを発行してそちらで新規登録を行います。もちろんその前にルータの再起動をしてIPアドレスの変更もしておきました。
幸いなことにつぶやいたーではアカウント作成時にドメイン部分は見ていないらしく、いくらでもアカウントを転生させることができました。
PCでの作業を終えてスマホを持ってベッドに寝転ぶとこの使いづらいUIが表示されます。
機能の廃止やら新規実装やらご苦労なことですね、ものの本には『動いているコードに触ってはならない』と警句が書かれていましたが、きっとこのアプリの制作者はそんな本を読んでいないのでしょう。
褒めてみればいいんですかねえ……新しいアカウントでつぶやいてみますか。
もゆる:神アプデ! これはつぶやきが捗るアプデですね!
『やはり変態専用なのか……』
『これが神とか神に失礼だろ! コイツ神をチェーンソーで切ってそう』
『超越者向けアプデだったか』
『ドブ川にも適応できるものすごい環境適応力』
『さっきのも本物っぽかったがこっちは逆張りにしたのか?』
散々な言われようでした。シスイちゃんとの違いは何なんでしょう? 発言者によってコロコロ主張が変わるのはどうかと思いますよ。私はそのアカウントも削除して再修正されるまで放っておこうと決めたのでした。
燐火:凪ちゃん、今暇?
凪:暇になりました。さっきまでやることがあったんですがね……
燐火:何があったかは聞かないでおくよ
凪:で、何かご用ですか?
燐火:それがね、私ね今晩の配信をしたいんだけどね、実は……マルチプレイのゲームになったんだ……それで
凪:お断りします、私はゲームに参加できるほど度胸がありませんから
燐火:そこを何とか! 知り合いに配信してることを知ってる人がいないの! 2対2だから凪ちゃんが協力してくれれば配信ができるの!
凪:嫌ですよ、顔出しとかないにしてもあなたと組んだらガチ恋勢からヘイト買いそうですし
燐火:今日の配信でもらったスパチャの半額でどう?
凪:しょうがないですね、やりましょう
こうして私はお金に屈して配信に参加することになったのでした。ありがたいことにリスナーに与えられる情報は友達ということのみで、顔出し声出し一切無しで良いということだった。
そしてその夜……
私は燐火ちゃんとボイスチャットをしています、こちらは配信に乗らない裏の方で行うチャットです。
「凪ちゃん! あっち行ったから迎撃お願い!」
「任せなさい!」
ちゅどおおおおおおおおんん
派手なエフェクトで敵のマシンが破壊される。簡単な仕事だった。
シスイ:スパチャありがとう! 応援してね!
しめしめ、私にも半分入ると思うとただのスパチャがありがたいもののように思えてしまいます。
「これで終わりです!」
ドンとミサイルを撃ち込んで生き残りを片付けて私たちのチームは勝利しました。
「やったね!」
「余裕ですよ」
シスイ:みんなありがとー! 皆の応援のおかげだよ!
『さすシス』
『つよい(小並感)』
『光と闇が合わさり最強に見える』
『圧倒的じゃないか!』
『つーかチーム組んでた相方の戦い方エグくない?』
『待ち伏せとか急襲とかはともかく、燃料を全部抑えて兵糧攻めとか相手への嫌がらせに余念がない』
燐火:ちょっとムカつきますね
凪:構いませんよ、私はこういうゲームに慣れているだけですからね
シスイ:今日もありがとー! また明日の配信で会おうね
『乙』
『乙』
『お疲れー』
こうして私の参加した配信は終わったのでした。
燐火:じゃあ今回のスパチャの分は後で渡すね!
凪:ああ、ギフト券にしてメールで送ってくれればいいですよ
燐火:現金じゃなくていいの?
凪:どうせ使いますからね、その方が早いんです
燐火:そっか、じゃあ送信しておくね
そして十分ほど後にピコンとメールの通知が来て幾らかの金額のギフト券をもらえたのでした。
私はそれをありがたくアカウントに登録して何を買おうか考えながら、配信も楽しかったなあなどと考えるのでした。
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