元勇者のおじいちゃんに育てられた子供は普通じゃありません

第153話

エイト達はフールの後をついて町の奥の方へと向かう。

町の人達はみんなカズキ達の集まる中央の建物に集まっていて町は静まり返っていた。

｢なんか静かだね…｣

クイーンが周りを伺っていると、エイトはクイーンの手をギュッと握りしめた。

｢こうしていれば寂しくないよね｣

｢うん！｣

エイト手の温もりにクイーンはご機嫌でエイトの後をついて行く。

｢さぁここだ！｣

しばらく歩いた所でフールが笑顔で振り返った。

｢ここ？｣

見るがそこはただの壁に見えた…

｢なんとここは隠し扉なんだ！押してみな｣

フールが得意げに笑って壁を指さす。

エイトは空いてる手で壁を押すと

ギィィ～

壁が動いた！

｢｢すごーい！｣｣

エイトとクイーンが壁の仕掛けに興奮する！

｢だろ？子供はこう言うの好きだよな！｣

フールが笑って先に入ると…中は暗く道が続いていた…

｢もう少し行けば部屋だからな｣

フールの声に頷いて続いて歩くと先に光が見えた。

｢ほら着いた｣

フールが笑って先にあった扉を開くとそこには三人の子供がテーブルに座っていた。

｢遅い～フールさん！ご飯まだ！？｣

｢お腹…すいた…｣

｢早くしてくれよ、腹減ったよ｣

三人は待たされていたようでフールさんを見るなり文句をいった。

｢悪い悪い！新しい仲間を案内してたんだ！仲良くしてやってくれ｣

フールさんはエイトとクイーンの肩に手を置くと三人の前に押し出した。

｢誰？初めて見るけど…｣

一番大きな子がジロっと睨んだ。

｢この子はエイト、こっちの子はクイーンだ。二人とも左からロンにウール、チャバだ、ほら椅子に座って待っててくれすぐに飯を持ってくる｣

フールに言われて椅子に座ると

｢お前…男だよな？｣

ロンと言われた大きな子がエイトをジロジロと観察する。

｢う、うんよろしく…ロン｣

｢ロン！睨んだら可哀想だよ！私はウールよろしくね｣

ウールは髪の長い女の子でニコニコ笑っている。

｢よ、よろしく…｣

エイトがペコッと頭を下げるとクイーンがエイトの真似をして頭を下げた。

｢そしてこの子がチャバね！｣

チャバと言われた子は恥ずかしそうにウールの後ろに隠れた。

｢少し恥ずかしがり屋さんなの｣

代わりにウールが説明をしていると

｢ほら待たせたな！リクエストの食事だぞ！｣

フールさんが両手いっぱいに皿を乗せて戻ってきた。

｢うわー！豪華！こんなに食べていいの？｣

ウールがフールを見ると

｢ああ！今日はお祝いだからな｣

フールが頷く。

｢やったぜ！もういいよな！？いただきます！｣

ロンは返事も待たずに手を合わせると目の前の肉にフォークを豪快に指した！

｢あっ！私もそれ狙ってたのに！｣

ウールも慌てて肉を確保すると

｢みんなも早く食べな！全部ロンに食べられちゃうよ！｣

｢う、うん…クイーン食べよっか｣

エイトがクイーンを見るとクイーンは肉を見つめてヨダレが垂れていた。

｢ふふ、取ってあげるね｣

エイトはそんなクイーンに肉を取り分けてあげる。

ワイワイ食べる子供達をみてフールは微笑むと

｢ゆっくり食べな…｣

そう呟くと子供達の邪魔にな無いようにそっと部屋を出ていった。