第3話
次の日、天狗が起きるとももの姿が無かった。
昨日の件で、もう一度話をしなければならないと思っていたのだがお社にでも行っているのだろうか?
とりあえず、天狗はお社に向かう。
お社についたがそこにいる様子もなく、狛犬もいないままだった。
急いでお社の扉を強く叩いた。
しばらくするとガタガタと音を立てて、中から蛇神が出てきた。
「なんじゃ、朝っぱらから騒がしい。」
起こされてとても不機嫌そうだ。
「白蛇殿申し訳ない。もも殿と狛殿を見ておらぬか?」
「いや、見とらんな。そういえば狛も昨日は戻っとらんの。てっきりお主と一緒かと思っておったのだが。」
「どこにいるか場所は解らぬか?」
「繋がりが薄いからの。この社の廃れようじゃ、狛が残っているだけでも珍しい方じゃ。」
「左様ですか。朝早く申し訳ない。」
天狗は治めている山一帯の妖たちにふたりを見ていないか聞いたが、大した情報は得られなかった。
山の尾根を通って山頂の一番高い杉の木に登った。ここからなら山を見渡すことができる。
紅葉が終わった木がほとんど葉を落としている。
ももを探し回り、太陽が一番高い時間を過ぎていた。
今年の村の作物はやや不作だったようで、何度か村人たちが山に入ってきていた。
今日も村人たちが来ているのか、普段山の
もものことは心配だが、妖たちが喧嘩にならないか先にそちらの様子を見に行った方がいいだろう。
「お前ら、あまり奥に行かない方がいいぞ。」
「あ、天狗様。すいません。思ったより村人が奥まで来ていて。」
「今年は少し不作だったようだからな。仕方あるまい。」
「そういえば、さっき村人たちの近くにもも様らしき人がいたのですが……」
「それは本当か?」
「はい。もも様は、村に降りることにしたのですか?」
「いやまだ、決まってはないのだが。ありがとう少し様子を見てくるよ。あまり奥に行くでないぞ。」
「はい。天狗様もお気をつけて。」
先程の話をもとに村人に姿を見られないように近くに行ってみることにした。
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