第131話

「まぁいいや、とりあえずお前家はあるのか?親とかどうした?」


カズキがドラゴンに聞くと


「ギャー!ギャー!」


何か声をあげるが言いたい事が分からない


「なんか訴えようとしてる感じだな…」


「うん、着いてきて欲しいのかな?」


エイトが聞くと


「ギャー!!」


そうだと言わんばかりにドラゴンが足踏みをすると、体を屈めて乗れとばかりに低くなる。


「乗って欲しいのか?」


仕方なさそうにカズキが乗ると膝にエイトを置いて抱きしめる。


その途端にドラゴンは空中に飛び立った!


「うおっ!」


カズキは必死に鱗に掴むと、ドラゴンはスピードをあげて何処かに飛んでいく。


「あー…ナナミ達に何も言ってないな…」


「あっ!心配しちゃうかな?」


エイトが心配そうに振り返ると


「まぁ俺と一緒にいるのは知ってし大丈夫だろ。ドラゴンの用がよくわからなんがさっさと済ませよう」


ドラゴンが話を聞いてかスピードをあげる。


「エイト寒くないか?」


カズキは打ち付ける風からエイトを守るように抱きしめると


「うん、じいちゃんに抱きついてるから大丈夫」


腕の中でモゾっと動いて上を見て笑っている。


「鼻の頭が赤いな…」


軽く手で撫でてやると風を遮るように防壁を張ってやった。


「にしてもどこまで行くんだ…」


ドラゴンは険しい山を越えて人が足を踏み入れなそうな岩ばかりの谷底へと降り立った。


「何処だこりゃ…」


周りを見てもゴツゴツした岩場ばかりで何もない寂しい場所についた。


「こんなところになんのようだ?」


カズキが周りを見渡すと


「あっ!じいちゃん、ドラゴンさんがあっちに行くよ!」


ドラゴンが岩場を歩いて行くのをカズキ達がついて行く…しばらく行くと崖の隙間に大きな洞窟が見えてきた。


「まさか…ここか?」


カズキ達が立ち止まり見上げていると、ドラゴンは構わずにどんどん先へと進んで行く。


帰るに帰れないカズキ達はドラゴンの後をさらについて行く…すると洞窟の奥から何やら呻き声のような音が聞こえてきた。


ドラゴンはその声を聞くと急に走り出した!


「おい!」


カズキはエイトを抱き上げると急いでドラゴンの後を追った!


「じいちゃん、明かりつけようか?」


どんどん暗くなる洞窟にエイトが灯りをつけると…


「なんだありゃ…」


洞窟の先は大きな空間が出来ていて中央にはドラゴンより数倍大きなドラゴンが岩に挟まれ身動きが取れずにぐったりとしていた…

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