第143話

ラネットとクイーンに服を着せるとナナミはみんなにお披露目をする。


「どうかしら?」


自信満々で二人を見せると


「わぁー!可愛い」


エイトはニコニコと二人を見つめる。


「ラネットさんはさっきよりも素敵だし、クイーンも似合ってるよ!」


エイトの感想にクイーンは嬉しそうに頬を染めた。


「ほら、尻尾も窮屈じゃ無いの…ナナミって優しいね」


クイーンはコソッとエイトに耳打ちすると


「でしょ?」


エイトは自分が褒められるよりも嬉しかった。


「なんか窮屈だが…まぁ動けるな。これなら人の前に出ても問題ないんだな?」


ラネットが服を引っ張りながらナナミとカズキに聞くと


「そうね…でもラネットさんは服を着てても魅力的だから、注意する事に越したことはないは」


「でも…ドラゴンだろ?襲われても問題ないだろ?」


ラルクが言うと


「それとこれは別よ!女性を襲うなんて許せないわ!それは人もドラゴンも同じでしょ」


ナナミはラルクに注意する


「わ、わかった…すまなかったな。ラネットさん」


「別に構わん。それにその男の言う通りだ…襲ってきても返り討ちにするだけ…問題ない」


「これからは問題ありだ。これから町に行って仲間と合流して国王を討つ!その前に変に目立つのは得策じゃないからな、なるべく控えてくれよ」


「でもドラゴンの姿にならなければ問題ないでしょ?」


ナナミが聞くと


「そうだな…女性の冒険者でも強いやつは沢山いるからな」


「それよりも…その美味そうな匂いはなんだ?」


先程から漂う匂いにラネットとクイーンの腹が鳴る。


「ああ、ナナミが下味を付けといてくれた肉を焼いてるんだ。野菜と炒めてご飯に乗せたらスタミナ丼の完成だ」


「これ食べたら元気モリモリだよ!」


エイトがどうぞと丼を渡すと


「この匂い…ニンニクね!やだ…明日大丈夫かしら?」


食欲をそそる匂いだが、明日のことが気になるダレンが躊躇していると


「ふふ、ダレンさんニンニク無しもあるわよ。女性のみんなはそっちを食べましょ」


ナナミが笑って答えると


「さすがナナミね!」


ダレンさんは嬉しそうに丼を受け取った。


ダンテとナナミとクイーンはニンニク無しのスタミナ丼を受け取ると


「はい、ラネットさん」


ラネットにも渡すと


「私は…そっちの方がいいな…」


ちらっとニンニクが効いた方をみる。


「え?でも明日、口とか臭くなっちゃいますよ?」


「何か問題でも?口が臭くても大丈夫だろ?」


「ま、まぁラネットさんがいいなら…でも寝る前によく歯磨きしてくださいね」


「わかった」


ラネットは頷きながらも丼から目をはなせずにいた…

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