第7話
「今宵は宴じゃ!」
蛇神の一言で神社の灯篭に火が付き、辺りを照らした。
お供え物の野菜を少し貰い、ももは鍋で汁物を作る。
その間に天狗は蛇神の指示で、残ったお供え物を各家々にそっと返しに行った。
「酒くらいは有難く頂いてもよかろう。」
と蛇神はにやにやしながら一升瓶を眺めていた。
明かりの灯った神社に妖と動物たちが集まってきた。
妖と動物たちは干した魚や木の実、酒を持ち寄った。
焚火で魚やキノコを焼き、妖と動物たちは山に残るももを歓迎した。
みんながどんちゃん騒ぎしているところを蛇神は、お社の上から眺めている。
天狗はお供え物を返し終わると、蛇神の下へ戻った。
「天狗、戻ったか。」
「白蛇殿この度は、本当に申し訳ない。」
「よい良い。まあ、お主も一杯飲め。」
蛇神はそう言うと天狗に酒の入った盃を渡す。
「白蛇殿はもも殿のこと知ってたのですね。」
「まぁな、相談は受けておった。まさか家でするとは思わんかったがな。
あやつも思い切ったことをしたのう。」
と笑う。
「人間が相談役になった前例がないわけではないからの。ちと厳しいかもしれんが、ももならきっと大丈夫であろう。」
「前例というのは?」
「噂で聞いたのじゃ、もう何十年も前の話じゃがな。折角なら、修行もかねて話を聞きに行くとよい。」
「誠ですか。では、雪解けが始まるころ旅に出ることにいたします。」
「なあ天狗。お主はももが弟子でよかったのか。」
「白蛇殿、いまさら何を申しますか。いいのですよ、もも殿が決めたのであれば。
ももがここに残るのは、嬉しく思います。やはり、情が移ってしまったのでしょう。
それに、ここの神様である白蛇殿に認められる者はそうそういないでしょう。」
「そうか、ならよいのじゃ。それに…情が移ったのは余も同じかもしれんのう。」
焚火を囲み、妖たちと談笑するももを眺めながら蛇神は呟いた。
とある天狗と蛇神様 猫家 凪 @umeuguisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます