第155話

ピチャン…


「ん…」


エイトは顔に当たる水滴で目を覚ました…起き上がろうと手をつこうとすると


ギシッ…


手首が縛られていた。


「え?わぁっ!」


動こうとしたら足が動かず顔から倒れ込んでしまう。


「いてて…」


見ると足も固く縛られ身動きが取れない、周りを見ると鉄格子が目の前にあり周りはゴツゴツした岩肌がある…まるで牢屋のようだった。


「ここ何処?」


「エイト!大丈夫!?」


自分の声に反応してクイーンの声が響いた!


「クイーン!何処にいるの!?」


「多分エイトの隣、手足が縛られてる」


「僕も同じだよ」


エイトが答えると


「わ、私も…」


怯えて震えるウールの声がした。


「ウール!まさかみんなもロン!チャバ!?」


「う、うるさい…居るよ」


「うっ…うっ…」


ロンは強がっているが声に元気がないし、チャバは泣き出してしまった。


「みんな大丈夫か!?」


するとフールさんの声がした!


「フールさん!」


「悪い…誰かに盛られたらしい…俺も捕まった」


「フールさんまで…」


ウールが泣き出しそうになると…


「大丈夫だ!こんな縄外すからな!少し待ってろ!」


「うん…」


フールさんの声にウールやロン達が小さい声で答えた。


「フールさん…ここって何処なの?」


エイトは自分から見える限り周りを観察する…鉄格子の先には道があり何処に繋がっているようだ。


「ここは…王都の城の地下牢だ…」


「え!?王都…なんで?」


「あの地下都市から王都にそのまま侵入出来るように穴を掘っていたんだ…明日の作戦の為に…きっとそれに気付かれたんだ」


「じゃあ逆に侵入されちゃったの?」


「すまん…」


フールさんの悔しそうに謝る声が聞こえた。


「そんなフールさんのせいじゃないです…でもどうにかして逃げないと…じいちゃんの邪魔になっちゃう」


エイトは岩の突起に縄を擦ってどうにか切れないかと奮闘する。


「くっ…」


岩に腕が一緒に擦れて縄に血が滲んできた…


ブチッ!


しかしその甲斐があって縄が切れた!


「やった!フールさん縄が切れたよ!」


「な、なに!?で、出来した!俺もあと少しだ!」


「まって…エイト…血の匂いがする」


クイーンの怒っているような声がすると…


「うん、縄を切るのに腕までちょっと切れちゃった。でもこのくらい大丈夫だよ!」


「エイトに傷?許せない…」


クイーンの声がしたと思ったら…


ドコッ!壁に穴が空いた。


「な、なんだ!?」


「やだ~怖いよー!ママぁ~」


突然の音にチャバが泣き出した!


「クイーン!!だ、大丈夫!壁が壊れただけだから」


「壁が壊れる?」


フールの戸惑う声にエイトは慌ててクイーンに抱きついた!


クイーンはエイトが傷ついた事で怒りドラゴンの姿になっていた…


「クイーン…僕は大丈夫!抑えて…これ以上大きくなったらみんなが怪我しちゃうよ!」


クイーンにそっと声をかけた。


「だって…エイトが…」


「大丈夫…僕は大丈夫…ね!」


エイトはクイーンの顔を掴むと自分の方に引き寄せて笑って見せた。


「クイーンがそばにいるだけで心強いよ!だからいつもの姿に戻って」


「うん…」


クイーンはエイトの温もりに気持ちが落ち着いてきた。


クイーンが人の姿に戻ると、エイトは自分の着ていた服をクイーンに被せた。


「いらない、エイトが着て」


クイーンが服を脱ごうとすると


「駄目!クイーンが裸なの僕が嫌なの」


エイトがプクッと頬を膨らませる。


「わかった…」


クイーンはエイトが怒ったので大人しく服を着ることにした。

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