第151話

「「「え?」」」


「「この人が?」」


町の人達はカズキをみて明らかにガッカリとする。


「おじいちゃんじゃないか…」


明らかに年老いた雰囲気に士気が下がった。


「ああ、すまない。身元を隠すために少し見た目を変えていたんだ」


カズキは元の姿に戻ると…そこには若い男が現れた。


「カズキ…お前あの頃とほとんど変わらないなぁ…お互い歳は撮ったはずなのに…」


フールはカズキの姿に驚く。


「ああ、どうも俺は童顔みたいでな。でもこの世界だと歳をとりにくいのかもしれない」


「すごい…それって魔法で見た目を変えてるってことなのかい?」


カズキの様子に町の人達が恐る恐る話しかけた。


「ああ、そうだ。国王からの追っ手を巻くためにな」


「「「「おお!」」」」


「すごい!そんな魔法見た事ないぞ!勝てる…きっと勇者カズキがいれば勝てる!」


町の人達は一気に興奮しだした!


「いや…あの国王の事だ。油断だけはしない方がいい。それに俺はもう勇者じゃないからただのカズキと呼んでくれ」


「はい!カズキ様!」


町の人達がカズキの周りに群がってきた。


思い思いにカズキに声をかける町の人達をフールとラルクはみつめる。


「よく連れてきてくれたな!」


フールがラルクの肩をドンッ!と叩くとラルクは眉を下げてフールを見つめた…


ラルクの嬉しくなさそうな顔にフールは顔を顰めた。


「カズキ達は…ナナミとエイトと幸せそうに森の家で暮らしていたんだ…それを…俺は連れてきてよかったのか?」


「当たり前だろ!カズキ自身の汚名も晴らせるしみんなでまた太陽の空の下堂々と暮らせるようになるんだ!カズキだって嬉しいはずだろ?」


「そうかもしれないが…」


「あとは俺達があの時みたいにサポートしてやりゃいいじゃねぇか!」


フールはラルクに力強く肩を組む。


「そうだな…ここまで来て何を言ってるんだか…すまんな」


「いいってことよ!さぁ今日はたくさん飯を食って明日に備えよう!作戦は飯を食いながらだ!」


「「「おおおぉー!!」」」


フールは大声で叫ぶと町の人達が嬉しそうに歓喜した!


フールの合図で次々と部屋に料理が運ばれてくる。


「ほら!カズキ!ここに座れ、隣はナナミでいいよな!?」


フールはテーブルを用意するとカズキを上座に座らせた、そして隣にナナミを座らせると反対側にラネットが座った。


「私はここだ」


ドサッと男のように座るとドンッ!と足をテーブルに乗せる。


「お、おい…あの人は誰だ?」


フールがそっとラルクに聞くと…


「あー…カズキの仲間だ…ちょっと世間に疎いところがあるが戦力としては申し分ないから…」


ラルクはサッと目を逸らした…


ドラゴンと言うのは隠しておこう…今は町の者達もいるしな…


ラルクはラネットにそっと寄ると


「ちょっと…ラネットさん足下ろして。今はドラゴンって事は隠しておくので話を合わせて下さいね」


「ああ?」


ラネットがギロッとラルクを睨むと…


「そうよ、ラネットさん!足をテーブルに乗せるなんてせっかく用意された食事にも失礼でしょ」


ナナミも注意する。


「まぁナナミの飯にはその価値があるな…わかった」


ラネットは素直に足を下ろした。


「ま、まぁとりあえず好きに食ってくれ!」


「エイトは?子供達も呼んできてよかったんじゃないか?」


カズキがフールを見ると


「馬鹿だなカズキ、子供がこんな酒飲んだ大人達と一緒にいれないだろ?あっちは子供達だけ集めて食べてるよ」


「そうか、ありがとうな!」


カズキは楽しくやっているエイトを想像して微笑んだ。

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