第132話

ドラゴンは大きなドラゴンに寄ると、顔を擦り寄らせてゴロゴロと喉を鳴らす。


その様子に大きなドラゴンが気がついたのか瞳を開いた…


「おっきい…」


エイトが唖然と見ていると


「こりゃ…封印されてるな…」


カズキはドラゴンの上に大きかぶさっている岩を触ると魔力を感じた。


「こんな事するのは…人だろうな。なんかの理由でここに連れてこられて身動きを取れなくされたんだろ」


「じいちゃん…あれってあの子の親かな?」


寂しそうに擦り寄るドラゴンを見ながらエイトはじいちゃんの服をギュッと掴んだ。


ドラゴンは親ドラゴンにキューキューと甘えた声を出すと親ドラゴンがグッグッと体を起き上がらせようと動き出した!


「うわっ!壊れちゃう!」


ギシギシと音が響くが覆い被さる岩は動く事は無かった…そのうちにドラゴンは疲れたのか頭がドサッと地面に倒れ込んだ。


「キュー!」


子ドラゴンが心配そうに親ドラゴンの周りをウロウロとしている。


その瞳からはポロポロと涙が流れ落ちていた…


「じいちゃん…」


あまりに可哀想な姿にエイトは、じいちゃんを見つめると…


「しかし…封印を解いてこのドラゴンがエイトや他の人を襲わない保証はないからな…」


カズキがつぶやくと…


【お願い…ママを助けて…】


突然エイトの頭に声が聞こえてきた!


「えっ!?」


エイトがバッと頭を掴むとキョロキョロと周りを確認する。


「どうした?」


エイトの様子にカズキが声をかけると…


「なんか今声が聞こえた…」


「声?」


カズキも周りを見るがここにいるのはカズキとエイト…他にはドラゴンの親子だけだった…


【ボクを助けてくれたみたいにママも助けて…】


また声が聞こえると子ドラゴンがじっとこちらを見つめていた…


「もしかしてこの声ドラゴンさん?」


エイトはドラゴンに話しかけると、コクリとドラゴンが頷く。


「そこに閉じ込められてるのがママなの?」


エイトはフラフラとドラゴンの方に歩き出しながらドラゴンに話しかけると


「エイト!」


カズキがエイトを止める!


「どうしたんだ、大丈夫か?」


心配そうなじいちゃんにエイトはドラゴンの声が聞こえることを話した。


「ドラゴンが話かけて、それがママだから助けて欲しいと…」


カズキが聞くとエイトはウンウンと大きく頷く。


「だがな…」


カズキが渋っていると…


【ボクのママ…この国の王に封印された…】


「えっ?」


ドラゴンからの思わぬ言葉にエイトは目を見開いた!

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