第6話
お社に着くと蛇神は帰りを待っていてくれたようだった。
「狛、こっちに来なさい。」
狛犬は長い時間お社から離れていたせいでとても疲れているようだった。
蛇神の膝の上に乗せられて、妖気を回復してもらう。
「天狗、ももとはしっかり話はしたのか?まさか一方的に話をしたわけではなかろうな?」
蛇神は悪戯っぽく天狗に言った。
その様子を見て蛇神に隠し事はできないなと天狗は改めて思った。
「もも殿。昨日は話も聞かず、申し訳ない。もも殿はどうしたいのだ?」
「私も、昨日はごめんなさい。私は、」
ももは視線を落とし、答えに迷っているようだった。
そんなももを見て、蛇神は助言する。
「もも、余に言ったことを言ってやればいいのじゃ。」
その言葉を受けてももは真っ直ぐに天狗を見た。
「私は、ここに残って天狗の手伝いがしたい!天狗みたいに山のみんなの相談役になりたいの。
だから、ひとりで山で生活できるっていうのが分かれば天狗も認めてくれると思って。ごめんなさい。
でも、ここに残りたいのは本当!だから、だめ…かな?」
ももがそう思っていたとは思っていなかった。
「しかし、村に降りたほうがももの為に。」
「私の為って何よ、私はここに居たい。でも、どうしても一緒に居れないなら諦める。ダメならダメって言ってほしい。」
天狗は困って頭をかく。こういった展開になるとは予想していなかった。
山に居たい、手伝いがしたいと言ってくれたのは嬉しいが、今後のことを考えると手放しに喜ぶことができない気がした。
「天狗、お主そろそろ弟子をとってもいい時期じゃろ。ももでは不足か?」
「しかし、」
「妖も見える、山の動物とも話ができる。相談役として十分であろう?」
天狗は深くため息をついた。
「もも殿、相談役としての修行は厳しいぞ。」
ももと蛇神にここまで言われてしまえば、天狗はもう折れるしかなかった。
「やったー!」
ももは蛇神に抱き着いた。
「ははっ、よかったなぁもも。」
蛇神も嬉しそうに口角を上げた。
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