第141話

エイトとカズキ達はナナミやラルク達が待っているところまで戻ってくると…


「エイト、カズキ。遅かったわね、心配してたのよ」


ナナミが二人が帰ってきた二人に駆け寄ると…


「あら…その二人は…」


ラネットとクイーンを見つめる。


「ああ…こちらラネットとクイーン、話せば長くなるんだが…」


カズキが頭をかくと


「ええ、どんなに長くなってもいいわ…きっちりとそこの綺麗な女性がカズキの服を着ている理由を聞きたいわ…」


ナナミはにっこりと笑いかけた。


「エイト…」


クイーンはコソッとエイトに話しかけると


「なぁに?」


エイトがクイーンに顔を向けると、クイーンは不安そうにエイトを見つめ


「あれがナナミなの?なんか…ちょっと怖いけど」


クイーンの言葉にエイトは驚くと


「ナナミは怖くなんてないよ?それにナナミが怒る時はいつも僕やじいちゃんの為を思ってなんだから」


「そ、そう?」


クイーンはにっこりと笑っているナナミからそっとエイトの後ろに隠れた…


「ち、違うぞ!ナナミ!これはこの人服を着てなくてな!」


「へぇ…服を着てないこの人を見たんだ?」


ナナミらしくなく言葉が崩れる…


「ちょ、ちょっとナナミ落ち着いて!」


ダレンも思わずナナミに声をかける。


そんな二人に構わずにラネットはナナミに近づくと


「ラネットだ。この度一時だがカズキと契約したしばらくは一緒にいさせて貰う」


「契約…?」


「ああ、まぁ伴侶…とまではいかないから心配するな」


「おい!ラネット止めろ!なんかどんどん不味い方に行ってる気がする!」


「ん?そうか?まぁ伴侶はこっちだな」


そう言ってクイーンとエイトを見せると


「私の娘だ。この度エイトの伴侶となった」


「ちょ…ちょっと待って…伴侶ってエイトが?まだ子供よ?」


「嘘!エイトちゃんが…伴侶…」


ダレンがショックで膝をつく…


ナナミは訳が分からずに片手で頭を押さえると


「ラネット…もういい…姿を戻してくれ。それが一番早く説明出来るわ」


「そうか?わかった」


「私も戻る?」


クイーンが聞くと


「お前は大変そうだからそのままでいいぞ」


ラネットは頷くとみんなから少し離れて変身を解くとカズキから借りた服をビリビリに破きながらみるみる大きくその姿を変えた…


「これって…」


ラルクが唖然と見上げると…


「もういいか?戻るぞ」


「ああ頼む」


カズキが頷くと、また同じ様に人の姿に戻った…


「あ!」


ナナミは途中で気が付き大きなシーツを取り出すと縮まるラネットに駆け寄る!


「あなた達!後ろを向きなさい!」


ナナミの声にダレン以外のみんなが一斉に後ろを向く!


ナナミはラネットにシーツを被せると


「ごめんなさい…私すごい勘違いしてたみたい…あなたにこんな格好をさせて」


ラネットに頭を下げると


「お詫びに私の服を着てちょうだい、もちろん娘さんも一緒に」


ナナミはにっこりと今度は優しい笑顔で笑った。

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