第135話

カズキは怒りでこちらを睨みつける母ドラゴンを警戒してエイトを抱き上げると


「やはり駄目だったか…お前には悪いがこのままこいつを野放しにはしておけないぞ…」


カズキは最悪ドラゴンを自分の手で止めようと考えていると…


ドラゴン達が何やら言い争いを始めた。


子ドラゴンは自分たちの前に立ち母ドラゴンから守るように説得をしているようだ…


そして何を言ったのか母ドラゴンの力が抜けるとぼうっとこちらを見て固まっている。


「なんだ?どうしたんだ?」


カズキがエイトに聞くと


「なんか…僕と契りを交わした事を言ったらあのお母さんガックリしちゃったみたい」


エイトが首を傾げると


「まぁ子が自分の命をかけた契約なんてされたらああもなるだろ…」


カズキは少し哀れみの目を向けていると…


子ドラゴンがおずおずと母親に近づく、その体にすりすりと体を寄せると心配そうにぺろぺろと顔を舐めだした。


「なんか…大丈夫とか、ボクは平気だよって励ましてる」


ちょっと二人で話させてやろう。


カズキはエイトと洞窟の端に移動して、ドラゴン達が落ち着くのを待つことにした…


しばらくするとどうにか落ち着いたのかドラゴン達がこちらに近づいてきた。


子ドラゴンが嬉しそうに歩いて来る姿にどうにか説得が成功したようだ…


母ドラゴンはスっと大きな頭を下げると


【この度はこの子が世話になった…】


「お!お前喋れるのか!?」


カズキが驚いていると


【ドラゴンが喋れないと誰が決めた?喋るに値しない者とは喋らないだけだ…】


キッと瞳を光らせる…


【あの人間はまさにそれだな…我々を道具の様に扱い、この子に危害をくわえようとした…万死に値する】


「おう、その気持ちわかるぜ。子供を巻き込むなんざ親としちゃたまらないよな…」


カズキが頷くと


【…】


ドラゴンがカズキを見つめる。


「まぁうちの子とおたくの子が契約を結んだ訳だが大丈夫。うちの子はどこに出しても恥ずかしくない優しくてしっかりとした子だ。おたくの子も大事にするぜ」


「はい!ぼくドラゴンさんちゃんと守るよ!」


エイトは母ドラゴンを安心させるように力強く頷くと…


【まさか人と契りを結ぶとは思わなかった…しかしまぁあの人間共とは違うようだな…この子が決めた事だから仕方ないが…この子に何かあった時はお前も死んで貰うからな…】


「はっ?」


カズキがドラゴンの言葉に反応する…


「それは聞き捨てならねぇな…エイトが死ぬ事なんか有り得ん!俺がそんな事は許さん」


カズキはギロっとドラゴンを睨みつける!


「ちょっと!じいちゃん!」


【ママやめて!】


エイトとドラゴンで親達を慌てて止めに入った!

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