第2話 自信なき恋心

なかなかに振り返ると失笑してしまうものである。

分かりやすく言うならば「どどど童貞ちゃうわ!?」と叫んでしまうような初心な頃。


体育館裏に呼び出された私はクラスの周りから囃されるのが嫌で私が好きだった子からの告白を断ってしまった。


中々に下衆だったと思う。

私は告白する勇気すら無かったのに、何故断る権利があるのかと。今ではそう思う。


いやしかし、永くは続かなかったであろう。このような自信も才能も無い陰のものは愉しませられたとは思えない。この言い訳すらも、どうやらマケ犬の様だな。



スラッとした手足は長く、赤縁のメガネをかけて髪は黒髪ロング。最近で言うところの姫カットだった彼女はよく図書室で見かけた。

何を読んでいたのか今では思い出せないが、数冊本を抱えて図書館を出入りするのを何度も見かけた。


私は小学生の頃から本の虫であり、いつも昼休みには図書室に入り浸っていた。

それなのにこんな残念な日本語しか話せないのは甚だ疑問だが

あの頃の私は本を読んでいるのではなくただ本の中の風景だけを見ていたのだろう、文字を読んでおらず雰囲気を楽しんでいたからこうなのだろうな。


さて話が脱線した、つまるところ私は本というものよりも図書館という、書籍という、静謐で教室とは違った異質な空間が好きだったのだ。

そして本だけを借りていく彼女には一体何をしに来たんだと思ってしまったのだろう。


ふふ、笑ってしまう、お前こそ何してるんだと。

まぁ、そんなこんなで自分とやっている事は似ている、だが本質が違う彼女が特異に映ったのでしょうな。


アレこそが興味の始まり、そして自信なき恋心の芽生えだったように感じる。

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