第146話

ラネットはナナミが了承しない限りは手は出さないとカズキに誓いどうにかその場は収まった。


「しかし…俺が死んだらナナミはラネットと…まぁ一人になるよりはいいか」


カズキは少し考えて納得していると、ナナミがグイッとカズキを引っ張った!


「カズキ、死ぬなんて許さないからね…あなたが寿命でなく死ぬなら…私も後を追うわよ」


ナナミの顔を見てカズキは慌てる!


「それは駄目だ!俺が死んでナナミまで…エイトはどうなる!?」


「なら死なないでね。それで万事解決よ」


ナナミが笑ってそう言うとカズキは困った顔をしてナナミの手を握った…するとナナミの手は小刻みに震えている。


「いやよ…この世界に一人にしないでね」


ナナミは下を見ながらつぶやくと


「大丈夫だ…ナナミとエイトを残して死なない!今決めた!約束する」


カズキはナナミを抱きしめるとナナミの震えはようやく収まった。


「僕も…じいちゃん死んじゃやだ…」


ナナミを抱くカズキにエイトは近づいてその足をギュッと掴む。


「ああ、平気だ。ナナミとエイトがいると思えば俺は死なない!死ねない!」


「エイト…私、エイトの為にカズキを守るわ!だから泣かないで…」


クイーンは泣きそうな顔のエイトに近づいて励ますと


「クイーンがそうするなら私も頑張ろう」


ラネットはナナミとクイーンの肩を叩いた。


「任せろナナミ、カズキは必ず守ってやるからな」


ラネットの言葉にナナミは泣きそうになりながら頷いた。


少し落ち着いて軽く笑うと…


「ラネットさんが女性の姿で良かったわ…男性の姿だったら惚れてしまいそう」


ふふっと笑うと


「ラネット!ナナミの前で男の姿になるのも禁止な!」


ナナミの冗談にカズキはやはり絶対に死ねないと改めて思った。


「おい…なんなのこのラブラブな家族達…俺達やる気すんごい削がれるんだけど」


ラルクが和気あいあいと笑い合うカズキ達にため息をつく。


「悪いなぁ、まぁラルクも早く最愛の人を見つけろよ。そうすればこの気持ちわかるぞ」


「最愛の人ねぇ…まぁこの世界が変わったらそれを見つけに行くのもいいな」


「あら、私でもいいわよ」


ダレンがラルクの腕をギュッと掴むと、ラルクは嫌そうにダレンを見つめた。


「あら、そんな顔しなくてもよくなーい?」


見慣れた表情にダレンはからかうように笑うと


「いや、お前の顔なら全然いいけど…仲間に手を出す気は無いからな」


「えっ…」


ラルクの意外な言葉にダレンの方が戸惑い思わずぱっと手を離した。


「な、何言ってるのよ!私男よ!」


「知ってるけど?」


ラルクが首を傾げると…


「か、変わり者の友達は変わり者なのね…」


ダレンがぷいっと恥ずかしそうに横を向くと


「おいおいカズキ変わり者って言われてるぞ」


ラルクがわらうと


「いや、お前もだからな」


カズキが苦笑する。


「はぁ?ここで一番の常識人は俺だろうが!」


ラルクは納得できんと一人怒っていた。


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