第152話

エイト達は町の女性に案内されて部屋へと向かっていた…


「ここよ、もう少ししたら食事を用意するから少し部屋で休んでてくれる?」


お姉さんが笑いかけると


「はい!ありがとうございます」


エイトは笑顔でお礼をいった。


「ふふ、可愛い。いい子ね」


お姉さんはエイトの笑顔に頭を撫でようとすると…


パシッ!


隣の女の子に手を払われた。


「「えっ」」


お姉さんとエイトは驚いてクイーンを見ると


「エイトに触らないで」


クイーンがお姉さんを敵対するように睨みつけた。


「な、何この子…」


お姉さんが赤くなった手を押さえると


「ご、ごめんなさい!クイーン!駄目だよ!」


エイトはクイーンを悲しそうな目でみつめる。


「だ、だって…エイトを撫でようとした…」


クイーンはエイトに怒られてシュンと体を小さくする。


「撫でるくらいなんでも無いのに…そんな事でクイーンの事好きな気持ちは変わらないよ?」


エイトは下を向くクイーンの顔を下から覗き込んで笑った。


「エイト」


「だからそんな事で怒らないでね、クイーンが他の人に嫌われちゃう方が僕は嫌だよ…」


「わかった!もうしない!ねぇ…」


クイーンはお姉さんの方を向くと服をつんつんと引っ張った。


「な、なに!?」


お姉さんが警戒しながらクイーンを見下ろす。


「叩いて…ごめんね」


クイーンがお姉さんに向かってペコッと頭を下げた。


「い、いいよ。私もいきなり撫でちゃってごめんね」


「いいよ、撫でてもエイトは私のだから」


クイーンはニコッと笑った。


二人を部屋に残してお姉さんは部屋から離れるとほっと息を吐いた…


「まだ…痺れてる…」


クイーンに叩かれた手を見ると青く腫れていた。


「あんな軽く叩かれただけなのに…あの子なんなの」


お姉さんはブルっと震えると急いで部屋から離れた。



トントン!


「おーいいるか?」


エイト達が部屋で休んでいると部屋をノックされる…


「あの声は…じいちゃんと話していた人だ」


エイトは扉を開くとそこには笑顔のフールが立っていた。


「飯が出来たぞ~ここの町の子供達も一緒だが大丈夫か?」


エイトはコクっと緊張したように頷く。


「どうした?なんか顔が強ばってるぞ?」


フールが笑うと


「ぼ、僕…クイーン以外の子供とあったことないから…」


「そうなのか?ならみんないい子達だから友達作ってこい!」


フールがニカッと笑ってエイトの頭をガシガシと撫でる!


クイーンがピクっと反応するがじっとしてその手をじっと見つめていた。


「よしじゃあ二人ともついておいで」


フールが行こうとするとジャックがその後をついて行こうとする。


「ああ…その子は勘弁してくれるか?犬が苦手な子もいるんだ」


フールが申し訳なさそうにすると


「ジャック…も友達なのに…」


「すまんな…」


【俺は大丈夫だ、エイトしっかりと食ってこい】


「うん…ジャックにもご飯あります?」


エイトがフールに聞くと


「ああ、後で持ってこよう」


フールの子供にエイトは頷くとジャックに手を振ってクイーンとフールのあとをついて行った。

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