十二月二十二日、夜
照明が、不安定な呼吸を繰り返す。越したときからそのままにしておいた玄関灯はまだしも、新調したLED照明が切れるには早すぎるように感じた。生活するには少し狭すぎる正方形のこの部屋は、寝れたら良い、安い方がいいという私の強がりを通して最近越してきたところだ。ベッドと食事用のテーブル、クロゼット、それに姿見を置くともうスペースがなくなった。ここへ来てから衣食住における住の大切さを痛感したし、なにやら照明の様子もおかしいしで正直後悔しているというのが現状だ。
話を戻すと、照明はついにブッツリと切れてしまった。部屋は真っ暗だ。もう夕方とはいえ、寝るには早いし、このままでは不便である。玄関のドアを開けて廊下の明かりを入れながら、私は照明を取り外す作業をしていた。
「何しよん」
不意に廊下から声がしたので驚いて見ると、玄関から中井ちゃんが覗き込んでいる。
「照明切れちゃったんよね。ちょっと買ってくる。」
「それ買ったばっかやなかった」
「ん、そうなんやけどね。おばけの仕業かな。」
冗談めかしてそう言ったが、実際、その可能性も少しは考えてしまっていた。家賃は部屋相応だと思っていたが、もしかするとおばけ割もされていたのかもしれない。中井ちゃんは笑わずに、きゅっと唇を引き締めて私の部屋を見ていた。
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