第2話

天狗が洞窟へ戻るとももは既に魚を焼いていた。

「てんぐ遅ーい。」

「申し訳ない。」

「もも様は腕が上がりましたね。では私はこの辺で失礼します。」

「こま、一緒に食べようよ。」

「しかし、白蛇様にばれたら怒られてしまいます。」

「いいじゃん。」

「むぐ。」

ももは狛犬の口の中に焼けた魚を突っ込んだ。

「これは不可抗力であります。」

と言いながら狛犬は魚をパクパク食べ進める。

「もも殿。話があるのだが。」

焼いた魚を食べながら、天狗は重い口を開いた。

「ん?」

「人里に降りる気はないか?山での生活は大変であろう。」

「なんで急に?別に生活できてるじゃん?」

「それはそうだが、人里で生活した方ここにももは幸せなのではないか?」

少しももはムッとしている様子だが、天狗は続ける。

「ここの村では難しいが、山を一つ越えた村であればお主の私情を知る者もいない。それに子をなすことも」

天狗が話し終わらないうちに、ももは魚を刺していた串を天狗に投げつけた。

「追い出したいなら邪魔だって言えばいいじゃん!私の話も聞かないで、勝手に決めないでよ!」

「もも殿……。」

「寝る。」

ももはそう言うと狛犬を引きずって洞窟の中に入っていってしまった。

天狗は深くため息をついた。

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