第156話
「大丈夫…か?」
クイーンが服を着るとちょうどフールさんが縄を切り終えたようで牢屋から出てきた。
そして破壊された牢屋に驚いて言葉を失っている。
「なんか…壊れちゃった」
エイトが笑って誤魔化すと
「まぁ古い城だからな…老朽化してたのかもしれない…危ないからそっと出てこい」
フールさんが手招きするのでクイーンと破壊の時に出来た穴から外に出た。
外に出ると自分が入っていた同じ様な部屋が横にズラっと続いている。
そのひとつの牢屋の扉が開いていた、フールさんが捕らえられていた牢屋だろう。
「あれ?フールさんはどうやって牢屋から出たの?」
「ん?ああ、コレだ」
フールさんは懐から鍵を取り出し見せてくれた。
「縄を切ってな、そこにかかってた鍵を取ってたんだ。遅くなってすまなかったな」
そう言って壁にかかってる鍵掛けを指さした。
「ううん、大丈夫!それよりウール達を助けないと」
「そうだな!」
エイト達は他の牢屋を覗きながら奥へと向かうと
「ああ!みんな!」
ウールにロンとチャバも同じように手足を縛られて牢屋に転がされていた。
フールさんが牢屋の鍵を開けると中に入ってみんなの縄を解いてやる。
「怖かった!」
ウールは堪らずに助けたエイトに抱きつくと
「大丈夫だよ」
バキッ!
ビクッとウールの肩が跳ねて音のした方を見ると…クイーンが鉄格子を掴んでいてそこが見事に折れていた。
「クイーンちゃん?」
ウールがクイーンを見ると…つかつかとクイーンがウールに近づいて彼女の腕を掴んだ!
「怖いなら私が抱っこしてあげる」
そう言うとウールを引き剥がしてぎゅっと抱きしめている。
「クイーンちゃん…ありがとう!」
ウールは嬉しそうにクイーンと抱き合った。
まぁいっか…
「クイーン、偉いね」
エイトはクイーンの頭をヨシヨシと撫でてあげた。
「ロンは大丈夫?」
震えているロンにも声をかけると
「ぼ、僕は大丈夫だよ!」
強かっている感じに苦笑すると
「女の子なんだから無理しないで、ほら一緒にみんなで手をつなごう」
ロンの手を取るとクイーンのそばに連れて行った。
クイーンは頷くとロンの事も抱きしめる。
「エイトくん…よくロンが女の子だってわかったね…」
クイーンの温もりに少し落ち着いたウールが聞いてきた。
「え?だって女の子にしか見えないよ?ね!」
ロンに笑いかけると…
「し、知らない…」
顔を赤くして目を逸らした。
チャバはフールさんがだき抱えて来ると…
「ここを出るぞ」
周りをキョロキョロと警戒しながら声をかけてきた。
「あっちになにかあるから行ってみよう」
フールさんは牢屋の奥を指さす。
「え?でも出口はこっちじゃない?」
エイトは反対側にある上へと上がる階段を指さすと…
「あっちに行けば兵士達がいるはずだ…お前たちは身を隠してるんだ。俺が様子を伺ってくる」
エイト達は頷くとフールが奥へと歩き出す。
みんなは警戒しながら牢屋の間にある窪みにみを隠した。
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