第144話

「クイーンはそっちでいいの?」


エイトが確認すると


「うん…前は気にしなかったけど、今はなんかエイトに臭いって思われるのはでなんかヤダ…」


クイーンがそっとつぶやくと


「そんな事で嫌いになったりしないよ~」


エイトが可笑しそうに笑う。


「ニンニクのも美味しいよ、一口食べてみる?」


エイトが自分の分を少しとってクイーンにあげると…


「あーん」


口に運んでくれる。


クイーンは慌てて小さな口を開くと…パクっと食べた。


「お、美味しい…」


クイーンの顔がパァーっと輝くと、エイトは一瞬その顔に見とれる…


「エイト!すごく美味しいよ!はじめてもらった肉も美味しかったけど…こっは味もあっていくらでも食べれちゃう!」


クイーンの喜ぶ姿にエイトは嬉しくなった。


「あっ、でもクイーン食べたらまた大きくなっちゃう?」


エイトが心配すると


「いや、クイーンが大きくなりたいと思っていないなら大丈夫だ。それに大きくなっても人型はそんなに成長はないから大丈夫だろ」


ラネットが教えてくれる。


「じゃあクイーン好きなだけ食べてね」


「でも…」


エイトの前で食べることに躊躇する。


「僕、クイーンの美味しそうに食べる顔好きだなぁ~」


エイトの何気ない言葉にクイーンがエイトの顔を見つめる。


「クイーンの嬉しそうな顔可愛いよ」


「わかった!わたしたくさん食べる!」


クイーンはどんぶりを掴むとご飯をかき込んだ!


「あーあ…せっかく可愛い感じでいたのに…」


ラルクがエイトとクイーンのやり取りに苦笑して見ていると


「あら、でもエイトは嬉しそうよ」


ダレンがにっこりと笑って二人を見ると、クイーンのどんぶりをかき込む姿にエイトは嬉しそうに見ていた。


「意外とお似合いかもな」


「それよりもあっちよ…すごい勢いで食べてるわ…」


見るとラネットが目をギラつかせてどんぶりを平らげている。


ナナミにおかわりをもらいそれもすごい速さで食べていた。


「ラネットさん気に入ったのかしら?」


食べてる様子から気に入ってはくれていそうだが言葉を発しない、ナナミが気になって聞くと


「美味い!美味すぎる!これはナナミが?」


「え?ええ味付けとかは…」


ナナミが頷くと、ラネットはどんぶりを置いてナナミの手を掴んだ。


「こんな美味いものを作れるなんて…ナナミ私の番にならないか?」


「「え?」」


ナナミとカズキが驚いて固まっていると


「こんな美味い料理を作る人は知らない。いい匂いがするし優しい…私はナナミが気に入った」


ラネットはナナミの手の甲にキスをして微笑んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る