第145話

「……!っておい!」


カズキは唖然としていたがハッ!としてナナミの手を取るラネットの手を払った。


ナナミを自分の後ろに隠すと


「駄目だ!ナナミは俺の!しかもお前は女だろ!」


カズキが文句を言うと


「ん?女?いや…私はどちらにもなれるぞ…」


そういうと姿を男性へと変えた。


「へ?なんで…」


カズキ達が驚いていると


「私達は好きになった相手の異性になれるんだ。今まで女性にしかなったことがなかったが…ナナミに会って男性にもなれた」


ラネットはカズキを無視してナナミを見つめる。


そこにはラネットの面影のある褐色の肌の色気漂う男性が立っていた。


「男…だったのか…」


カズキが唖然とすると


「男、女という概念はあまりない。別にナナミが女性の姿が良ければそっちで構わない」


ラネットは今度は女性へと変わった。


「ら、ラネットさん…すごいわね」


ナナミは驚きなながらもどうにかそう答えると


「でもごめんなさい、私は…カズキが好きなの…」


「ナナミ…」


見つめ合うカズキとナナミにラルクがつっこむ!


「おい!いい大人が子供達の前で何やってんだ!」


「いや、だってラネットが…」


カズキはたまらずにナナミを遠ざけた。


「カズキもそんなに本気になるなよ、ラネットさんだってそんなに本気で言ってるわけじゃないだろ?」


「いや、本気だ。だが…ナナミも好きだがカズキもまぁ好きだからな二人が嫌がるなら仕方ない。私は三人でも構わないが…」


残念そうにすると


「三人!いや!無理だ!」


カズキがブンブンと首を振る!


「では仕方ない、今は諦める」


「そ、そうか…その言葉信じるぞ…ん?今は?」


カズキが聞き返す。


「大丈夫、ドラゴンは嘘は言わん。その代わりカズキが死んだら好きにしていいよな?」


ラネットはにっこりといい笑顔で笑った。


そんな大人達の会話をよくわからずに聞きながらエイトはクイーンに聞いてみる。


「クイーンも男の子になれるの?」


クイーンは目を瞑って胸に手を当てると…少し考える。


そしてゆっくりと目を開くとエイトを見つめる。


「無理みたい、私は女にしかなりたいと思わない」


駄目だと首をふる。


「エイトは私が男の子の方がよかった?」


伺うように聞くと


「ううん!どっちでもクイーンはクイーンだよ」


気にしないと笑って答えた。


「そこは女の子でって答えてあげないと…」


二人の会話を聞いていたダレンは後ろでそっと苦笑した。

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